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美味しい牡蠣を作るには”川”が必要 〜陸前高田の牡蠣を紐解く〜

ワインと牡蠣。
よく言われるテッパンの組み合わせ。

ワインには食材と合わせる「ペアリング」が必ずセット。

陸前高田には有名な牡蠣のブランドがある。
東京然り、全国のオイスターバーではほぼ見かける「広田湾産牡蠣」
ミルキーで大きいことはさながら、ミネラリーな味わいが特に特徴的。

隣の気仙沼や大船渡も港町だが、陸前高田の牡蠣には勝てないとよく漁師はおっしゃる。

なぜ?と私も思ったが、要は「川が無いとより良い牡蠣は育たない」のだと。
つまるところ、川からの栄養分が海に流れ出ることが養殖には重要なのだと。

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陸前高田市には「気仙川」という大きな川が存在する。
急峻な山と山との間を削ったかのように流れる大きな川。
この川が広田湾に直接流れこみ、リアス式海岸ゆえの広田半島と唐桑半島に内湾は守られ波が穏やかなことによって、海の栄養がベストに保持される、ということで牡蠣の養殖には絶好のロケーションなのだ、と。

よく「漁師は山に木を植えろ」という言い伝えがあるが、まさにそれは海を育てるためであり、全てが繋がっているのだということ。
また、森がなければ土砂災害も容易に起こるわけで、森がダムとなり、まちを守ることにも繋がるのだと。


陸前高田という地域は、岩手県の中の「気仙郡」という地域に属している。
住田町、大船渡市、陸前高田市の3市町で形成されており、地域性や文化がとても似ている。

陸前高田市と隣接するのは宮城県「気仙沼市」。
「気仙郡」と「気仙沼」と名前が似通っている。

そもそもこの「気仙郡」、今では岩手県だが、元々は「伊達藩」。
そのため、岩手の文化というよりかは宮城北部の文化に近いと思う。それでも独自性の文化ではあるが。
「ケセン語」という方言もあり、私も地元の人と話すときは自然と「ケセン語」になる。
そして”岩手と言ったら”の「わんこそば」は正直人生の今までやったことがなく、子どもの頃から親しみがあったわけでもないのであまりピンとこない。

この「ケセン」という言葉の由来だが、まず「気仙沼」の由来が、「計仙麻(ケセマ)」というもの。
この「計仙麻(ケセマ)」は、気仙沼の大島から由来があり、大島自体を「神島」とも呼ぶのだが、その大島の「亀山」の展望台から周りを見渡すと、それはもう入り江ばかり。大島は東北最大の”島”。

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「計仙麻(ケセマ)」の「ケセ」とは「削る、そぐ」という意味があり、「マ」は「湾」のことを指している。
つまり、「計仙麻(ケセマ)」とは、「リアス式海岸」のことを指している

それが段々と北上するにあたって、ケセマ…ケセマ…ケセン(気仙)と訛って言い伝わっていったのではないか、ということ。

まさに陸前高田市の中心地となってきた地名が、「気仙町」であることから、「計仙麻(ケセマ)」繋がりでまちが興ってきたのだということをより明白にさせる。

ちなみに大島の地質。基本的に赤土。
震災前までは船でしか大島に行けなかったが、震災後に気仙沼からの大橋がかかり、自動車でも行けるようになっま。

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日本最大のリアス式海岸である三陸海岸。
そのことは「気仙」として地名となり、その「削いだ」ような地形で山から海へ注ぐ川は「気仙川」と名付けられた
、と。

つまり、その地形ゆえにより多くの栄養分が川に含まれ、陸前高田では川は川でもより美味しい牡蠣を育てられるのだと、いうこと。

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地形、地質、地名、これらは過去を映し出す重要なファクター。
なぜ、その産業が勃興したのか、続いているのか、そうしたことは私は暇さえあれば調べている。

畑を探す際にも、防災のためにも、ハザードマップや地名は大事な指標。


牡蠣の話だが、旬は冬前から春先。
夏はウニ。今日はまさにウニの開口日だったよう。楽しみ。

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