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『美しき小さな雑草の花図鑑』多田多恵子 大作晃一

植物、鳥、星といったものの名前に詳しい人と接すると、男女問わず素敵だなと思う。自分もそうなりたいと思いつつ、ぼんやりと日々が過ぎていく。そんな毎日をちょっと変えよう、とTwitterに流れてきたこの本を購入した。

家に届いたこの本をまず眺めてみる。お花の色ごとに雑草が紹介されている。オオイヌノフグリ、ドクダミ、タンポポといった名前も見かけも知っている植物がある。でもこの本のようにじっくりフォーカスして見てみたことがない。そうか、お花ってじっくり見ると綺麗で面白いんだ。ベランダに出て、ちょうど咲いているラベンダーとニームの花をよく見てみる。ラベンダーはこんな風に筒みたくなっているのか。このつぼみの集合体はこれからどうなっていくんだろう?

そしてついに図鑑とともに、近所のいつもの道を歩く。花壇に咲いている花は「買った花」で雑草ではなさそうなので、道路の端っこを見て歩く。花を見つけたら色から図鑑をひいてみる。黄色い花は多分カタバミ。ちょっと自信がないので、隣に詳しい人がいてくれたらいいのにと思うが、いないのでGoogle先生に聞いてみて確信を得る。「あなたは『カタバミ』さんだったのね!おお~よろしく!」という感じ。それからというもの、通勤していてもカタバミがよく目に入るようになる。顔なじみの友達ができて「よっ、元気?」って声をかけたくなる感じ。

正直もっとサクサクと雑草と名前が結びついて明らかになっていくと思ったけれど、なかなかそうはいかない。(花の色と開花時期、もしくはお花サイズのマトリックスとか付録にしてはどうでしょう・・・?)でもその分、わかったらとてもうれしい。お花を見つけて日傘をさしたまましゃがみ込んで図鑑を手繰り、携帯で撮影していると不審者と疑われないかドキドキもするけれど、まっさらな小学生になったみたいな気分だし、何かを発見しようとするワクワクもある。今、ちょうど色々なお花が咲いている季節。本の世界に没入するのも楽しいけれど、この図鑑は現実にときめきをくれる本。植物がお好きな方はぜひ。

108 美しき小さな雑草の花図鑑



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