『水中翼船炎上中』 穂村弘
JUNE 3, 2018 Instagram掲載
綺麗な本。端正できりっとしていて、繊細な。
箱入りの本。いつぶりかな?『モモ』や『長靴下のピッピ』は箱に入って綺麗な栞のひもがでていたような。
そんなブックデザインは月末の穂村さんの発売記念トークのお相手である名久井直子さん。情熱大陸に出た方らしい。そして私が読んだ中では『本当はちがうんだ日記』を手がけている。「穂村さんてライオンとかキリンじゃなく、リスや小鳥だよな」と思った装幀の本。対談、楽しみ。
短歌は味わうのに時間がいるから、まだまだ「はしり」の感想なのだけど。
歌人というか、穂村さんはこんなことを切り取るのか、こんなことを思っているのか…
ー髪の毛がいっぽん口にとびこんだだけで世界はこんなにも嫌
31文字でここまで色んなことが立ち上がってくるって
ーひとつとしておなじかたちはないという結晶たちに襲われる夜
すごいわぁ…
ーちちははが微笑みあってお互いをサランラップにくるみはじめる
穂村さんの子供時代、パラサイトシングルで老いた親との同居、お母さんの死、といった情景と気持ちが、美しいことも、胸が痛いこともありありと浮かんでくる。
言葉と余白が紙に載っている。ぱっと見、スカスカに見えるかもしれない。でも、私には感じとりきれない高度な技と熱量がぎっしり、ぱんぱんに詰まっている。
17. 『水中翼船炎上中』 穂村弘
これからの季節は、これよね
ー君と僕のあいだを行ったり来たりしてガリガリ君は夏の友だち
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