『あもくん』 諸星大二郎
たまたま入ったカフェは、諸星大二郎のマンガが充実していた。普通のオシャレなカフェなのに。以前、諸星さんの『暗黒神話』を読んだが、重くて怖いので「私には早いんだな」とその後作品を読まずにいた。だがしかし、この充実ぶりを見だら読まずにはいられない。比較的雰囲気が軽そうな『あもくん』を手にとった。
幼い従妹に「あもくん」と呼ばれる息子、守(まもる)。主人公はこの守のお父さん。家の中に謎の手形が現れたり、街で変なものを見かけたり、山道で不思議な体験をする。『暗黒神話』と比べると圧倒的に軽い。怖いことが起きているのに、お父さんも守くんもクールだ。でも話の中に微妙なズレがあって、よく考えると怖い。「えっ誰…」「ということは、あの人にもそれが見えている…」といった感じ。なんでエピソードごとにこんなに怖いことを思いつくんだろう。
巻末に諸星さんが息子さんが眠りにつく前に話した「オリジナル怖い話」がいくつも載っている。寝る前に怖い話を聞くなんて怖い話の才能がありすぎるし、英才教育だ。私は諸星さんの家に生まれなくてよかった。イメージだが、諸星さんはしりとりをするように怖い話を紡げるのではないだろうか。もっと読みたくなった。
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