小説 空を見上げれば(上)44
こんばんは。小説家の藪田建治です。
今日仕事からの帰り、車の窓から見える夕日がとても綺麗でした。まるで自分のことを包み込んでくれるように。夕日を見ると泣けてきますね。年老いたな(笑)
さて小説をアップします。
「それに口やかましいくらいに試合中も練習中も声出しているしな。」
「二重人格だから。」
「違いない。」
そこに佳春も加わる。
「どうしたんだよ。」
「いや孝太の話をしてたところだ。もうあいつが来なくなってから3日経つだろ。だから心配になってな。」
「高熱だろうがなんだろうが、学校に来て練習するようなやつだからな。俺もただごとじゃないと思ってた。」
「まだ先のことだけど、もし選手権を孝太抜きで戦えるか。坂下も良いけど、守備においては孝太には及ばないからな。」
あいつが必要だ。
「それにキャプテンシーな。しんどい時もあいつの怒鳴り声があるから、俺もやらないとってなるから。」
「佳春はセンターバックだから、守備の面で相手のフォワードに対しての対応とかで言われるからな。」
「ムカッとくるけど、確かに言ってる事は正しいんだよ。」
「しかし本当にボランチの守備力は問題だな。坂下も良いんだけど、守備が元々得意な選手じゃないから、守備の強度は低くなる。」
「そうなんだよ。夏の全国大会はたまたまスタメン奪取したから、ここぞとばかりに気合が入っていたけど、いつもそうとは限らない。県予選の決勝とかかなりキツイと思う。」
いなくなってしみじみ思う。あいつが目を光らせていたから、俺等は攻撃に注力出来た。守備も全員でするが、やはりあいつが1人いるだけで全員に安心感がある。それがチームに余裕を与える。
いなくなって、失って初めて分かることってありますよね。いつもいるはずなのに、いつもあるはずなのに、失ったことへの喪失感。それが身近な存在であれば余計に落ちる。
孝太はこのチームの中で、それ程重要な位置にいた。それだけ愛されていたとも言えるかもしれませんね。
皆さんも1度振り返ってみて下さい。それが家族なのか、親友なのか、恋人なのか。本当に失ってはいけない対象ほど時に分からなくなってしまう。
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