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指点字と、「ふれる」こと ~福島智先生ゼミの前に~

第4回京大リアルゼミ(12/20 14:00~16:00)は
「盲ろう者」のリアルを語り合う京大ゼミ ~障害ってなんやねん!?~
ということで、東大教授の福島智先生に来ていただきます。
詳細はこちら
https://note.com/kyotoreal2019/n/n6cb03c2ad5a2
参加フォームはこちら
→https://forms.gle/nzV9ZkbGuqLRH76u6

京大リアルゼミnoteを読んでくださっているみなさま、お久しぶりです。ペンネーム「ムシキング」です。
先日の京都は初雪でしたね。すっかり寒くなってきましたが、おうちで大事に飼っているカブトムシは12月になっても生きていたりします。

福島智先生と、指点字

さて、12月20日の京大ゼミには、盲ろう者として初めて大学教授になった福島智先生(東京大学)をお呼びします。
福島先生といえば、福島先生のお母様や、福島先生の周囲の人々と共に先生が作り上げられた「指点字」。「東京盲ろう者友の会」さんのHPでは以下のように紹介されています。

指点字
盲ろう者の指を点字タイプライターの6つのキーに見立てて、左右の人差し指から薬指までの6指に直接打つ方法です。
(http://www.tokyo-db.or.jp/?page_id=148)

先日、zoomを使用して福島先生とのゼミの打ち合わせにて、私は初めて指点字がどのように行われているのか目にしました。
詳しくは福島先生の著作を読んでもらったり(『盲ろう者として生きて 指点字によるコミュニケーションの復活と再生』(明石書店)など多数)、ゼミに来ていただくとして、、、

私個人としては、指先と指先が「ふれ」てコミュニケーションが行われているその様に、何か常日頃うっすらと感じている「さびしさ」を埋めてくれるものがあるなあと感じました。

「さわる」と「ふれる」

リアルゼミも大変お世話になっている、東工大の伊藤亜紗先生の新著『手の倫理』の冒頭で、伊藤先生は英語の”touch”を「さわる」と「ふれる」に分けています。

物としての特徴や性質を一方的に確認する動詞としての「さわる」。
人間的なかかわりであり相互的な動詞としての「ふれる」。

指点字は情報を訳して伝達するツールとしては指に「さわって」います。誰が話しているのか、発言者を明示し、極力話している言葉をそのまま、指点字通訳の方は福島先生に届けます。通訳者が安易に言葉を削っていってしまうと、会話の文脈は福島先生に伝わりません。

しかし、通訳の方と福島先生の間には相互のコミュニケーションがありました。「さっきのこれ、伝わってる?」というような言葉を使った確認だけでなく、お互いの指先を通じて伝わる様々な感覚ーー「タッチ」の速度や強さ、肌の温度などーーの共有。感覚の共有が実現させる感情ーー楽しそうだな、喜んでるな、怒ってるな、焦ってるな、悲しんでるなーーの共有。それは指点字が一方向に「さわる」だけでなく、双方向に「ふれる」、「ふれ合う」言語であることを直感的に教えてくれます。

余談ですが、以前の自己紹介にも書いたように私の弟には重度の知的障害があります。弟は機嫌がいいとやたら私をさわってきます。抱きしめられたりもします笑。私も慣れているので、いい年こいた男同士ですが、抱きしめ返してあげたりします。すると言葉はあまり話せない弟の微妙な感情の機微ーー好き、寂しい、遊びたい、退屈、、、それらがないまぜになった「こころ」ーーが、不思議と伝わるんです。そこで弟に「どしたん、寂しいん?」と聞いてみると、弟はうなづいて満足そうにしたりします。


コロナ禍では直接人と会いにくくなりましたが、その分気軽にオンラインミーティングを行えるようになりました。以前はメールや電話だけで話していた人の顔を見られるのはとても嬉しいことです。しかし、どうやってもその人に「さわる」ことはできません。その人の人柄に「ふれられた!」という感覚を抱くことも、難しいです。

当日、福島先生はたくさん語り合いたいとおっしゃってくださっていますので、いろいろな話を聞けるかと思います。人に「さわる」「ふれる」ってなんだろう、とくるくる考えながら先生の話を聞くのも楽しいんじゃないかな、という、私の提案でした。

第4回京大リアルゼミ(12/20 14:00~16:00)は
「盲ろう者」のリアルを語り合う京大ゼミ ~障害ってなんやねん!?~
ということで、東大教授の福島智先生に来ていただきます。
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