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『女二人のニューギニア』有吉佐和子

「九日もこんな山の中を歩くくらいなら死んだ方がましだ。」有吉佐和子さんが、1968年にニューギニアを旅した記録。小型飛行機を乗り継ぎ、3日間歩きづめで山奥にたどり着く。ジャングルを1日11時間歩き、足の爪が剥がれてしまい、帰ろうにも帰れない。28人の人間を殺した過去のある酋長、臭く、皮膚病もある村人たち。食べ物はコンビーフだけ。蛇や野ブタはおいしくない。

『悪女について』の小説家である有吉さんは、ニューギニアでフィールドワークをしている文化人類学者 畑中幸子さんによる誘いを深く考えずに受けてニューギニアに降り立つ。その後は前述の通り、厳しい自然環境や日本とはかけ離れた生活に本当にまいってしまう。畑中さんは、元の性格もあるだろうが、「女は豚3匹と交換される」現地の文化も踏まえて舐められないよう、現地人に強く出る。有吉さんもどやしつける。(表紙の疲労困憊しているのが有吉さん。後ろからどやしているのが畑中さんだろう)帰りたくても帰れない、自分は全く役に立たない未開の地での生活。

有吉さんにの弱りっぷりが面白い。泣き言、誰になんと言われようともう二度と歩きたくないという強い決心、畑中さんに「あんたそれでも小説家か」というようなことを言われようがもう一切どうでもよくなっている様子。家事も得意ではない有吉さんが唯一奥地で貢献できたこととは。

この本を読んで、ニューギニアだとか秘境とかは一切行かなくていいや、と思った。私は坂道と重い荷物が大嫌いで山登りが好きではない。山登りが好きな方がヘルシーでかっこいいと思って時折手を出すが、わたしは平地の散歩が好きだ。うん、よし、大変なことはやめておこう、と改めて思い直した。

『女二人のニューギニア』有吉佐和子

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