杭州アジア大会 報道の舞台裏をリポートします!
書いているのは
総合事務職員として2017年に入社しました。財務や採用を経験し、いまは職員の労働時間などを管理する労務を担当しています。法律の知識はもちろん、社内の多様な部署の働き方を知ることが必要です。大学の研究室は中国文学でした。うろ覚えの中国語を果たして生かせるでしょうか…!
杭州へ到着
浙江省杭州市は、上海の南西に位置する水の都。大会のエンブレムや競技のピクトグラムも、潮がモチーフです。タラップを下りると、湿り気を帯びた空気が流れ込んできました。
迷子になったメディアビレッジ
メディア関係者が宿泊するメディアビレッジへまず向かいます。雰囲気は大学のキャンパスにマンションが何棟も建っているような感じで、とにかく広いです。到着早々ここで迷子になり、親切なボランティアの方が助けてくれました。現地の大学生で、いまは夏休み中とのこと。早速、拙い中国語での交流に成功。
杭州での拠点
部屋につき荷ほどきが済んだら、メインプレスセンター(MPC)へ。各国メディアが大会中に拠点とする場所で、共同通信も一角にオフィスを構えます。取材を統括するデスクや、メディアエンジニア、そして総合事務職員の私は、毎日ここへ出勤します。
開会式
宿泊先、仕事場を把握して、落ち着いたと思ったら、もう開会式の日がやってきました。フォトグラファー曰く「開会式がまずはヤマ場」。取材陣も力が入る1日です。
式は夕方から始まります。デスクはMPCの中継モニターを確認しながら、現場へ向かった記者と連携します。
現地会場の専用ネットワークは大丈夫か?式の演出をどう記事で表現するか?会場内にいるフォトグラファーの状況は?
それぞれが担う役割を果たすべく、記事や写真を送り届けるまで、緊張が続きます。
▼「杭州共同」というクレジットで、さまざまな媒体に配信
いっぽう海外部(英文記事を担う)の記者は、中国の習近平主席による演説を特に念入りにチェック。部署によって、取材する角度も少し違います。
▼執筆された英文記事
競技場へ行ってみた!
開幕後はあちこちの競技場で毎日競技が行われます。中には車で向かって3~4時間かかる競技場も。記者とフォトグラファーは、日ごとに割り当てられた競技場へ向かい、それぞれの持ち場で取材します。
競技場のメディア用通行口から入ると、メディアのための座席スペースが設けられています。
試合が終われば、ミックスゾーンで選手や監督にインタビュー。スポーツ記事を読んでいて出てくる「選手のコメント」は、こういうところで聞いているんですね。
観客ではなくプレスの一員としてスポーツの現場に入り込んだのは、私は初めて。競技が始まれば会場は沸き立ち、見やすい席でアスリートの躍動を感じることができます。そんな場所が仕事場なのは、特別感があります。
ただし、競技によって時刻は朝早かったり夜遅かったり、暑かったり寒かったり。直前の予定変更もざら。現場の大会スタッフは英語が通じないことだってあるでしょう。トラブルも乗り越えて、行くべき場所にたどり着き、取材すべきものを捉えなければいけません。海外でのスポーツ取材は華やかですが、タフさも求められます。
▼そんな様子がわかるコラム。試合内容以外にも、さまざまな切り口の記事が書かれました
「担当者はどこ!?」メディアエンジニアの1日
2021年入社のメディアエンジニア、K職員は今回はじめての海外長期出張。ある日のミッションは、陸上競技場の専用ネットワークを確認すること。競技場でフォトグラファーが撮影した写真を、確実に速く配信するためのものです。
到着すると、開会式の片付けと陸上競技の設営が行われている真っ最中。あらかじめ発注したネットワークのポイントに行ってみましたが…何もありません。ネットワーク敷設の担当者に、話を聞かなくてはいけません。広い競技場で、人探しが始まりました。
あちこちに尋ねて回り、やっと担当者が捕まったと思ったら、「これから設置工事をする」とのこと。すでに設置が完了していたポイントだけインターネットの規格や速度をチェックし、問題ないことが確認できました。未工事のポイントは明日また確認に来ることに。
ウェブやアプリ開発だけではない、ニュースの現場で仕事もするのがメディアエンジニアの特徴です。
若手の奮闘!元気にやりきりました
同じく2021年入社の三村記者は運動部所属。初めての海外出張と大会の雰囲気をつづったコラムがこちら。
「まじめ。準備も丁寧にやってた」とは先輩記者の談。最後まで元気に駆け抜けました!
リアルタイムでグラフィックを作り上げる
グラフィック記者は、試合中継のモニターを横目にMPCで作業。試合結果をリアルタイムでグラフィックに落とし込み、すぐにコンテンツを配信するためです。
一方で温めていたグラフィックのアイデアが、選手の結果が振るわず、日の目を見ないということも。生のニュースを扱うデザイナーならではの苦労です。
そして競技場にも足を運びます。自分の目で競技場や試合の様子を把握し、グラフィック表現の構想を練ります。
▼制作したグラフィックが掲載されているコラム
私は観戦しただけ…ではありません
それでは、総合事務職員の私は、現地で何をしていたのでしょうか?
まずは、文房具や湿布などの消耗品や、お金の管理。また、大会運営スタッフが共同通信のブースに来て、取材に使う車やレンタル備品の確認をしてくることがあり、その対応もします。
大会中は通訳の方を臨時で雇います。現地では英語が通じない時も多く、取材だけでなく大会運営側との交渉なども、何かと通訳の方に頼ることになります。業務量が多すぎないか、交渉で困っていることがないかなど、私の立場から目配りします。
それからこのような大会取材では、朝早く出発して遠くの競技場へ向かったり、競技終了が夜遅かったり、1日の仕事が長くなりがち。出張者が働きすぎていないか随時チェックし、必要に応じて声がけをします。
ニュースを、一丸となって伝える
もちろん、現地取材の様子を記録するのも今回のミッション。「仕事中すみません、広報用で…」と競技場に出没してはスマホを構え、同僚たちの仕事風景を撮らせてもらいました。
お祭りのような高揚感、アスリートの息遣いを目の当たりにする感動。タフな状況を乗り越えて、それらを伝えること。スポーツ取材の魅力が、少しでも伝わればと思います。
そしてニュースを伝えることは、各職種が力を合わせて初めて実現できます。今回のようなイベント取材はわかりやすいですが、日々の報道も同じです。それぞれに役割があり、各領域のプロフェッショナルとして、プライドを持って取り組んでいます。
無事に閉幕
長いと思っていた杭州での日々は、あっという間に過ぎ去りました。今回のnoteを通して、皆さんの元へニュースが届くには、裏側でさまざまな仕事があることをイメージいただけたのではないでしょうか。興味がわいた方はぜひ、共同通信採用サイトや他のnote記事も、のぞいてみてくださいね。
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