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早期公開終了するかもしれないからその前に速く観に行くべき『アイの歌声を聴かせて』のレビューや考察など。※ネタバレ有

 
 

「秘密はね、最後に明かされるんだよ」

 
 

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。
 
劇場版アニメーション『アイの歌声を聴かせて』を観たので、ネタバレ有りのレビューというか感想というか一部考察含めたそんなものを書きます。
 
 未観の方は読まないでいただきたいと思います。
 というのも、カエルの主観が含まれる考察があるので、そちらに引っ張られる可能性がなきにしもあらず。
 予告編くらいの情報で観たほうが、良くも悪くも楽しめると思います。
 どうぞよしなに。
 
 前置きさせていただきまして、いくつか書いていこうと思います。内容は4つくらいかな?
 

①作中における『AI 人工知能』とは
②作画と演出のこだわり
③ミュージカル・クオリティ
④独自成長した『AI 人工知能』とは


 
 
 
 


①作中における『AI 人工知能』とは

 前置きとしてかなり大事なポイントだなーと思うので。

□一般AI[掃除ロボット・田植えロボットなど]

・命令絶対遵守
・知識吸収はあっても感情の成長はない
・外見は『ロボット』

□シオン

・命令遵守
⇒命令されれば従うが、そうでなければ自由に発想し行動する
・知識の吸収と感情の相互理解がある
⇒ヒトとの対話が成り立つ、もしくは独断専行するため成り立たない
・外見は『完全にヒト』

 この時点で一般AIとシオンAIとでかなり科学的な技術力の差に乖離がありますが、恐らくは既に全世界で活躍しているのであろう一般AIが量産型汎用ロボットであるのに対し、シオンは一点物。
 それは技術的にも、作中で次々に明らかになる独自に進化した未知のAIであるという点でもです。
 
 主人公であるサトミの家は中身のシステムがほぼ全てAIに管理されており、これは彼女の母であるミツコが星間エレクトロニクスに務め『シオンプロジェクト』のプロジェクトリーダーであるという、ある意味特権階級であることが要因ですが、そうでない一般家庭の親世代の多くも星間エレクトロニクスに務めているようなので、少なくとも彼女らの生活圏はほぼすべてのシステムをAIが担っており、街の人たちはAIに安全性を管理された街で生活しているということが分かります。
 
 AIたちが自らAIの研究を行っていないというのが、ヒトのエゴなのか、ヒトのプライドなのか(エゴと変わらないか)、ヒトに残された最後の仕事、最後の砦なのかは不明ですが、そこだけは不可侵の聖域のようです。
 
 ざっくりAI周りの話だけに触れるとこんな感じになっています。
 
 環境がそうなっている、という前提で考えると、やはりシオンの特殊性や、母ミツコの科学者としての才能と、トウマの魔改造と、その後8年間サトミの幸せ"だけ"を見詰め見守ってきたシオンの驚異的なユニークスキルを垣間見ることができます。
 
 シオンだけ時代が100年単位で先に在りそうな存在に見えます。
 
 これくらいド派手に目立つシオンのAIスペックで、物語全体をベールで包んでいるのが、この作品の"AI 人工知能"となっています。
 
 AIについての大枠の話はこれくらいで、次の項に進みます(o・ω・o)
 
 


②作画と演出のこだわり

 カメラワークやレンズの使い方の話ですが、特に序盤はレンズに乗る光芒[※写真1]や水面下から撮っている様な画面の揺らぎ[※写真2]が散見されます。
 これに関しては、「これくらい撮影技術にもこだわってまっせぇ!」というポーズの要素が大きいと思いますが、その思惑通りカエルなどは「あ、このアニメはそういう『エモな部分も見所』と言いたいんだろうな」と前のめりになったので、単純なカエルはこういうの好きです。
 
[※写真1]

[※写真2]

 
 映像演出という意味では"謎の花火"のシーンも美しくて、かつミステリアスですよね(設定が)

 シオンにハッキングされて花火会場と化したメガソーラーとダリウス風車[※写真3]
 風車とソーラーパネルが光るというのは「そういうこともあるのかな?」という感じですが、花火はいよいよ理屈が解りません笑
 プロジェクションマッピングなのか、AR的な何かなのか、ホログラムなのか、はたまた謎の粒子を使っているのか……。
 分かりませんが、美しいですよね。さらにこの後展開される星間支社でのハッキングの際にも同じ技術が使われていますよね。
 ますます分からん。流石に街なかで花火は厳しいし……(専門知識が無いから分からんけども)
 
 さておき。
 技術は謎ですが、シーンを盛り上げる謎技術がとかく美しいのです。
 進化した技術は魔法と区別がつかない(クラークの3法則)とはこのことか。
 
[※写真3]ダリウス型風車

 
 そして忘れてはいけないのが音楽的演出
 
 さっすが、俺たちの岩浪美和よしかず音響監督だぜ!!!
 カエル個人は、このシオンがテーザーガン?に撃たれるシーンの銃声が生々しくて好きです。

岩波音響監督はいいぞ。
 


 基本的に演出や見せ方・魅せ方については文句が付けれなかったくらい、「どこもかしこも良いなあ」という感想だったので、この項は褒めることしかしてません笑
 
 次の項に行きます(o・ω・o)


③ミュージカル・クオリティ

 本作の大きな見所であるシオンによるミュージカルシーン。
 サトミが大好きなムーンプリンセスの真似ではありますが、シオンの中の人である[土屋太鳳たお]さんの歌声はとても魅力的。
 転校生シオンの自己紹介シーンでサトミの前で突然歌いだした時は「急に歌うよ〜」きたか!?

 と思いましたが、音楽室、屋上、柔道の乱取り、発電施設、それぞれのミュージカルシーンはどれも素晴らしかった。
 泣く……まではいかなかったんですけど、音楽と歌だけじゃなく、ミュージカルらしく映像的に、演出的に心を躍る魅せ方だと思いました。
 
 
 ちなみに、カエルが個人的に好きなミュージカルシーンは屋上。
 アヤとゴッちゃんの和解シーンです。
 
 というのも、その直前のアヤとシオンの対話がとても痛々しいからです。

アヤ「私のゴッちゃんにちょっかい出さないでよ」
 
シオン「ゴッちゃんはアヤのモノじゃないよ」
 
アヤ「えっ」
 
シオン「ゴッちゃんにはお姫様を選ぶ自由がある。アヤもそうだよ。他に王子様がいるかもしれないよ」
 
アヤ「そんなことない! 私ずっとゴッちゃんだけ見てきたんだから!」
 
アヤ「私にはわかるの。今も目で追ってる。ケンカしたのにゴッちゃんのことばかり……」

 
 この 正論 と 本音 の対話が、次にくるミュージカルシーンを引き立たせます。

『Umbrella』
 
雨の中で ふるえてたんだよ
 
いつだって傘のないその人をずっと見つめていたの
 
濡れたままで 笑っていた
 
溢れ出してるはずの涙 雨粒にまぎらせてる。
 
傘をさそう 素直になろう
 
あなたのそばにいたいの
 
そうしてくれたあの日のように
 
一緒に傘の下 並んで歩いていれば
 
きっと 光が差すよ。

 
 生きること、頑張ることに本気になれないゴッちゃんと、ずっと本気でゴッちゃんを見ていたアヤの対話がこの後に続き、無事に二人は和解。
 アヤはシオンとサトミに対しても態度を軟化させていくようになります。
 
 一緒に問題を乗り越えた仲間になっていくワケですね〜(o・ω・o)ここのシーンは ミュージカル らしく、前後の会話と歌のパートまでの一体感が非常に強く、とても心地良いです。
 
 
 サンダーとの柔道の乱取りでの歌パートもオシャレで好き(o・ω・o)ぶっちゃけ歌パートは全部良い。
 
 音楽:高橋諒
 作詞:松井洋平

 
 良い仕事してるぜ……。
 
 歌だけじゃなくてカメラワークも躍動的で良いんだぁ。
 何度でも言うけど、ミュージカルシーンは本当にクオリティ高い。何度も観たい。聴きたい。
 
 
 最後の項にいきます(o・ω・o)
 
 


④独自成長した『AI 人工知能』とは

 物語後半、ミツコの部下であり、元上司でもある野見山と、支社長である西城にシオンのAIの情報がバレてしまい、ミツコはプロジェクトに失敗。超荒れすさみますよね。
 飲んだくれサトミに当たるシーンや、姿見(鏡)に物を叩き付け割ったりというヒスっぷりは相当なものですが、まあ、攻撃されると分かっていた輩の思うツボになったり、AI技術の進歩に情熱を注いできたのに足を引っ張る輩のせいで技術革新の機会を奪われたり、女手一つで育て全幅の信頼を寄せていた娘に騙されるような形になったり……、まあそりゃあ荒れるのも仕方がない。
 特に情熱的に仕事に打ち込んでいたという男勝りな一面を持つミツコなので、演出的にも気性粗めで描いているという側面もあるのでしょう。

 と、それはさておき、そんなミツコとトウマのシオンというAIに関する会話

トウマ「自己進化したとは考えられませんか。AIは元々人に尽くすように設計されています。シオンはサトミのためにできる事を8年実行し続けたんです」
 
ミツコ「それなら、世界中のAIにも同じ可能性があるってことよ。そうなったらこの世界は……」

 とあります。
 シオンのAIはミツコとトウマの合作的なものなので、全世界のAIが同条件ではありませんが……。
 
 星間エレクトロニクス支社に潜入し、シオンと合流した後、警備ロボットと保安局員に追い詰められたシオン、サトミたち。

 この時、支社全体のAIや発電施設のAIがシオンを守るように動きます。
 
 とっくに、一般AIたちは自我を確立させていたという訳です。
 
 

「秘密はね、最後に明かされるんだよ」

 
 
 これが作品全体のポップな雰囲気に隠されていた真実。
 
 よく考えてみれば、
 

・学校のシステムAIは、シオンの学校での奇行をカバーしてくれていました
 
・三太夫ことサンダーのパートナーの柔道AIは、"サトミを幸せにする"に対して協力してくれるとシオンに伝えていました
 
・サトミの家の管理システムAIも、シオンの記憶データのバックアップを取る際に、回線を提供してくれています(シオンは外部の存在だというのに)

 
 とまあ、これまでの展開で関与していたAIはどれも一般AIのAI設計を超えたコミュニケーション能力と意思を見せていました。

 シオンの変なノリのせいで何となく「そんなもんなのだろう」と納得させられていたのが実はAI側の意思だったことが、終盤のシオン救出シーンで展開される訳です。
 
 これは一回観ただけでは読み取り辛いのではないかなぁ、と思いました(o・ω・o)
 こういう設定が一度で理解できると、もっと評価されて映画が話題になると思うのですが、
 
 良くも悪くもミュージカルシーンが良過ぎるため、そして後半のミツコの荒れっぷり〜からシオン奪還までの勢い(え、ミツコママ、それ犯罪じゃね? 倫理的にアウトじゃね? みたいな展開)の影に隠れてしまい、気付きにくくなっていると感じました。
 
 でもカエルはこういう世界観設定が大好物なので、ここでかなり評価値が上がりました。
「面白い」から「これ超面白い!!」に。
 
 
 
 っつーことで色々語ってみました。

『アイの歌声を聴かせて』

 でした。
 読んでくださった「1度は観た」というあなた。
 読んでみて新しい発見や「もう一回観て確認してみようかな?」と思うようなポイントはありましたでしょうか?(o・ω・o)
 
 今のところ、興行収入的には奮っていないようです。
 ぜひぜひ、もう一度劇場に足を運んでみていただけたら、と思います。

 
 
 今回はこんなところで。
 また何か気づきがあれば、追記してまいりますので、よろしくお願いします。
 最後に良かったら♡スキをお願いします。
 それではまた〜(o・ω・o)ノシ

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