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箱根ラリック美術館

長年行きたかった、箱根ラリック美術館へ行ってきました。

ルネ・ラリックは19世紀から20世紀にかけて活躍した、フランスのガラス工芸作家であり宝飾デザイナー。
アール・ヌーヴォーとアール・デコの両時代における代表的な作家として知られます。

ラリックといえばガラスの作品が有名ですが、前半生ではジュエリー・デザイナーとして多くの傑作を残しており、ジュエリー史の中でも天才デザイナーとしてその名を残しています。

美術館入り口

箱根ラリック美術館では、彼の生涯をたどりながら、各時代のジュエリーやガラスの代表的作品がずらりと並んでいます。
また、ラリックは室内装飾も多く手がけ、インテリアデザインにおいてもその天才を発揮しています。

残念ながら作品の撮影は禁止でしたが、ずっと本で見ていた作品を実際に観ることができ、その美しさに感動しました。
間近で観ると、作品の甘美な色彩や繊細なつくりが感じられ、ラリックの作品に対する情熱に心を打たれます。


企画展として別に開催していたのは、『明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代』。
ラリックの生きた時代は世界が大きく揺れ動き、二つの世界大戦や感染症・結核などによる恐怖が世界を覆っていた時代でもありました。
その中で彼は、兵士や戦争孤児、病を患う人々のため、チャリティイベント用のブローチやメダルを制作してその売り上げを困窮者へ寄付するようにしました。

それらの作品は決して華やかではないものの、ジュエリーを通して人々に希望をもたらし、芸術によって人々の心に豊かさをもたらしたいというラリックの想いが感じられます。
また、早くに亡くした妻のために制作したガラスの香水瓶も展示されており、その作品は悲しいほど美しく、デザインによる愛の表現に深い感動を覚えました。


ジュエリーは元来、お守りとして人々の祈りを形にしたもの。
そしてデザインは本来、人々の心を豊かにし、デザイナーの美意識と愛を込めたもの。
そんな当たり前のことをふと再認識しました。

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