見出し画像

ミラクル墓参り

墓参りに行くと
思い出すことがある

親父は亡くなっていて
妹が2人いて
末の妹は12歳離れている

地方の大学で下宿するから
家を出るときに妹がいつまでも
足にしがみついてくれてた
そんな記憶が残る

その後ずっと一人暮らしだから
妹の記憶はずっと小さい頃のまま

しっかり者の上の姉とは違い
とても抜けている
天然のど真ん中で
ちょいちょいミラクルを引き起こす

ある時、実家に帰り
墓参りに行こうとしたら
妹もついてくることになった

そうだお兄ちゃん!
お父さんがよく聴いてた曲があるから
流してあげようと

親父が好きだった曲は
そのままCDデッキに
入っているとのこと
晩年どんな曲が好きだったか
勘当状態にあったので俺は知らない

妹も成長したなぁと
頼もしく思ったのはあるけど

お墓は実家から10分くらいだけど
妹が案内してくれるので
ナビはしなかった

この道どっち?

助手席に乗る妹に聞いたら

私から見たら左だよ

それ要る?

運転席と助手席の二人は今
同じ方向を向いている。

それは俺から見ても左だな(笑)

お花を買って缶コーヒー買って
線香に火をつけて親父を偲ぶ

お盆時ではなかったから
人はまばらだった
妹は早速ラジカセのスイッチを入れる

流れてきたメロディーは
懐かしくも優しい音調だけど
しかし俺はぞわぞわした

これ非常にまずくないか?
と慌てる間もなく歌詞が入る

わたしの~おはかのまえ~で
なかないで~くださ~い♪

慌てたよ
360度首が回ったんじゃないかと思う
幸い近くに人はいなかった

親父も笑ってるだろう
らしいと言えばらしいかな
親父がここにいようといまいと

心の中にいつもいる。

帰り道、梅が干されている光景が
飛び込んできて
妹が尋ねてきた

あんなに梅を干して何してるのかね?
妹よ、あと少しで正解だ。

梅干しをつくってるのだろう。

あっそうか。

夕暮れ時、安寧とした空が
どこまでも澄み渡っていた



こちらのフォローもお気軽にお願いします。
■twitter
https://twitter.com/kyarakyarawoya1
■Instagram
https://www.instagram.com/kyarakyarwo/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?