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詩作習作

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2018年11月の記事一覧

ロスコ

ロスコ

何もない
青の地平に向かって
うるさいほどの沈黙を叫んでいる

ものも言わない暗幕が
ゆらゆらとうずくまっているのを
落っこちそうな距離から眺めている

シンとしている、
もしくは
頭の後ろの見えない地平に開かれた
あちらの世界の聞こえない音に囲まれている。

自我の淵に足をかけ、対面している完全な闇、音も光も吸収する完全な黒、ここでは誰も私を見ていない。頭の中の妄想ですら吸い込まれていく無を前に

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夜凪の旅路

20平米もない
小さな居間に一人分の布団を敷いて
高くはない天井をじっと見つめるように
二人の体が横たわる

雨戸越しに、虫の声が聞こえてくる

絡み合う指先の
柔らかな冷たさに
ただ二人当てもない静かな夜の海を
板戸の上で漂っているかのような
底のない心細さを思わされる

オレンジ色の暗い明かりが
四方の壁を鈍い灰色に照らすのを見ると
誰もいなくなった暗い暗い夜の海を
二人箱舟で彷徨っているかの

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ヴォージュヤンヌと白い犬

ヴォージュヤンヌと白い犬

テーブルクロスを庭先で払うとき、
白、
緑、
白、
灰、
と視界の色が互い違いに変わる。

明るい灰色の霧に覆われた山間の村で、
年の瀬の気配を感じる冷たく湿気った週末。

昼食の後の気だるい体を霙を吐き出す冷気が纏い、背中に感じる部屋の暖気に思わず身震いする。

視界の端には、白く愛くるしい姿のミヌ、犬のことだが、が落ち着かなく縦に横に揺れるテーブルクロスの端を、興味深げに眺めていた。

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藤の蜜蜂

5月の風が、高いところを過ぎて行く。
目の前の水面に照りつける、お天道様の煌めき。

その下をタガメが泳いで行く。

気楽なもんだなぁ…

セツは痛くなった首を少し上に向けた。
水の煌めき、泥、タガメ、カエル、
そして、恐ろしいほど澄んだ青。

セツの視線に映るものはずっと変わらない。
ここは静かだ、家族の声も蛙の声もすごく喧しいのに、
ここはとても静かだ、と思った。

指先を泥の中に突っ込んで、

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