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占い師きゃらを

俺が暮らす街は港のある城下町だ
仕事は手相占いをしている
もちろん師について勉強はして
ある程度、手相の知識はつけたが

正直言ってしまえば
会話のキャッチボールで相手の心理を見抜き
時には相手の求めている優しい言葉をなげ
時には方向性を間違えてやれば叱ってやる

要するに手相をもとにした
人生相談に近いかもしれないな
多くの人の相談に乗りアドバイスすることで
当たり外れはあるものの精度が上がってきたので
そこそこ評判だったりもする。

目もくらむような稼ぎはないものの
細々とは暮らせている

そんなある日一人の少年がきた。
「あのぉー迷ってることがあるのですけど」

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少年が何を迷うの事があるのだ?
君のような少年は若いうちに
大いに迷った方が良いと思う
それが自分の糧になるからね
だから最初にアドバイスをしたんだ

『迷いはね自分で解決したほうが
 いいこともあるのだよ少年』

冷やかしの類だったら嫌だし
このくらいの子は占い師を馬鹿にしがちだ
それにお金がかかるとか知らない子もいる
だから体よく追い返したほうがいいだろう

それに俺はいくら商売をしているとはいえ
この世界で少年からお金を取りたくない

「お金はこれくらいあれば大丈夫ですか?」
話を聞かない少年だが
出された金貨は通常の占い料金の10倍だ
少年からお金は取りたくない思想は嘘だった
10倍の金貨には目がくらむ

『うん。少し足りないけどまぁいいか』
俺は平気で嘘をついた。
成り行き任せも大事だとも思っている

「あの、探偵をしているのですが
 犯人がどっちか分からないのですよ」
そういうと少年は犯人らしき写真を2枚だした

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探偵?探偵をしているのか?その歳で
というか、犯人捜しを占いでしてはダメだ
積み重ねられた思考で推理していけー!
答えを導くべきだ。そのことを教えないと
まだこの子は未来のある若者だ
例え、少年が怒っても少年の未来を
想わないといけない

『少年よ、探偵ならば推理は自分でしないと』
「なーんだ、帰ろうかな」
『待ちなさい少年、犯人はAだ』
明らかに怪しい顔写真の男を刺した
適当だが、金貨は置いて行って欲しい

「ありがとう、おじさん」
おじさん?せめて占い師とは呼んで欲しいが
金貨が多ければまぁそこはいい。

またある日、航海をするため
船を出すべきか時期尚早か尋ねて来た
船長がいた。

『右手を見せて下さい』
手相占いだから当然だ。俺は右手を見るんだ
右手しか学んでいないので右手しかわからない
するとその船長は左手を出した
左手を出したというかフックだった

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