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【小説】シルバー・ウイング

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現在連載中のファンタジー小説です(更新不定期) ヘッダーのイラストは小説家応援ツール『Nola』様のプリセット画像をお借りしておりますm(__)m
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【小説】シルバー・ウィング《1》ジャンププラス原作大賞エントリー作品(9689文字)

【小説】シルバー・ウィング《1》ジャンププラス原作大賞エントリー作品(9689文字)

《プロローグ》 如月直子①
 あの日に美しく輝いていた月の光を、私は今でも覚えている。

 両家顔合わせの食事会が終わり、車で帰路についたあの夜。ウインド越しに見えた月は、まるで自分のことを追っているかのように見えた。

「こんな可愛らしいお嬢さんが、我が家の娘になるなんて嬉しいですね」「入籍は直子が大学を卒業したらすぐに……」 「あと1年ですね」「なあに、あっという間ですよ」「式場はこのホテル

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【小説】シルバー・ウィング《2》ジャンププラス原作大賞エントリー作品 3962文字

【小説】シルバー・ウィング《2》ジャンププラス原作大賞エントリー作品 3962文字

 結城夏芽は小学5年生の時に、クラスの男子児童から母親のことでからかわれた過去がある。

「なあ、夏芽、お前の母ちゃんって、飛び降り自殺したんだってぇ?」

 子どもは残酷だ。

 その日は全学年一斉下校の最中で、たまたま近くを歩いていた如月卿の耳に、その暴言が入ってしまった。

「おい、オマエ! 今のセリフもう1回言ってみろよ!?」

 普段は物静かな卿が、1学年上の男子にひるむことなく目の前に

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【小説】シルバー・ウィング《3》ジャンププラス原作大賞エントリー作品 3839文字

【小説】シルバー・ウィング《3》ジャンププラス原作大賞エントリー作品 3839文字

 ティコという少女の出現に、卿は首を傾げていたが、夏芽は内心おびえていた。時々感じていた嫌な予感の答えが、ここにあるような気がしたからだ。

「なあ、お嬢ちゃん」

 夏芽の不安に気が付かない卿は、能天気な口調でティコの頭をポンポンと叩いた。

「はっ? 『お嬢ちゃん』?」

 ティコの口元がひきつる。

「何年生? 見たところ5年生か6年生かな? もしかしてお兄さんかお姉さんのラノベでも読んで影

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【連載小説】シルバー・ウイング《4》

【連載小説】シルバー・ウイング《4》

⭐前回までのお話です↓

⭐第1話はコチラ(よろしければ)↓

⭐そして登場人物たちの相関図です↓

戦士たるもの

常に冷静であれ

もしも遠い未来に僅かな希望が見えるなら

目の前の私情に動揺することなかれ

そして…

 
 小柄な女性でありながら、シルバーウイングきっての凄腕戦士であるティコ。彼女の脳内から、その教えが完全に消え去ったのは、『あの時』が初めてだった。

 それも、自分に戦士

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