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『国境の南、太陽の西』村上春樹
旅行に一緒に行く本を探しに、古本屋に行った。雲の上で読み始めて思う。「これ読んだな。」でも結末が思い出せない。
いつ読んだのか覚えていなけれど、かつて読んだ時も私は主人公のハジメ君(36)とたいして変わらない年齢だったと思う。今私は39歳なので彼は年下だ。ハジメ君は青山で素敵なジャズバーを2件成功させていて、素敵な奥さんと幼稚園の娘がいて、外車を運転している。そんな彼を「なんて立派なんだ・・・」と思ったような気がする。あれから数年経ったけど、私は子供はおろか、結婚もしていないし、ペーパードライバーだ。
そんな素敵なハジメ君(きっとセクシーでもあるでしょうね)が、かつての同級生女子と再会して・・・というお話。「不倫」の話だなあ、と読み進めて「ファム・ファタル」の話か~と思っていたが最後には「再生」の話なのかな、と思う。映画『ビフォア・サンライズ』シリーズや『マチネの終わりに』(平野啓一郎)でも思うけれど、「運命の人」と出会ってしまうことは、呪いだと思う。その後に会う異性がことごとくかすんで見えてしまうから。そして再会したら、不在の間に築いてきた平穏な生活をそのまま続けることなんてできないから。世の中の既婚者はどのくらい運命の人と結婚しているんだろう?でも運命の相手だからって一筋縄で「めでたしめでたし」とはいかないんだろうな。人生って大変。
以前読んだ時には結末を覚えていないほどなので、まったくピンとこなかったんだと思うのだけれど、今回は面白かった。私が大人になって色々味わえるようになったんだろう。「自分のために用意されたもの」とか「吸引力」のことが、前よりもちょっとだけわかるようになった気がする。相変わらずハジメ君は甘いなあ、自分勝手だなあ、村上さん、島本さんや奥さんといった女の人も幸せにしてあげて!とも思ったけど。私は結末を忘れて、またいつかこの小説を手に取るのだろうか。可能性はある。だってこの本、タイトルを覚えられないんだもの。東西南北と、どこのどっちかが組み合わさっていて難易度が高い。『かもめ』とかだったら覚えられるんだけど。(「村上春樹 東 西」でググるとこの本が表示されます)
105 国境の南、太陽の西
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