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ストロベリームーン
2022年12月28日 00:11
《プロローグ》 如月直子① あの日に美しく輝いていた月の光を、私は今でも覚えている。 両家顔合わせの食事会が終わり、車で帰路についたあの夜。ウインド越しに見えた月は、まるで自分のことを追っているかのように見えた。「こんな可愛らしいお嬢さんが、我が家の娘になるなんて嬉しいですね」「入籍は直子が大学を卒業したらすぐに……」 「あと1年ですね」「なあに、あっという間ですよ」「式場はこのホテル
2022年12月28日 00:13
結城夏芽は小学5年生の時に、クラスの男子児童から母親のことでからかわれた過去がある。「なあ、夏芽、お前の母ちゃんって、飛び降り自殺したんだってぇ?」 子どもは残酷だ。 その日は全学年一斉下校の最中で、たまたま近くを歩いていた如月卿の耳に、その暴言が入ってしまった。「おい、オマエ! 今のセリフもう1回言ってみろよ!?」 普段は物静かな卿が、1学年上の男子にひるむことなく目の前に
2022年12月28日 00:14
ティコという少女の出現に、卿は首を傾げていたが、夏芽は内心おびえていた。時々感じていた嫌な予感の答えが、ここにあるような気がしたからだ。「なあ、お嬢ちゃん」 夏芽の不安に気が付かない卿は、能天気な口調でティコの頭をポンポンと叩いた。「はっ? 『お嬢ちゃん』?」 ティコの口元がひきつる。「何年生? 見たところ5年生か6年生かな? もしかしてお兄さんかお姉さんのラノベでも読んで影
2023年2月21日 11:50
⭐前回までのお話です↓⭐第1話はコチラ(よろしければ)↓⭐そして登場人物たちの相関図です↓戦士たるもの常に冷静であれもしも遠い未来に僅かな希望が見えるなら目の前の私情に動揺することなかれそして… 小柄な女性でありながら、シルバーウイングきっての凄腕戦士であるティコ。彼女の脳内から、その教えが完全に消え去ったのは、『あの時』が初めてだった。 それも、自分に戦士