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【国語指導/支援】完全攻略マップ
「音読が苦手」
「文章読解が不得意」
「ひらがな、カタカナ、漢字がなかなか覚えられない・・・」
そのようなお子さんがいらっしゃる親御さんは、
「なぜ?」
という気持ちを抱えながら、
きっと不安な気持ちでいると思います。
学習障害(限局性学習症)は、
日本の人口の10%存在すると言われています。
10人に1人です。
また、学習障害レベルとまではいかなくても、
定型発達の子どもよりも
若干学習の入りが悪いという子どもはいます。
そのような子どもを合わせると、
場合によっては20%以上。
決して、
一部の限られた人に関係する話ではないのです。
そこで、元教師である筆者が、
学習の入りに凸凹をもつ子どもを
100名以上みてきた知見から
国語の指導/支援方法を解説します。
日本LD協会にも所属し
特別支援教育士の資格も取得中です。
本人に合った学習法を見付けるのが、
早ければ早いほど、
この先の人生を豊かにする選択肢を
見つけることができるかもしれません。
何度も調べることができる
辞典的な感じで活用してくださればと思います。
LDの定義
![](https://assets.st-note.com/img/1715153034640-z4Iu8muTve.jpg?width=800)
文部科学省のLDの定義は以下。
![](https://assets.st-note.com/img/1714695047762-3c25LhyCie.jpg?width=800)
さらに、DSMー5の定義は以下です。
![](https://assets.st-note.com/img/1714695090789-APtMSxxy6q.jpg?width=800)
この(1)~(6)は以下のように区分されます。
![](https://assets.st-note.com/img/1714695134260-UsCavrX2gH.jpg?width=800)
ディスレクシア、ディスグラフィア合わせ、
発達性読み書き障害と呼ぶこともあります。
今回は国語なので、
「読み」「書き」に絞ってマップにしていきますね。
特徴的なつまずき症状
![](https://assets.st-note.com/img/1714698942331-j0GV6r0EZS.jpg?width=800)
ここからは、
各特性のつまずきの症状についてです。
「読み」につまずきがある場合は、
「書き」と連動してしまうので、
読み書き障害と書字障害という区分で分けます。
![](https://assets.st-note.com/img/1714695281146-MLPaVtzG2q.jpg?width=800)
もっとシンプルにまとめてしまうと
以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1714695684432-2UU05qP2fy.jpg?width=800)
書字障害だけというケースは比較的珍しく、
圧倒的に「読み」に困難を抱えているケースが
多いです。
ではこのつまずきはなぜ生まれるのか。
その背景を深掘ってみます。
つまずきの背景要因
![](https://assets.st-note.com/img/1714695699122-7moLgL9Q2a.jpg?width=800)
つまずきの背景要因として考えられる要素は主に4つ。
「音韻認識の弱さ」
「デコーディングの遅さ」
「視覚認知の弱さ」
「視覚-運動協応の弱さ」
です。
順番に解説していきます。
■ 音韻認識の弱さ
日本語を構成する音の単位を
「モーラ」と言います。
音韻認識の弱さとは、
このモーラを正しく認識したり、
操作したりする力の弱さのことです。
「かさ」(k/a/s/a/)を
「あさ」(a/s/a)と聞き間違えるといった症状。
聴覚で捉える認知が弱いため、
「k」のモーラを捉え損ねてしまうのです。
聞き取る時点で正しく認知できていない。
ならば、当然、話す、書くときも
間違った状態で表出することが多くなります。
音韻認識の弱さは、特に、
・濁音
・半濁音
・拗音
・促音
の変化への困難さにつながることが多いです。
■ デコーディングの弱さ
「デコーディング」とは、
視覚情報を音声情報に変換するスピード
のことを指しています。
このスピードが遅ければ、
音読に困難さを示すことは当然です。
■ 視覚認知の弱さ
目で見たものの形を
正しく認知する機能に弱さがある状態。
線の交わり、
曲がり、
傾き
がうまく捉えられず、いびつになります。
平仮名で言えば「あ・め」や「く・や」などに
認知の弱さが現れる例があげられるでしょう。
■ 視覚-運動協応の弱さ
微細運動障害という症状をもつ子どももいます。
鉛筆を持つ、
鉛筆を正しく動かす、
裁縫の針に糸を通すといった、
細かい手先の動きが求められる活動に対し、
不器用さを示す特徴をもつ子どもたちです。
文字を書く場合は、
視覚で正しく捉えた文字の形を、
実際に腕や手首、指先、筋肉を通した運動によって
捉えた形を再現しなければいけません。
その協応に弱さを抱えているので、
正しく認知できたとしても、
認知通りに書字表出することができないのです。
指導/支援方法の実際
![](https://assets.st-note.com/img/1715153306570-6zIdDY0pi3.jpg?width=800)
ここからは、
指導/支援法の実際を解説していきます。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
■ 音読
■ 読解
■ 作文
■ 文字
■ 視機能/視知覚認知
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
といった項目です。
かなり細かくなっているので、
まとめて見たい方は
記事の最後の方にある一覧をご活用ください。
■ 音読の指導/支援
主たる指導・支援は
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・読み聞かせ
・音韻遊び
・読みを補助する道具の活用
・音声入力
・ルビ振り、わかち書き
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
などの方法です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
上記の記事に記載してある意外の支援法を
補足として記しておきます。
【デコーディングの指導・支援】
フラッシュカードを用いるのが効果的。
絵や文字、数字のフラッシュカードを
パッ、パッとめくっていき、
声に出して答えさせていきます。
継続的に行えば、反応速度が上がり、
瞬時に記憶が想起されやすくなっていきます。
【拗音の指導・支援】
「きゃ、きゅ、きょ」ではなく、
「きゃ、しゃ、ちゃ」のように、
段の系列で指導していった方が
混乱・混同が少なくて済みます。
文字のカードを使った指導法が効果的。
手順を以下です。
①濁音・半濁音も含めて全ての拗音カード作成
②カードを提示して読ませる
③並べて指導者が言った拗音のカードを取らせる
④拗音を指導者が聴覚提示→聞いて書かせる
⑤その拗音が入った言葉を一緒に考えて書く
自分で拗音を含めた言葉を考えて書く、
ということが大切です。
自分で活用してこそ、
実際に使うことができるための指導になります。
【促音の指導・支援】
促音は実際にはほとんど音はないのですが、
きちんと言葉の拍として
カウントすることを中心に学習させていきます。
指導の手順は以下です。
(「トラック」の言葉の場合)
①言葉を言いながら4拍分手を叩く
②音を言わなかったのに手を叩いたところが
促音だと教える(トラック→〇〇×〇 ×が促音)
③同じ方法で違う単語も促音がどこにあるかを探す
④手を叩かずに、手をグーにする方法も有効
■ 読解の指導・支援
主たる指導・支援は
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・読解のスキルを教える
・テストの解き方を授業する
・国語テストの15パターンを教える
・お絵かきトレーニング
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
などの方法。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
上記の記事に付け加える支援方法は・・・
・テストは口頭で答えてもOKにする
・解答欄をマスにする
・最初の1文字だけ薄く書いてあげる
などなどです。
■ 作文の指導・支援
作文に関しての主たる指導・支援は
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・視写
・日記指導
・手本を用意
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
などの方法。
詳しくは以下の記事にまとめてあります。
とにもかくにも超重要なのは、手本。
なぜならば、
読み書きに困難がある子どもは、
往々にして「継次処理」である場合が
非常に多かったからです。
継次処理、同時処理といった
認知特性に関する解説は以下の記事をご覧ください。
日記以外の文章指導の方法は、
また記事にしていきますね。
作文に必要な能力に
「プランニング」があります。
そちらの指導/支援法を追記しておきますね。
【プランニングの指導・支援】
作文を完成図に近づけるために、
文法、構成、文脈に関しての思考、
情報を統合していく役目を果たしている能力です。
5W1Hのシートを使いながら作文を書く
という支援もあります。
また、学習だけではなく、
戦略が必要なゲームでも、
プランニングの力は実は鍛えられています。
UNO、トランプといったカードゲーム。
大富豪なども、戦略を必要とするゲームとして
うってつけであると言えます。
■ ひらがな・漢字の指導・支援
まず、ひらがなについてです。
ひらがなの指導/支援方法の詳しい解説は、
以下の記事にまとめてあります。
この記事で解説していることを
ざっくりまとめると下のような方法になります。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶指先の感覚で覚える
❷物語で覚える
❸リズムで覚える
❹ひもで作る
❺カラーマスを使う
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
そして、共通する部分も多いのですが、
漢字はまたひらがなと違った特徴をもっている。
発達段階もより年齢が上になる。
よって、よりレパートリーの豊富な
指導/支援方法が存在します。
この記事で紹介している方法は以下です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・指書き
・空書き
・文字を大きく書く
・口唱法
・漢字パズル/漢字アート
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
キーワードは、「多感覚指導」。
視覚だけではなく、
聴覚、触覚など複数の感覚を使用して
情報を入力するということです。
他にも以下のような方法があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・部首の意味でまとめて覚える
・漢字の成り立ちで覚える
・漢字イラストカード
・十の画べえ
・習字を使った指導
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
漢字の成り立ちクイズの例は
以下の記事をご参考に。
また、
指先などの細かい運動に凹みがある子もいます。
発達性協調運動障害と呼ばれたりも。
そのような凹みに関する支援も追記しておきます。
【目と手の協応・不器用さの指導/支援】
鉛筆を使う細かい指の動き、
筆圧がうまく調整できない子どもには、
道具自体を変えてしまう方法が有効であることが多いです。
鉛筆自体を濃いものや太いものにしたり、
鉛筆を持つ手の補助具を付けてもいいでしょう。
大きく書いてとめ、はね、はらいを
捉えやすい習字も効果があると言われています。
ホワイトボードに書いたり、
タブレットに書くことも、
鉛筆で書くよりも負荷が少ない動作で
取り組むことができるはずです。
書くと光るペンで
筆圧の強弱を視覚的に分かるようにする
方法もあります。
■ 視機能/視知覚認知の指導・支援
視機能の弱さは、
LDとはまた別のアプローチが必要になります。
ビジョントレーニングで
目の動かし方のトレーニングを行うことが有効です。
ビジョントレーニングについては、
また記事にしていきますね。
それとは別に、
視知覚認知の支援もあります。
視覚で形をうまく捉えたり、
どこに情報があるか
分かりやすくしたりする支援です。
間違い探しや点つなぎは、
細部に注目し、
構成する形を捉えるトレーニングになります。
文字の形が整わない子どもには、
カラーマスを使って文字を書かせるのも効果的。
漢字の交わり、重なりが分からない場合は、
一画目、二画目と線の色を変えることが
支援になる子どももいます。
音読時のカラーバーループも、
視知覚認知が弱い子には有効です。
指導法/支援法一覧表
![](https://assets.st-note.com/img/1714697682746-bWt6ci1FMb.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1714697805010-7MgoBXcXeQ.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1714697830007-qJwZoG5etm.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1714697845183-egrxw4Hpc7.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1714697865075-8oYMcMbGWA.jpg?width=800)
まとめ
![](https://assets.st-note.com/img/1715153499460-0IHq3TfnM5.jpg?width=800)
ここまで様々な指導法を紹介しました。
「こんなにたくさんあったらどれを選べばよいか分からない」
と思った方もいるかもしれません。
しかし、筆者も、
子どもの様子を見て
「この指導法が一番効果的だ」
とすぐに分かるわけでもありません。
多くの子どもと接してきた経験から、
大まかな見立てをすることはできます。
ですが、その先は試行錯誤の連続なのです。
「本に書いてある方法通りにいかないから駄目だ」
ではなく、
その子どもを見て、
表情、動きをよく観察し、
支援者が工夫に工夫を重ねて、
適した支援方法を見つけていくことができるのです。
如何に、目の前の子どもに合った形で
カスタマイズしていくか。
一人で考えるのは不安だとも思いますので、
専門家に意見を聞いたり、
学校の先生に聞いてみたり、
ここで相談していただいても構いません。
このサイトは「完全攻略」と銘打ってますが、
まだまだ発展途上。
追記する内容が出来次第、
アップグレードしていこうと思います。
本記事に掲載した記事以外で、
関連する内容があるものを貼っておきます。
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