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京都読書会オドラ 第1回読書会『めくるめく世界』 開催報告

2023年12月17日にレイナルド・アレナス『めくるめく世界』読書会を開催したので報告します。

読書会は第1回でしたので参加者は全員初めてでしたが、主催者を含め3名が参加しました。お集まりいただきましてありがとうございました。

第1回読書会の課題本はレイナルド・アレナス『めくるめく世界』(国書刊行会)でした。

レイナルド・アレナス『めくるめく世界』

18世紀に実在した修道士の人生を虚実織り交ぜて語る歴史小説ですが、参加者からは以下のような意見が出ました。

  • バカっぽい世界観だが、歴史上の人物の登場のさせ方に教養を感じさせる。

  • 人称の変化は厳密に幾何学的に実践されるのかと読み始める前は思っていたが、意外にそういうわけではなく、物語の後半になるにつれ書く勢いの方が優先されてきたように思える。

  • ガルシア=マルケスと比較すると、ガルシア=マルケスの方が小説の構成が論理的、描写が美しい。アレナスは構成が奔放で、描写にえぐみがある。

  • 独特の比喩を使用する文体。

  • 人がどんどん死ぬ。重要だと思っていた登場人物も簡単に死ぬ。

  • 結末近くの章「34 いわば凪の季節について」の美しさは絶品。

  • 監獄からの脱出、再び収監…を繰り返す。苦しみの理由があってそれを取り除けば解放されるのではなく、世界それ自体が監獄という世界観。そこからの解放は死だけしかない。それなのにこの結末。

  • 主人公が世界を遍歴するという内容は、セリーヌ『夜の果てへの旅』やボルヘス『不死の人』に似ている。

読書会の課題本とは別に、読書会冒頭で、最近読んだ本、気になった本を参加者から紹介していただきました。

ジョン・ファンテ『犬と負け犬』
大江健三郎『親密な手紙』
夢野久作『死後の恋』

読書会後の懇親会では、上記の本に加え、いろいろな作家の話で大いに盛り上がりました。第2回の読書会はウィリアム・フォークナー『アブサロム・アブサロム!』を課題にして2024年2月10日19時から開催します。お気軽にご参加ください。お申し込みはこちらから受け付けております。

読書会は1、2ヶ月に1回のペースで続けていきたいと今のところ考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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