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5年後に退職する新卒サラリーマン【第二章】 (12)

第一章 <激動の就活編> は、こちらから


その日から2週間、私たち新入社員は全員、本社研修センターから車で1時間半の場所にある、兵庫県明石市の「オパンティー第2工場」に通う日々が始まった。

いわゆる、工場実習というやつだ。

新卒新入社員向け「事業研修」を担当する、PX推進室の室長・竈門進次郎かまどしんじろうが、私たちに課した試練である。



「皆さんには、現場に出てもらいます。まずは、オパンティー工場の生産ラインで、実際に製造現場に入り、ラインを回していただきます。

皆さんの中には、海外営業志望の方、マーケティング志望の方、経理や人事志望の方、様々いらっしゃるとは思いますが、私たちはメーカーです。製造業です。株式会社L&Ps(ラブアンドパンティーズ)社員の第一歩として、工場の現場を知ってはじめて、製造の何たるかということを知ることができるのです。

なぜか・・・わかりますか?

わかりますか? 安斎さんッ!!」



「・・・あッ、えっと、工場の現場で働く人たちの、汗と涙の結晶であるプロダクトの製造工程を、間近に目の当たりにすることにより…」



「ちがいますッッ!!!!

なぜ、現場を知ることが製造業の理解につながるのか?

それは、現場を知ってはじめて、製造の何たるかということを知ることができるからですッッッ!!




・・・。

この人、大丈夫か?


また、2回同じこと言ってるぞ。
しかし… ツッコミを入れてはいけない。耐えねば……




「新入社員の皆さんは、こちらへ!

危ないので、床の黄色い線に沿って歩いてください! そこの線から、はみ出さないように!!

まず、更衣室で、この作業着作業靴に着替えてください! ラブアンドパンティーズのロゴ入りヘルメットも忘れずに!!」

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