親ができることは限られている、でも超重要事項
戦略的中学受験のすすめ⑥
中学受験が高校受験や大学受験と大きく異なることは「受験生の未熟さ」にあると思います。当然です。なんてったって受験生は小学生なんですから。
塾の保護者会に行くと、こんなことを言われます。
「毎朝、登校前に20分間、計算と漢字をやりましょう」
「テストが終わったら、その日のうちに振り返りをしましょう」
「塾の授業の内容は、帰ってからその日のうちに復習しましょう」
「これからどんどん範囲が広くなっていくので、今のうちに理解しておきましょう」
「新聞を読んで親子でそれについて議論しましょう」
「興味のあるものでいいので、本を読みましょう」などなど・・・
言われた親はあせります。「まずい、どれもできていない…!」と。そして帰ってから子供に詰め寄ります。「先生はこう言ってたけど、どうなの?やってる?!やってないでしょ!」肝心の子供は「だって~めんどくさいし~よくわかんないし~」お菓子ポリポリ。
ムキーーーーッ!!!!!
ドッカーーーーーーン!!!!!
親はこうなります。そして親子バトル。
これを頻繁に起こしていたらどうなるか・・・
確実に子供はやる気を失うでしょう。
親の言うことを聞きたくなくなるでしょう。
じゃあ親はどうしたらいいのか?
「マネージャーに徹する」
これにつきるのではないかと思います。
監督ではなく、マネージャーです。
指導は塾の先生にお願いし、親はサポートに徹することで、例えば親と先生の教え方が違うために子供が混乱したり、親が関与しすぎて子供の重荷になって必要以上にストレスを与えたり、子供をただ問題を解くだけの指示待ち人間にしたり、ということを防ぐことができます。
ある時、息子が言いました。
「一番上のクラスの、いつも最前列(=テスト成績トップ5位以内)のアイツに勉強方法聞いたんだ」
「学校から帰ったら、毎日今日やることが揃えてあって、それを片っ端からやるんだって。お母さんが毎日全部用意してくれてるんだって。」
私「え…すごいね…それ、やってもらいたい?」
息子「絶対、ヤダッ!!」
私「だよね~私もヤダわ。っていうか無理…」
もしかしたらそういう子が順当に成績が上がって、御三家に合格できるのかもしれません。でも私は御三家に合格することよりも、「自分のことは自分でやる」「自分の頭を使って試行錯誤する」ことに重点を置きたかったのです。
では、マネージャーの重要な仕事とは何か?
「スケジュール管理」と「体調管理」です。
この2つは親が手を差し伸べるべき役割だと思います。
●スケジュール管理について
やって良かったものが、「スケジュール一覧表作り」です。
一週間のスケジュール一覧をエクセルで作り、学校や塾、睡眠時間など絶対に埋まる事柄を入力し色分けしました。するとパッと見て一週間のなかで空き時間がこれだけある、ということがわかります。そこに宿題などの優先事項を埋めます。その次にできればやったほうがいいことを埋めていきます。
ここでポイントは、
「どこに何を埋めるのかを子供に決めさせる」
「スケジュールはギュウギュウに入れず、余裕を持たせる」
すると、
・1週間のうちにやらなければいけないことは何か
・何曜日までに終わらせるものなのか
・どの位の時間が取れる、もしくはかかるのか
・自由時間はいつ?
といったことが把握できるようになります。
完成したスケジュール表は、自分の机の前やリビングに貼ります。
自分で決めて、それを可視化することで、やらなければならないことを子供が自分で把握できるので、親が口出しする回数を減らすことができます。また、家族にも共有することで協力してもらいやすくなります。
息子は6年生の1学期までは友達と遊ぶ日を作りたい!と希望したので、それも自分でスケジュールの中に入れていました。
決めたら、基本的には子供に任せます。親はスケジュールが上手く回っているかを定期的にチェックし、必要であれば子供と一緒に更新するようにします。
●体調管理について
この体調というのは目に見える体力的な管理と、目に見えない精神的な管理の2種類あります。
特に6年生になると、学校でも最上級生としての役割が増え、さらに塾ではいよいよ受験生ということで、日々先生方から追い込みをかけられていきます。
どうしても物理的に時間が足りなくなってしまうのですが、そこで睡眠時間を削るのは得策ではありません。成長期に睡眠は欠かせないものですし、慢性的な寝不足は集中力、体力、免疫力を低下させてしまいます。息子も寝不足が続くと決まって体調を崩し、結局学校や塾を休むことになる、ということが何度かありました。親が意識して子供の睡眠時間を確保すること。スケジュール管理とも重なりますが、非常に大切なことだと思います。
もう1つの精神的な管理ですが、もしかしたら中学受験においてこれが一番重要なことかもしれません。「子は親の鏡」と言われますが、親のメンタルが子供のメンタルに大きな影響を与えることを実感しています。
親に余裕がなくなると子供も余裕がなくなって、なんだかいつも親子でイライラモード・・・。
逆もまた同じで、
親がニコニコしてると子供もニコニコ、親が多少のことでは動じないでいると子供も落ち着いて取り組める・・・。
家庭内をピリピリムードにするか、ほんわか癒しの場にするかは親の言動にかかっています。ただでさえ、子供はだんだんと塾で追い込まれていきます。そこに家庭でも追い込まれたら逃げ場がありません。
モチベーションの波はあるもの。
どんな大波小波、または嵐が来ようとも、ドドーンと構える巨大な岩になったつもりで子供の波を受け止めてあげたいなと思います。
テストや模試で思うような点数が取れなくても、なかなか成績が上がらなくても、家でグータラしていても、こめかみに怒りマークが出そうになっても、です。
そうです。
中学受験を穏便に済ますのは至難の業です。親の修行ともいえるかもしれません。でも、あくまでも人生の階段のワンステップである中学受験のせいで、親子の信頼関係にヒビが入ったり、ケンカが絶えなかったり、そしてそのまま思春期に入って口もきかなくなる…なんて悲しすぎます。
イライラザワザワモヤモヤしたら、はけ口は別に見つけるとして、親は菩薩になったつもりで、頑張ってる子供に温かい言葉をかけて、マネージャーとして伴走していきたいな、と思います。
息子が中学生になった今も自戒を込めて。
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