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映画『MINAMATAーミナマター』~ユージン・スミスが伝えたかった真実~

現在上映中の映画『MINAMATAーミナマター』を見た。

「水俣病」のことは、もちろん知っていた。日本の公害病の一つという社会科の授業で習ったレベル。けれども、ここで生きている、闘っている人々のことは知るよしもなし。

写真家ユージン・スミスの名前も聞いていただけ。でも彼がどれほど、水俣に生きる人々のことを思い、そこで何を感じ、どう行動したかという彼の本当の気持ちなどは、映画を見て初めて知った。

アメリカから、異国の地・日本の水俣で住みながらの写真撮影は、大変な苦労だったと思う。最初は地元の人々に写真撮影を拒否され、受け入れられなかった彼も、妻のアイリーンと共に粘り強い行動をすることで、お互いを信頼し、後世に残る写真を撮ることができた。

水俣の人々の生活や、叫び、思いをそのまま代弁した彼の写真で、初めてこの「水俣病」の存在をより力強く、世界に知らしめることになったのだ。一枚一枚に動かぬ真実が示されているから。

映画の中にあった、当時の患者たちの実際の動画にも、見ていて心が痛かった。そして胎児性水俣病のため、見えず、聞こえず、話せない寝たきりの女性。娘であるその女性を、母が抱きかかえて入浴する姿に、ユージンは最初、言葉もなかった。私も見ていてつらく、思わず涙がこぼれた。でも、そのつらさの裏には、確かに感じられた神秘的な美しさと、深い愛情、家族の絆。そんな思いを抱いてユージンは最愛の1枚を残した。

水俣病が残したもの。今の私たちは絶対に忘れてはならないと思う。昔のこと、過ぎ去ったものにしてはいけないのだ。そして、現在も便利な生活を一方的に追及するあまり、世界中で多くの環境破壊が進み、人々の命が危険にさらされている。こんな事実に目を背けてはならないのだ。

世界的報道写真家ユージン・スミスがミナマタの地から伝えたかった真実。この映画が力強く教えてくれた。





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