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モロコシ高校生

皆さんはガンジー戦法をご存じか?
知らない人のために話をしようと思う

それは非暴力不服従を旨とする。
ここに、とある高校1年生がいた
比較的進学校だ。
偏差値もそこまで低くない高校

つまり優等生が多い中で
馬鹿な生徒もいた。そう俺である。

1年生の夏休み、それはなんとなく
クラスの仲間達にも慣れてきて
油断が生じる時期でもある。

クラスは1組で1年1組は校舎の2Fの端にあり
そのまま中庭に出れるという構造だった
そこに問題があった、中庭に出て直ぐ近くに
花壇があったのだ。

何の花かはわからない
向日葵と紫陽花とチューリップ
それ以上の花は男子は知らんでもいい
じっちゃんの名にかけて!!

別にここでじっちゃんの名に
かける必要は全くないのだが
兎に角、花が咲いていた

花壇の一角の花を全部引っこ抜きました。
ありがとうございました!!

めでたしめでたし。

では終わらない。
引っこ抜いたのには理由がある
俺たちの学校のすぐ傍に
場末のスーパーがあった

そこで100円で色々な種が売られていた
とある男の子がトウモロコシの種をみつけて
何気なく100円で買った時
花壇は劇的変化を遂げていく

花は無造作に抜かれ
欲張りすぎた男子生徒は滅茶苦茶に
トウモロコシの種を植えた

育たなかった
びっくりするくらい育たなかった
みすぼらしい感じで栄養が行きわたらない

どちらかというと最初から枯れていた
夏休みが終わり文化祭の準備が本格化して
忙しくなる時期にそれは起きた

担任の激怒である。
誰だ!!トウモロコシを植えたのは

俺だった。

皆知っていた。
しらばっくれる事はできなかった
「先生、俺です」

滅茶苦茶怒られた
収穫もないままに怒られた
始末書ともう二度としないと誓約書を書かされて
2時間近い緩い正座を職員室で余儀なくされた

担任の先生は怒り狂うのだが
俺の態度といえば
フン、なんだ馬鹿教師が・・・
というものではなく

凄く神妙な面持ちで
ひたすら反省してみせた

「すみません先生!!
 俺はなんてことをしてしまったんだ」

あまりにも神妙な面持ちなのが
先生は気を良くしたのか
先生は語り始めたんだ

俺はこのクラスが大好きだ
お前たちを信頼しているとかなんとか
熱いな。暑苦しい。
クーラーもない職員室で余計だ
顔と態度は神妙な男子生徒
(バニラアイスが食べたい・・)

そんな教師の熱弁に
いちいち「はい」と元気よく頷く

「もうするなよ!!」
「はい、もちろんです!!」

2年生になりクラス替えがある
だが、1年の最後に先生が言ってきた
「きゃらを、俺はお前を取ったから
 2年は学級委員をやれよ」

凄く気に入られている。
そんな裏取引みたいな話をしていいのか?
2年目のクラス替えにドキドキがなかった
ちなみに2年から3年に上がる時クラス替えは無い

かくして高校2年目が始まる
新しいクラスメンバーだ最初はよそよそしい
しかし夏休みが来る頃には皆油断し始める

1組は2年になっても3年になっても
2Fの端だった。
俺は3年間教室を移動しなかった
生徒でもあるし花壇もある。

そして、俺達の高校の近くには
場末のスーパーもある
ニーキュッパ(298円)の唐揚げが美味い
トウモロコシの種も売られている

かくして、花壇は再び引っこ抜かれた
今度は種を植え過ぎない
経験は俺を学習させた
・・・が、育たなかった

基本は、自然に任せるやり方だ
雨量が多すぎたようで
全体としては緑になることもなく
しわがれた茶色だった
トウモロコシらしい実はつきはじめるが
種が入った袋の表紙のように
煌々としたトウモロコシではなかった

担任に見つかった
「誰だきゃらをの真似をしたのは?」

おかしなもので
昨年、あれだけ神妙な面持ちをしたから
まさか先生は俺だとは思わなかったようだ

先生が気の毒に思えた
模倣犯だと思う気持ちはわからなくもない
熱い先生を理解する一番の生徒は俺だ!
そう思っているのかもしれない
だけど、真実を伝えなければならない

「先生、俺です」
「えぇ。。。ええええええ?」


声が裏返っていた。
反省はしたのだが、従わなかった生徒がいる
それは誰であろう。そう俺である。

始末書と誓約書を再び書かされた
また緩い長時間の正座を余儀なくされた
そもそも、去年もそうだけど
罰則のない誓約書と始末書に意味はあるのか
大人の世界は理解できない

高校3年生の夏
もう、クラスの仲間は気心知れていた
俺は失恋モードでやや自暴自棄ではあるが
それでも例年敢行してきた行事がある

トウモロコシ祭だ
それは文化祭の前の行事で
いつも収穫できなかった

花を引っこ抜き、種を植えたら
満足してしまう性格なので
それ以上の事はない

3度目の正直というよりは
2度あることは3度ある
誰かを罠にはめて貶めるなら
3回は貶めてやりたい

もうやらないと思っていた
そんな期待ならばいつだって裏切りたい
きゃらをはやってしまうんですねー!

担任の先生はもう笑っていた
「きゃらをーーーー(笑)」と
お前のそういうところ好きだと

形式的に始末書だけは書かされた
誓約書は意味がないのでもういいと

だよね?

それから正座もなかった
俺は優等生ではない
ことさら勉強をしなかったわけでもない
ディスカッションやディベートは
それなりに訓練したからそこそこ話せる

だが、基本はインディードゥバットだし
相手の言い分が正しければ
いつだって打ち負かされる用意がある

本当はそのテーマに
興味がないと勉強しないので
負かされる気満々でいつも
ディベートの時間は挑んでいた
得意な奴が話せばいい!

すると驚くほどに発言権はあった
人間関係は複雑だ
ちょっとした言葉の行き違いで
誤解を与えることもあれば
誤解じゃない事もある

嫌いな人の意見はどうしても否定したい
それは時に正しくても否定したいくらいだ
それが人間の心というものだ

だが、おもむろに否定したのでは
相手は気分が良くない
俺の基本はガンジー戦法だ

管理会社は現場をみないで
好き放題なことをお願いしてくる
すると、いちいち否定しないで
必要のないことはやらない

やらなくてもいいんだ
理にかなってなければ効率の悪い作業は
俺はしない。

それがたとえその時は上手く回ったとしても
非合理ならやらない
ごめんなさいと言えばいい
本質は問題の解決であって手段じゃない

それを繰り返したら
いつのまにか、うちの会社に任せれば大丈夫
という良い意味で印象がついた

相手を否定することは得策ではない
だけど、理に叶わない、自分と合わないなら
賛同しておいて従わない

非暴力不服従
異なる多様性を受け入れて
はじめて自分の個性を選択できるんだ

否定することは個性じゃない
受け入れて取捨選択することが個性に思う

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