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市場価値を上げる為に移籍しても試合に出れないと意味がない。

前段

今年初勝利を飾った、第3節の川崎フロンターレ戦の際に相手のGKは昇格初年度に魂のセーブで降格の危機を救ってくれた上福元 直人だった。22年在籍時も時より足元の危なっかしさが垣間見れており、井上や麻田がカバーするシーンは数しれずと見られていたが、それでも京都サンガにとっては是が非でも残したい絶対的守護神だった。そんな選手がステップアップ移籍を果たし、ファンとしては悲しい且つ試合になったらブーイングを浴びせてやろうとする反面、心の奥底では、移籍したチームでのより一層の活躍を望んでいるものではないだろうか。
だが、京都サンガからステップアップ移籍した選手は軒並み移籍先で苦戦している。その理由とそうならない様にする為には何が必要なのか?考察を交えながら記載しておこうと思う。

J1昇格以降に京都サンガから移籍した選手

他チームへの移籍

全員がJ1へのステップアップ移籍

期限付き移籍

バランス良くカテゴリが分かれているが、サンガより資金力の無いチームへの移籍

契約満了後の移籍

本多とパトリックを除いてJ2以下への移籍

▼参照データ
各カテゴリ毎の出場時間の変化もデータで算出しているので見て下さい。

サンガから移籍して活躍出来るチームと出来ないチーム

活躍出来るチーム(期限付き移籍を積極的に受け入れているチーム)

  • 出場が約束されているチーム

    • 16年ぶりにJ1昇格を決めた東京ヴェルディで覚醒しようとしている京都からのレンタル組である木村 勇大山田 楓喜がまさにその最たる例だが、サガン鳥栖や今年のヴェルディの様に資金力が無く、若手の伸び下がりの選手を毎年活用しチームを形成する期限付き移籍構成チームはとても相性が良いだろう。

    • 移籍の詳細は不明だが、23年シーズン序盤からチーム内で燻っていた木村 勇大山田 楓喜を見つけ出し、補強を実現したヴェルディの強化部は褒めるべきだろう。木村に関しては、元々ヴェルディユース出身という事もあり、移籍の話が出ていたのだろうが、昨年途中に当時J2残留争いをしていたツエーゲン金沢に期限付き移籍したが、10試合1得点と結果が出せなかったのにも関わらず、J1で既に2得点は本当にすごい事だ。

    • 起用方法?フォーメーション?どちらももちろん関係していると思うが、結果が出せている1番大きな理由は「経験から来る自信」「チームからの信頼」だろう。FWだと得点数、DFだとデュエル勝利数の様に試合から得られる「経験値」は何にも代えがたい「自信に繋がる要素」だ。

    • 21,22年に浦和レッズからの期限付き移籍で京都でプレーした荻原 拓也がいい例だと思う。就任1年目のチョウ監督の求めるハードな守備とフィジカルを活かした攻撃やスプリントを武器に絶大な信頼を勝ち取り、京都に欠かせない選手となった。結局2年京都でプレーした後に昨シーズンから保有元である浦和レッズに帰還した後に、現在はクロアチアの強豪であるディナモ・ザグレブに移籍を果たしている。将来的には日本代表になれる逸材だと思うので、是非結果を出して日の丸のユニフォームを着てプレーしてくれる事を祈っている。

    • ここまで見ると、移籍にとって大切な事は、ステップアップ移籍が目的ではなく、あくまでサッカーキャリアにとっての手段である事が分かるだろう。では何が大切かと言うと「高いリーグ、チームで試合に出場する事で得らえる経験値」である。バルセロナに在籍していても試合に出れないと成長が出来ない様に、試合で活躍する事が成長において1番大切なのだ。

相性が悪く活躍出来ないチーム(J1上位勢)

  • 試合に出られないチーム

    • 前述と逆説的な話になるが、前段で記載した上福元 直人(川崎フロンターレ)と白井 康介(FC東京)が最たる例だろう。

    • まだ、上福元に関してはライバルが今年39歳のベテランGKチョン・ソンリョンな事もあり、第2キーパーとしてローテーションしているので、全く出場機会が無い訳ではないが、白井 康介に関しては今年開幕してからほとんど試合に絡めていない。京都時代は荻原と両サイドコンビを組んで抜群のスピードとアジリティで京都を牽引していたプレーヤーだ。移籍時のコメントでも「より高いレベルで日本代表を目指したい」と言っていた通り、本来望んでいた状態とは程遠くなってしまってるだろう。

    • では何が足りていないのか?もちろん実力も足りていないのかもしれない。ステップアップ移籍という事は、ライバルも元日本代表、U23世代の代表選手、外国籍選手など強力になってくる。彼らの積み重ねてきているメンタリティやハングリー精神に立ち向かうのは容易では無い。

    • 特に中位から下位のクラブに在籍していた選手からすると、チーム間競争よりも試合に出る事はほぼ確約されており、チームでも少し特別待遇になっている場合が多い、急に特別扱いが無くなり、信用信頼が0の中から這い上がるのはそんなに簡単な事では無いし、そもそもその様な環境に慣れていない。つまり、試合に出てからパフォーマンスを出してきた選手はチーム間競争ではパフォーマンスを出しきれないのだ。この例で強い環境に行っても試合に出続けていたのが長友 佑都だろう。高いモチベーションと闘争心を練習から発揮するライバルがいる中だと白井がくすんでしまうのは仕方ないと思ってしまう。(確か長友が引退するとか何とかで白井の移籍話が始まった気がするから、ある意味計算外ではある)せめても安定的にベンチ入りをした上で途中出場からスタメン奪取の足がかりを掴んで欲しいものだ。(個人としては、白井がFC東京移籍後初出場となった去年の味スタでの京都戦で、渡邊凌磨へのアシストした後に、ガッツポーズしていたのが、許せない気持ちが拭えてません。。。) 

活躍している選手

移籍失敗な選手

選手目線に立った時の移籍先の見極め方

  • もちろん、移籍は選手が決める事であり、本多のように契約満了になったのにも関わらずステップアップ移籍を果たして優勝チームのスタメンで活躍するケースもあるのも事実だ。ファンからすると京都でもそこまで試合に絡めないのが見えていた中で良いチームを見つけたな。と思うわけだが、チーム毎の戦術にハマるかは行ってみないと分からない部分も多い。

  • ここからは個人的な見解になるが、移籍先を見極める際に「同ポジションに同じプレースタイルの選手がいるのか?」のは見ておくべきだと思っている。同質性が招く競争の場合は、ライバルと自分が得意なもの(例:スピード)で競争するよりも、異質性をチームのエッセンスとして加える方が出場機会を得られる可能性が高いのでは?と思っている。

最後に

  • 京都サンガを応援している身としては、主力の移籍は悲しいし、戦力ダウンに繋がるので、海外移籍のみであってほしいと願っている。

  • 但し、キャリアを考えてより高いレベルの環境を求めていくのも理解は出来るので、移籍先で出場の勝算が高い環境を選んでくれる事を祈るばかりだ。京都としては、今後のクラブとしての成長をさせていく為に、今季の町田ゼルビアや昨年のアビスパ福岡の様にクラブの予算が少なくても監督の手腕で選手価値を高められるチームになり、J1定着を狙っていって欲しい。


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