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教え子のあの子は、今、どうしてるだろうか

おはようございます。
まだベテランとは言い難い、教員7年目のKyanです。


教員人生の中で担任をやったのは1回だけなんですが、そのときの生徒のことをよく思いまします。

今日はその中の、大人に心を開くことのできなかった女の子のお話を。



出会ったときの印象


29歳のとき。

教員としても若く駆け出しで、初めて担任をするということで張り切っていました。

まずは、全員と個々にコンタクト取れるように、少しずつ話しかけることから始めていきました。

その子は、幼い顔で非常におとなしく、可愛らしい顔をしてる。

おしゃべりはしないが、いつもニコニコ。

クラスの男子もちょっかい出したくなるのだけど、リアクションしてくれるものの、ほとんど口を開かないのでなかなか声をかけれない様子。

何を考えているかわからない子ほど中身を知りたくなってくる。


クラスの子のほとんどはスマホを持っていて、LINEグループで連絡ができたのですが、その子はガラケーだったため、クラスのLINEに入ることができていませんでした。

それもあって、「クラスのLINEに送ってる連絡事項を君にも送りたいので、あとでメアド教えてくれない?放課後、わたしのところに顔出してくれると助かる」と言って呼ぶことに。

すると、緊張した様子で私のところにやってきました。



初の個別コンタクトで泣かれる


わたしのデスクは物理準備室にありました。

よくあることですが、10クラス × 3学年の大きい学校でも物理教員は私1人。

ひとり部屋なので、のんびり仕事ができ、生徒の相談にものりやすい。

(壁1枚へだてて、地学の先生が2人いる部屋がお隣なので、変なことはおこらないのでご安心をw)

その日も時間があったので、「お茶でも淹れるから、ついでに少しお話しましょう。」と言って温かい紅茶をいれてあげた。


クラスでの目標の一つとして、『年内に全員が自分の進路を決める』というものを設定してました。

「クラスには慣れた?〇〇さんとはよくお話してるね」なんて雑談をしながら、「なにかやりたいこととかあるのー?」と聞いてみた。

すると口にしたのが、

「特別支援学校の先生になりたいんですけど。。。どう思いますか?」


わたしは前任校がたまたま、特別支援の生徒も通う学校で、少しだけ関わりがありました。

そこの生徒達が毎日すごく良い顔してて、教員として関わっていてもとても気持ちが良かったのを覚えている。

「彼らが社会で活躍できるサポートをしてあげるって、すごい素敵な仕事だなぁと思ってたよ~」と、思わず熱く語ったら、目の前でボロボロ泣き出し・・・

狼狽えるわたし。



彼女にとって初めての理解してくれる大人


「こんなこと言ってくれる大人の人初めてです。。これまで否定されたことしかなかったので、ずっと隠してきました。。」(号泣)


聞いてみると、初めてこの夢を口にしたのは小学校高学年のとき。

担任の先生とお母さんに言われたのは、

「ん?なんで特別支援なの?普通の先生じゃなくて?」

「もっと他にもいい仕事いっぱいあるのに」

それから将来の夢や希望を口にすることはなくなって、大人も信用できなくなったそう。

お母さんとは折り合いが悪くなり、高校生になっても会話がほとんどないまま。


わたしも泣いてしまいそうでした。

「先生の自己紹介聞いて、この人だったら話してみてもいいかもいれない」と思ったとのこと。

「去年までウェディングの仕事してて、21歳の時ディズニーランドで働いてました~」って話してたのをみて、これまで会った”学校の先生”とは違うと思ってくれたらしい。


小学生の女の子が、周りの子とは少し違う夢を口にするのは勇気が必要だったでしょう。

初めて勇気を出して言ったことを、応援されるどころか、否定しかされなかった。

彼女をおとなしくしてしまった、何事もないようにスマイルで乗り切るようになってしまったのは、周りの大人によるものでした。


君の想ってることは素敵なことだよ。

特別支援学校で教員してる友達もいるから、よかったら一緒にお話聞きに行ってみるか?

またお茶ぐらい出してあげるから、お話しにおいで。

そんな声掛けをしてあげただけで、彼女の心を救うことができました。

わたしとたまたまこんな風に出会わなかったら、彼女の将来はどうなっていたんだろうと思うとゾッとした。



その後の彼女の様子


それからは、彼女とわたしの間に理解が生まれたので、

「大丈夫か?調子はどーよ?」

「はい!元気にやれてます!」

「またお茶でも飲みにおいで~」

「はい!」

という、すれ違いざまのコンタクトでコミュニケーションが成立するようになりました。

各学期に1~2回は、自分から話をしに来てくれました。


わたしが離任するときには泣いてくれて、

卒業式に顔を出したときには、わたしの顔をみて「今日は泣かないと思ってたのにー」と言って泣き出した。


教員免許を取るべく進学した彼女ももう社会人になっているはず。

今どうしているんだろう。

どんな大人になっているか、会いたいなぁ。

わたしにとっても、彼女との出会いがあったから、今、教員を続けていられてると思います。




お読みいただきありがとうございました。

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