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寅年の悲劇⁉️トラサミットがおかしなことになっていた件🐯

はじめに

こんばんナマステ💛Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

今日は昨夜Clubhouse『インドの衝撃(インド大学)』で話したトラサミットの話を書いていくよっ🐯

早速、主宰の広瀬さんが音声版つくってくれたよ❗️(約29分)

ちなみにポッドキャスト、いろんなところに出されてるんだけど、収益が上がるやつがあるらしい。

ほんの少しでも自分の権利収入になる方法を模索しなきゃダメだよなあ。

今回の話は昨年『インドの衝撃』で話し、ここでもテキスト化したベンガルトラの話の続編といえば続編になる。

音声版はなんと53分‼️

なのでテキストも長くなり、4回に分けた。

それじゃあ早速いってみよう、ガォーッ🐯

12年前の約束🐯

今年は寅年🐯

なんと12年ぶりの寅年🐯🐰🐲🐍🐴🐏🐵🐔🐶🐗🐭🐮🐯

小泉進次郎みたいだけど笑

十二支って中国を中心に日本から東南アジアくらいにしか広まってないと思ってる人が多いと思うけど、そんなことなくてインドや東欧にまで広まってる。

インドでは酉年がニワトリじゃなくてガルーダだったり国によってマイナーチェンジはあるけど、寅年は大抵は虎。(豹の国もある🐆)

んで、この12年間というのは虎にとっては実はものすごーく意味のある12年間だった。

というのは2010年、ロシアのサンクトペテルブルグでGlobal Tiger Summitが開催され、虎の生存国が集まり、虎を保護し増やすための施策が話し合われた。

リンク先にもあるように、日本ではトラサミットと呼ばれて結構な話題になった。

ここで締結された重要な合意が「2022年までにトラを倍にする」ということ。

TX2というんだけど、これは別に八潮から野田方面に第2のつくばエクスプレスを建設するというではなく、Tiger❌2ってことね。

TX2を和訳すれば虎倍増計画、もっとポップにバイトラとか。

2010年トラサミットの時点で全世界には3,200頭の虎がいるということが確認されているので、それを3,200頭増やした6,400頭にするということになる。

ちなみにここでいう虎は現存するベンガルトラ、シベリアトラ(アムールトラ)、アモイトラ、インドシナトラ、マレートラ(ハリマオ)、スマトラトラの6種を引っくるめてのことなので。

名前を見たらだいたいどの地域の虎なのかはイメージつくと思う。

もうひとつ毎年7月29日を世界トラの日(World Tiger Day)にするというのもトラサミットで決まり、実際に虎の生存各国では啓発イヴェントが行われ、TX2に向けた中間報告もされてきた。

サミットが11月だったのになんで、7月29日なのかはよくわからないけど。

理由知ってる方がいたらご教示願います💦

そしていよいよ運命の2022年、寅年を迎えることになった。

12年後の9月また会えるのを信じて🐯

この12年間デトロイトタイガースは1度ワールドシリーズに出場したけれど、阪神タイガースは2位止まり。

寅年に夢を賭けるも序盤の時点でそれは難しいことが明らかになった。後半の追い上げを見れば、序盤勝てたら違ってたなとは思うものの。

そんな寅年に夢を賭けていた虎党は彼らだけじゃなかった。

さっきから出てくるWWFってなに❓って思うよね。

世界自然保護基金という世界最大の環境NGOで、当初の名称だったWorld Wildlife Fundからその略称になっているけれども現在はWorld Wide Fund for Natureに改称している。和訳に変更はない。元々意訳だし。

本部はNY。ポッドキャストではジュネーヴとか言っちゃったけど😅

1970年代以降虎の保護に熱心で、虎のこと調べてたら必ずWWFにぶちあたる。

2010年のトラサミットにももちろん全面的に協力して、特に日本語のトラサミット情報はほぼWWFジャパンが出していた。

そして前掲のリンクにはこのようなことが書かれている。

2022年は、トラにとって重要な年です。寅年ということだけではなく、トラが生息する13カ国の政府などが一堂に会するグローバル・タイガー・サミットが開催される年なのです。この会議では、前回2010年の会議で定められた、トラの数を2倍にする目標「TX2」の達成度合いが報告されるとともに、次の目標が定められる予定です。

今年のトラサミットに向けてやる気満々💥

ところが今年に入りWWFは沈黙してしまう。

なぜなら今年のトラサミットの開催はロシアのウラジオストクの予定だから。

2月のウクライナ侵攻の瞬間、頭をよぎったのは6月にカザン🇷🇺で行われる世界遺産委員会と9月のトラサミットどーすんの⁉️ってこと。

世界遺産委員会は既報の通り欧米の総スカンを喰ってUNESCOは無期限延期というかたちで先送りにした。

でもトラサミットは虎生存国がロシアと関係の悪くない国が多い。

欧米がギャーギャー言おうと、あなたの国に虎棲息してませんよね❓(ひろゆき風)なので、

強行開催もありうるよなー、とは思ってた。

春が来て、初夏が来て、そしてよくわかんないうちに梅雨が明けて夏が来て。

トラサミットの情報が全然流れないのを毎日新聞が察知して7月29日に記事を出してたりもした。

WWFジャパンは8月3日にトラサミットに何も触れない不自然な記事を出した。

トラサミットは一体どこへ行ってしまったのだろう。

それはサミットじゃなくて🐯

ということでトラサミットは闇の中に行ってしまったんだけど、

英語でよくよく探すと「らしきもの」はやられていた。

これ。

9月5日にウラジオストクで開催というところまで完全に一致してるし、「第2回」を謳っている。

このInternational Tiger ForumがトラサミットことGlobal Tiger Summitの代替と考えて間違いないと思う。

この日取りと開催都市には意味があり、ロシアがウラジオストクで毎年開いている東方経済フォーラムのいちイヴェントとしてトラサミットが開かれることは元々決まっていた。

東方経済フォーラムはシベリアへの開発投資を話し合う国際会議で故安倍晋三日印協会会長も首相時代に出席したことがある。

そんな東方経済フォーラムのオープニング=イヴェントというかたちになったトラサミット改めトラフォーラム、その内容を見てみようじゃん。

掻い摘んで見ていくとこんな感じ。

12年前サンクトペテルブルグで開催された「Tiger Summit」で設定された目標の多くが達成された。虎の個体は全世界で40%増えている。個体数が着実に増加しているインド、ネパール、ブータン、中国の仲間たちの功績を称えるとともに開催国ロシアも増やしたことを誇りたい。

虎の保護に関するウラジオストク宣言は、第2回International Tiger Forumの主要な成果となっており、すべての虎の生息域の国々がこれに署名した。

今日、私たちは虎の生息国による12年間の取り組みの成果をまとめまた。専門家の推計によると、現在、野生の虎は約5,000頭生息している。ロシア、インド、ネパール、ブータン、インドネシアで個体数が増えている。 これは、国家や公的機関、科学的な機関による懸命な保護活動の結果。しかし、残念ながら、虎の数が減少している国もある。なぜそうなったのかを理解し、今後12年間で状況を改善する努力が必要であることは間違いない。

12年前は3,200頭だったのでいまが5,000頭なら56%の増加。40%の増加ならいまは4,480頭。どっちやねん👊

んで、え〜と、12年前のGlobal Tiger Summitの数値目標って何だったっけ。忘れちゃった人は上の方見てね😅

具体的数値の目標もなければ、12年前に掲げたTX2に対するまともな振り返りもない。

TX2の目標に対しての達成率が40%ないし56%なら、明らかな失敗。それをちょっとでも増やしたから讃える、誇るとか何なの😡

ただし、個別の国でいえば達成している国があるのであれば、その国の方策と達成できなかった国の方策を見比べて、新たな提言が必要なのではないのかな。

ということで、とりあえず個々の国の成果も見ていこうか。

ここに各国からの報告が載ってる。

順不同で紹介していくよ。

北朝鮮🇰🇵

Sin HongChol駐ロシア朝鮮民主主義人民共和国特命全権大使「虎は朝鮮民族の象徴であり、北朝鮮はその生息地を大幅に復元し、希少動物や絶滅危惧動物の保護のための法的枠組みを構築するために努力している。主にロシアと中国との国境国間の協力を提唱している。」

北朝鮮の虎はシベリアトラ(アムールトラ)。具体的数値もなく、実際頭数の把握もできてないっぽい。国境近くの白頭山(ペクトゥサン)にいるとは言われる。噂レヴェルでは韓国との軍事的緊張のあまりかえって自然の宝庫になっているDMZ(非武装地帯)にもいるとも。なので韓国にも虎はいる可能性がある。まずは頭数の把握を急げ。

ミャンマー🇲🇲

Khin Maung Yi天然資源・環境保全大臣「推定36頭が生息。トラの違法捕獲・取引 を撲滅する国際機関やNPOと協力し、近代技術を駆使して虎の生息数の保護に積極的に取り組んでいる。現在58の保護区があり、国土のほぼ半分を占め、虎は国土の7%に生息。虎の個体数を増やすために、国家的な虎保護プログラムを策定している。2028年までの国家虎保護計画の完全実施にはUSD1000万が必要で、現在その約半分が計上されている。」

こちらはインドシナトラ。北朝鮮よりはずーっとまともな報告だけど、今の軍事政権が本当に国際機関やNPOと協力してるんだろうか💦

タイ🇹🇭

Somphot Duangchantrasiriタイ王国天然資源環境省国立公園野生生物植物保護局Scientist of Senior Professional Level「タイでは、虎の違法な捕獲や体の一部の取引、また多くの保護区での食料不足などにより、トラの生息数が厳しい状況にある。現在のトラの生息数は148〜189頭と推定されている。今後、既存のトラの生息地の質を維持するよう努めるとともに、過去10年間目撃されていない他の地域にも虎の生息地を拡大する予定。また、虎の再導入の可能性も検討されている。」

こちらもインドシナトラ。端数で推定している以上、それなりの根拠があるんだろうけど、対策が後手に回ってる感はかなしいなあ。周りの国より裕福なタイはもっとできると思う。

※タイの担当者は記事中に明言なし。他記事のタイ代表の発表と推測。

ラオス🇱🇦

Thongphath Vongmany農林副大臣「ラオスはフォーラムのメンバー国だが、残念ながらこの12年間で虎は完全に姿を消した。しかし、国はあきらめず、虎の再導入を計画している。ラオスではすでに森林面積の70%を新たな虎の生息地として割り当てており、そのために飼育されている捕食動物を利用する計画。また、国民の意識を高め、希少動物である虎の狩猟をなくすための活動も積極的に行っている。ラオスはトラの生息域内のすべての国と緊密に協力し、自然保護区に関する国際基準や要求事項を遵守するよう努めている。また、この目的のために環境保護法を改善した。」

インドシナトラ絶滅😭

まぁでもこれってTX2の欠点だよね。「各国の努力」任せにして国際的な連携を怠っていた結果だと思う。ラオスに何が足りなかったのかの検証はされなきゃいけない。

カンボジア🇰🇭

Chea Sam Ang環境省長官「カンボジアでは、ラオス同様、虎は表向きは絶滅したと考えられている。虎の個体数を回復させるためには、再導入計画を策定し、実施する必要がある。現在、カンボジアには2つの保護区があり、合計1万平方キロメートルの面積がある。そのために、虎の生息域の隣国やNPO、国際環境団体と密接に連携し、地域社会との交流も深めていく予定。また、虎の保護プロジェクトに資金を提供するための特別基金の設立、虎の移動のための国境を越えたコリドーの整備、モニタリングの質の向上などを提案した。」

ここもインドシナトラを絶滅させてしまった様子。ただ、ラオスとカンボジアに共通していえるのは補足能力自体の欠如。ちゃんと捜せばまだ生き残ってる可能性もありそう。隣国との協力云々言ってるけど、絶滅させてるわけだからタイやヴェトナムなどに助けてほしいってことだよね。

※カンボジアも記事中に発言者の明言はなく他記事の出席者を引用。

ヴェトナム🇻🇳

Pham Van Dienヴェトナム農業農村開発省林業局副局長「国内の7つの保護区におよそ30頭の虎が生息している。虎を保護するために2018年、密猟を犯罪とする法律を施行。2014年には、2018年から2020年までの国家虎保護プログラムを採択。虎は非常に広い範囲を移動することができ、国境を接する中国、カンボジア、ラオスと虎の個体群を保護するために協力し、努力を重ねることが重要。」

ここもインドシナトラ。協力すべきというラオスやカンボジアにはもういないのだけど、自国だけでは虎は守りきれないというのは本当にその通り。

ネパール🇳🇵

Ram Chandra Kandelネパール森林環境省国立公園野生生物保護局局長「2010年、ネパールには120〜150頭のトラが生息しており、その個体数を12年間で2倍にすることを目標に掲げ、個体数を2倍にできただけでなく、この数字を上回ることができた。現在では300頭を超える虎が生息している。虎が生息する保護区が主に3つあり、国土の23%を占めている。ネパールは1970年代から生物多様性の保全に取り組んできた。2010年からは、虎の保護対策を強化しており、虎の生息数の増加は、虎の違法取引に最高レヴェルの政治レヴェルで対処し、国立公園の境界を保護するなど、さまざまな仕組みを駆使してきたことが要因。また、虎の影響を受ける地域住民との連携にも大きな関心を寄せており、虎が農作物を荒らしたり、家畜を殺したりした場合、住民に補償金を支払う特別な仕組みを構築している。インドと密接に連携し、虎の保護と個体数の増加に努めている。これらの成果を踏まえ、ネパールは今後、虎の食料供給の維持、生息域の拡大、国立公園の境界線の保護、インフラ開発による虎への被害の最小化などに力を注いでいく予定。」

ベンガルトラ圏。元々自然保護には熱心だけども、2010年からということはトラサミットに感化されたんだろうね。そこから熱心に保護を始め、TX2の目標である2倍増を超える成果を成し遂げた優等生。隣国インドの力を借りれるのは大きいにしても、貧しい国がここまでやっている以上他国は多いに学ばねばならない。

バングラデシュ🇧🇩

Amir Hosain Chowdhury環境・森林・気候変動省森林主任「バングラデシュでは、虎の生息数がわずかに増加しており、2018年現在、同国には114頭のトラが生息しており、2014年から8%増加している。利用可能な食料供給量の推定に基づくと、バングラデシュの森林には最大で200頭の虎が生息している可能性がある。バングラデシュ政府は憲法を改正し、18の地域を特別保護区に指定した。2012年、バングラデシュは野生動物保護法を成立させ、虎の殺害に対する厳しい刑事罰を制定し、環境・森林・気候変動省の後援のもと全国トラ保護委員会が設立した。2020年以降、これらのテリトリーでは木の伐採が減り、狩猟が許可される土地の面積も減少した 。バングラデシュは、トラと人間との衝突状況を解決するためのさまざまな施策も実施している。2021年には、こうしたケースを報告して支援を受けることができる報告システムが開始された。」

ベンガルトラはバングラデシュの国獣。守るために改憲までやっちゃう、ってのは凄い。

ただ、隣のインドに何千頭もいるのに、バングラデシュはそんだけなの❓感はある。

だいたい2018年現在のデータを出してくること自体が、いったい今何年だと思ってるの❓的な。

カザフスタン🇰🇿

Aliya Shalabekova生態学・地質学・天然資源省副大臣「カザフスタンは虎の再導入プログラムを開始する意向。タイガーフォーラムの期間中、ロシアの天然資源環境省とこの問題に関する協力の覚書に調印した。カザフスタンにとって、これは非常に大きなプログラム。生物多様性条約のメンバーとして、生態系の保全と回復を重視している。前世紀半ばにカザフスタンの領土に虎がまだ存在していたことを考慮し、我々は虎の個体群を以前とまったく同じ地域に再現し、再導入することを決定した。2025年までに十分な食料供給源を作り、トラの再導入に必要な森林を回復させることに期待を示した。このプログラムは、2010年から開発が進められている。現在、カザフスタンではバルハシ湖の近くに、総面積415,000ヘクタールの特別自然保護区が作られている。現在、この保護区には、約45種の哺乳類、280種の鳥類、420種の植物が生息している。、プリモリエに生息するアムールトラは、この土地に初めて足を踏み入れる縞模様の肉食動物になると期待されている。」

とりあえず今は虎がいないんでしょ❓ロシアの子分としてフォーラムの壇上にいる気がする。

といったところで、本当は虎を増やしている中国やインドネシアの話も聞いてみたいけど、報告がUPされてるのは上記の国と開催国のロシア、そしてインドだけ。

この2ヶ国の話は単なる虎の保護を超えた話へ発展していく。

ウラジミールと見ている未来🐯

では開催国ロシアの発表を見ていく🇷🇺

まず、時の人プーチン大統領からのヴィデオ=メッセージ。

「国際協力を強化し、虎の保護で成功を収めた人々と経験を交換するという目標は、最も重要なものです。インド、ネパール、ブータン、そして中国の仲間たちが、この大型の野生ネコ科動物の個体数を着実に増やしていることに、私は満足しています。また、ロシアにも誇れるものがたくさんあります。12年前、極東のタイガに生息するアムールトラの成獣は390頭以下でした。12年前、極東のタイガにはアムールトラの成獣が390頭もいなかったが、今では子の虎も含めて約750頭が生息しています。これは国家レヴェルの計画的な対策もさることながら、何よりもロシアの科学者、愛好家、環境保護団体が連携し、懸命に取り組んできた成果が目に見える形で現れているのです。」

タイガはシベリアに広がる針葉樹林ね。

タイガにはタイガーが棲んでいる🐯

この人が国際協力とかどの口が言ってるんだろって思うけど、倍近くに増やしている実績は確かではある。TX2には届かないにしてもね。

プーチン大統領からのヴィデオ=メッセージに続き、ロシアから2名のスピーチ。

Konstantin Chuychenko 2nd International Tiger Forum組織委員会及びアムールトラセンター監督委員会委員長「このフォーラムが、虎の保護という問題に対する国際社会の関心を高めることになると確信している。なぜなら、虎は国家間の国境を越えた素晴らしい捕食動物であり、私たちは共に行動しなければならないから。したがって私たちの努力の積み重ねによってのみ、成功を収めることができる。私たちは協力して、現在も存在する脅威に対処していかなければならない。そして、力を合わせれば勝利できると思う」

Alexander Kozlovロシア天然資源環境相「過去12年間で虎の個体数が増加しただけでなく、この希少な肉食動物の生息地が拡大した。かつては沿海州とハバロフスク地方にしか生息していなかった虎が、今ではユダヤ自治州とアムール地方に生息している。生息域は18万6,000平方キロメートル近くにまで拡大した。13ヶ国が野生のトラの最後の保護者であり、肉食動物の未来は、本当に私たち全員と私たち一人ひとりにかかっている。私たちはバランスを保ち、すべての生き物に敬意をもって接する義務がある」

この2人でこの後、ロシアの取り組みについて色んなこと言ってるんだけど、長いので面白いところを。

それは、虎はテリトリーを設ける生き物なので、虎の密度を上げると、虎は窮屈に感じて生息域を自主的に拡げていくというもの。

そこに彼らの棲める森があるならね。

森林を伐採し、テリトリーを失った虎が人間を襲い、人間が虎を殺し始めたのが虎の急減、絶滅の原因なのよ。(カスピトラ、ジャワトラ、バリトラは絶滅した)

Kozlov大臣は「虎は国境を知らないため、中国との間に国境を超えた保護区Land of Big Catsを設立した」とも述べた。

ウクライナ人って敬意を持って接するべき生き物ではないの❓ウクライナの野生動物もいっぱい死んでると思うぜ。

と言いたいところではあるものの、フォーラムを開催するだけのことはきちんとしている。

ただ、TX2に一切触れないのは気持ちが悪い。

各国の政府関係者は呼ばれていても、2010年Global Tiger Summitの時みたいにNGOは全然いないし、虎の威を借りたロシアによる新しい国際的な枠組みづくりと思われても仕方がないフシがある。

虎先進国インド、先進事例と二枚舌🐯

そしてインドからはSatya Prakash Yadav国立虎保護局事務員が登壇🇮🇳

National Tiger Conservation Authority、通称NTCAっていうこんな国立組織があるって時点で国策の度合いがもう違うのね。

「ベンガルトラを国獣とするインドは、世界で最も虎の数が多く、全個体数の約70%が生息。2010年以降、年間6%ほどの安定した増加を見せている。虎の個体数を維持・増加させるために、インドは清潔な水源に特に注意を払うことが不可欠だと考えており、この報告期間中、インドでは約350の異なる水質汚染源が排除され、この種の捕食動物の個体数保護に大きく貢献した。

インドでは1973年からトラの保護活動に取り組んでおり、現在52の保護区があり、インド国内の生息域の40%をカヴァー。虎の保護に関するベストプラクティスを考慮し、カメラトラップを用いた監視、すべての虎の死亡率の記録、保護区のスタッフとの協力、人間と虎の衝突をすべて記録するための特別な方法、密輸対策としての特別基準、虎のための緩衝地帯やコリドー戦略など、さまざまな手段を組み合わせて、虎の数の増加という大きな成果をあげることができた。

インド政府はほぼ毎年、これらの対策にUSD6000万〜8000万を割り当てており、そのうちUSD450万は雇用の創出に充てられている。

現在、虎の数は増加しており、インドの人口を考えると、その個体数を管理する上で、紛争解決は最も困難な課題の一つ。そのためにインドでは、虎が生活圏に侵入した場合に人々がとるべき行動を示した特別な要件やプロトコルを定めている。また、警告システムも整備され、紛争が起きている現場には特別なグループが配備されている。」

1973年というのはデリーの空港の名前にもなっているインディラ=ガンディー首相の「虎は生きてこそ美しい」という名言で知られるプロジェクト=タイガーが始まったことを指す。

この時に多額のお金を援助したのがWWFで、WWFが虎虎虎と言い出したのはこの時からなんだよね。

虎の保護はインドから始まり、そしてインドの方法を世界に拡げているのが現状ということになる。

インド政府とタッグを組んできたWWFは2010年のトラサミットを全面的に支援し、あたかも自分達の功績のように語ってきた。

彼らにとっては夢のひとつが叶ったような気分だったはずで無理もない。

TX2の策定により世界各国で虎の保護が行われるところにWWFが協力していく。夢のような12年間だったはず。

それがまさかの開催国による兇行で狂ってしまった。

欧米人中心のWWFはロシアと組むことができなくなり、トラフォーラムはガン無視ということになった。

トラサミットの名前使うな💢みたいな攻防がロシアとあったんだろうね。

彼らの情熱は不完全燃焼で終わるのか。

ここで前掲の毎日新聞の記事にこんな一文があったことに触れておく。

情勢次第では10月にトラ保護に関する別の国際会議がインドで開かれるとの情報もある。

なんだそりゃ⁉️

んで、探してみるとあった😅

ただ、来年4月に延期になる説もある。なぜかというと、さっき1973年がプロジェクト=タイガーの始まりと書いたけど、そこから50周年が来年だから。

これとは別にユースサミットをWWFが7月にヴァーチャル開催。

なんかあれやこれやで分裂してしまっている。

そしてそれら全部にインドは絡んでいる。

今の国際政治と同じでインドは欧米にもロシアにもつかずにいる。

これが例えば気候変動とかなってくると色々考え方の違いも出てくるけどさ、

虎を保護して増やしていく、ということについて勢力が割れる理由がないよね。

国家間の協力とともにWWFをはじめとしたNGOとも協力関係を築き、新たな目標を立てていくべきなのに。

道標のない12年がはじまった

ロシア主催のトラフォーラムとWWF主催のユースサミットでは共に2034年というワードは出てくる。

次の寅年までに何かをしなくちゃいけない、という想いはあれどこれまでのTX2のような具体的な目標はなく、このままいけば減らしたり絶滅させたりする国も出るよね。

今考えられる最善の策は、チェンナイで行われるサミットにできるだけロシアをはじめとした多くの虎生存国とWWFなどの関係NGOを集めてTX2の総括と次のアクションを定めることだと思う。

ロシアとWWFの両方を説得できるのはインドしかいないでしょ。

人間の思惑で虎を振り回すことが虎の未来にいい結果を齎すはずがないのだから。

おわりに

ポッドキャストの方はチェンナイのサミットとユースサミットを混同してしまってる部分があるので、大変申し訳ないけどテキストの方を信じてほしい。

トラフォーラムについて日本語の報道がまったくないのはどーゆーことなんだろう。

東方経済フォーラムについての報道はあったので、日本のメディアがウラジオストクに行かなかったはずはない。

今の日本では虎がいないから無関心なんてことはなく、12年前のトラサミットはそれなりに報道もされたし、動物園でもトップクラスの人気動物のはず。

特に途上国の虎の保護では日本の援助も求められるはずで、TX2が漂流してしまった現状をもっと憂う声が出なきゃいけない。

それじゃあバイバイナマステ💛暑寒煮切でしたっ✨

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