見出し画像

君に届かない

がらんとした教室ーーつくづく閑散とした教室、入試に向けて自宅学習の名の元に学校に来ない人の多い事実を前に、自分のやってきたことや、やりたいことが本当に正しいのかと問われているような気がした。これで正しいと思っていたことは、間違いかもしれないと思えてくる。やはり先生、教師という存在は、君たち生徒がいなければ成り立たない。いくらいつも偉そうにあれやこれやと言っていても、君たちがいなければ何も教えることができない、一緒に考えたり、悩んだりすることができない、ただの人になってしまう。

全ての人間とは畢竟そういうもので、リーダーとかキャプテンとか頭が良いとかスポーツができるとかーーある種自分を定義づけるものは、その人の本質的に備わったり身についたりしているものではなく、誰かとの関係性においてあるものなのだろう。

常に周りの人がいるからこそ、自分が自分でいられる。もちろん周りの人のせいで自分らしくいられないこともあるけれど、自分らしくいられない自分もまた「自分らしい」と言えないだろうか。本当に届いてほしい君たちに届かない授業をしながら思うのだった。

*

コロナによって変わった学校文化。来るのが当たり前・しんどくても来る、から、しんどかったら無理しないになってきた。生徒の人権や健康を考えて無理をさせないという方針は大切だし、理解できる。しかし、入試を前にして過去問を解くとか、感染症予防とかで生徒が来ないことに大きな違和感を持ってしまう。単純に学校はそんなに「意味のないものなのか」という悲痛な叫びなのかもしれない。

この記事が参加している募集

子どもに教えられたこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?