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『絵本で自分探しの旅』~「っぽい」の深い意味~

大人の読み聞かせグループ『絵本で自分探しの旅』(風の子さん主催)の今回の絵本は

『っぽい』  ピーター・レイノルズ ぶん・え  なかがわちひろ やく

題名からして、面白い。それに、なんか示唆的!ペンで描いたようなタッチが、心を柔らかく、ほっこりさせてくれる。

たくさんある絵本の中で、この1冊と出会えるには本当に奇跡だと思う。自分では手に取ったことがないような絵本と、この活動で出会えるのが楽しくてたまらない。

そして、自分一人で読むのは、それはそれでとっても心豊かになるけれど、同じ絵本を読んで、他の方の意見が聞けることが、この活動の醍醐味だと思う。メンバーの違った視点からの意見は、私の心の良き栄養になる感じ。これこそ、複数メンバーで読む大きなメリット!

主人公ラモンは絵を描くのが大好きな男の子。ところが、おにいちゃんがラモンの描いた花びんの絵を馬鹿にする。絵を描く気をなくしたラモンに妹のマリソルは・・・・

「ちゃんと かびんっぽい えだよ。かびんの きもちが するもん」

ラモンがくしゃくしゃに丸めて捨てた絵がいっぱい貼ってあるマリソルの部屋で、こう話す。

「かびんのきもち?」ラモンもそうだが、私も一瞬、目が点になった。花びんに気持ちがある?じゃ、花びん自身は、どんな気持ちがするんだろう?

このマリソルの一言で、ラモンの気持ちは大きく変わる。

「そうか。『っぽい』えでも いいのか・・・・」

そして私の気持ち、考えも大きく変わった瞬間だった。絶対に○○しなければならない。こうやらなければダメ。そんながっちりした枠組みに「っぽい」をスポイトに入れた液体のように、ポトリと一滴。

あ、なんか、ふんわり。考えが柔らかくなって、動き出した感じ。心の中にそよ風が吹いて、肩の力も抜けてきた・・・

それからのラモンは、形のないものの「っぽい」絵や、心に浮かぶ言葉もどんどん書き出し、「世界をまるごと味わって」暮らす。ラモンは、ラモンらしく生きることを無事、見つけたのだ。

セッション中、風の子さんから「絶対に、完璧でないとダメなことは?」との質問に必死で考え、「家の戸締りとガス栓のチェック」と答えた私。今の私には、仕事も、家事も、その他、大、小もろもろのことも「絶対に、100%完璧でないとダメ」なものは、ないことに気づき、ちょっと驚いてしまった。実はすでに、すべてのことに「っぽい」が静かに入っていたのだ!

全く考えが及ばなかった!この絵本のラモンとマリソルの会話が気づかせてくれたのだ。「っぽい」の深い意味を。

何だか、すべてのことや、目に見えないものの見え方、感じ方が絵本を読む前と全然違うことを、今、はっきり感じている。




過去の『絵本で自分探しの旅』記事です。





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