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不登校令和4年度はさらに増加で過去最多。緊急対策の通知について




令和4年度の調査結果もありました

前回、令和3年度の調査では、不登校とされている児童生徒が、小学校及び中学校で約24.5万人、高等学校を合わせると約30万人となり、過去最高と文部科学省から発表されているとお話ししました。
今日、再度不登校について確認すると、令和4年度の調査結果も公表されていました。
さらに人数が増えています。

令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数が約29万9千件(過去最多)、うち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が約11万4千人(過去最多)、うち90日以上欠席している児童生徒数が約5万9千人(過去最多)

(「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(通知):文部科学省 より引用して一部抜粋)

不登校に関する緊急対策

これをふまえて、文部科学省では、「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」について通知を出しています。
その中で不登校緊急対策としては、次のように打ち出されています。

1.不登校緊急対策

 不登校の児童生徒全ての学びの場の確保、心の小さなSOSの早期発見、安心して学べる学校づくり等のため、本年3月にとりまとめた不登校対策であるCOCOLOプランを前倒しし、以下の取組を進める。

 ①不登校の児童生徒全ての学びの場の確保

 ・落ち着いた空間で学習・生活できる環境を学校内に設置するため、校内  教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)未設置校への設置促進

 ・学校内外で支援が受けられていない児童生徒がオンラインで自宅等から学べるよう、教育支援センターのICT環境整備

 ・どこにもつながっていない児童生徒に支援を届けるため、自治体の体制を強化することを目的とした、教育支援センターのアウトリーチ機能など、総合的拠点機能の強化

 ②心の小さなSOSの早期発見

 ・アプリ等による、困難を抱える児童生徒の支援や専門家の支援を活用した心や体調の変化の早期発見・早期支援を目的とした、「心の健康観察」の推進

 ・1人1台端末を活用した、子供のSOS相談窓口の集約・周知

 ・より課題を抱える重点配置校へのスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実

 加えて、不登校施策に関する情報が児童生徒や保護者に届くよう、情報発信を強化するため、以下の取組を進める。

 ③情報発信の強化

 ・学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校。以下同じ。)設置ノウハウや課題の共有のための全国会議を開催するとともに、設置経験者を自治体に派遣し相談・助言が受けられる制度の創設

 ・各教育委員会において作成した地域の相談支援機関等に関する情報の文部科学省HPでの一括発信

(「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(通知):文部科学省 より引用して一部抜粋)

ここに記されているcocoroプランとはどのようなものでしょうか。

cocoroプラン

この通知の冒頭は、このような文章で始まっています。

不登校児童生徒が増加する中、文部科学省では「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLO プラン)を取りまとめました。関係各位におかれては、本プランも踏まえ、不登校対策の速やかな推進をお願いいたします。

(「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について(通知)」より一部引用)

COCOLO プランの「COCOLO 」は、
Comfortable Customized and Optimized Locations of learning の略。
1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
3.学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする

この3つの視点から、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指しています。

以下1~3は、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「 learning COCOLOプラン」(概要)から引用しています。

1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えるとは

仮に不登校になったとしても、小・中・高等を通じて、学びたいと思った時に多様な学びにつながることができるよう、個々のニーズに応じた受け皿を整備。
○不登校特例校の設置促進(早期に全ての都道府県・指定都市に、将来的には分教室型も含め全国300校設置を目指し、設置事例や支援内容等を全国に提示。「不登校特例校」の名称について、関係者に意見を募り、より子供たちの目線に立ったものへ改称)。
○校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)の設置促進(落ち着いた空間で学習・生活できる環境を学校内に設置)
○教育支援センターの機能強化(業務委託等を通して、NPOやフリースクール等との連携を強化。オンラインによる広域支援。メタバースの活用について、実践事例を踏まえ研究)
○高等学校等における柔軟で質の高い学びの保障(不登校の生徒も学びを続けて卒業することができるような学び方を可能に)
○多様な学びの場、居場所の確保(こども家庭庁とも連携。学校・教育委員会等とNPO・フリースクールの連携強化。夜間中学や、公民館・図書館等も活用。自宅等での学習を成績に反映)

2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援するとは

不登校になる前に、「チーム学校」による支援を実施するため1人1台端末を活用し、小さなSOSに早期に気付くことができるようにするとともに、不登校の保護者も支援。
○1人1台端末を活用し、心や体調の変化の早期発見を推進(健康観察にICT活用)
○「チーム学校」による早期支援(教師やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭等が専門性を発揮して連携。こども家庭庁とも連携しつつ、福祉部局と教育委員会の連携を強化)
○一人で悩みを抱え込まないよう保護者を支援(相談窓口整備。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが保護者を支援)

3.学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にするとは

学校の風土と欠席日数には関連を示すデータあり。学校の風土を「見える化」して、関係者が共通認識を持って取り組めるようにし学校を安心して学べる場所に。
○学校の風土を「見える化」(風土等を把握するためのツールを整理し、全国へ提示)
○学校で過ごす時間の中で最も長い「授業」を改善(子供たちの特性に合った柔軟な学びを実現)
○いじめ等の問題行動に対する毅然とした対応の徹底
○児童生徒が主体的に参画した校則等の見直しの推進
○快適で温かみのある学校環境整備
○学校を、障害や国籍言語等の違いに関わらず、共生社会を学ぶ場に

この記事のまとめ

「不登校」と「いじめ」は、学校教育での最重要課題です。
教員採用試験では、一次試験に限らず面接での質問や、場面指導での出題も考えられます。
こういったプランや通知にも、目を通しておくことも大事だと思っています。


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