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9:追い討ちのジンジャーハイ、呑ませる男は彼女に隠れてキスをする。

恋には優位な立ち位置があると思う。
簡単に言えば、勝ち負けがある。

で、言うまでもなく今、私はその負けている方だ。

負けると分かっている試合を楽しめる人は少ないと思う。
人生最後の、とか、雲の上の存在と対戦、とかならまだしも。

何が言いたいかと言うと、私はこの恋に早く"きり"をつけたいのだ。



昨日の夜、彼と2人で飲み屋街に行った。

もちろん2人ともお酒を飲むつもりで、16時に集まった。
彼女持ちの人とサシで飲みに行くのには抵抗があるが、彼とならどうせ何も起こらないしいいか、と思った。
2週間前に約束して、ずっと楽しみだった。
デートの前にネイルにも行ったし、
髪を巻く練習もした。
いい匂いのヘアオイルを付けて、
ぱっちりとまつげを上げて行った。

彼にとっての可愛いはイコール"好き"には繋がらないとわかっているけど、可愛いと思われたかった。



1軒目は、人気な餃子屋さんに行った。
ここのお店はレモンサワーが濃かったから、すぐにふわふわしてきた。
1杯目、ノリで半分一気させられた。
楽しかったからいいんだけど、2杯目は1口か2口しか飲めなかった。


2軒目、雰囲気のいい天ぷら屋さんに入った。
彼がメガレモンサワーを頼もうとするから、
絶対飲みきれない、と断ってグレープフルーツの果実酒を頼んだが、これまた ジンが濃かった…

2杯目辺りからフラフラしてきた。
会社の愚痴を言ってしまった、髪を巻く練習をしたのも、前日にネイルに行って、友達に会った話もした。

メガを飲まないと帰れませんよー、とまた飲ませようとしてきたから、苦手なハイボール飲むから許して。と言ってジンジャーハイを飲み干した。


なんと3軒目まで行ってしまった。串屋さん。
私はおなかいっぱいでもう何も食べられなかったけど、彼はチャンジャとたこわさを食べていた。
それと日本酒。

私は何も飲まなかった。その頃にはぐったりしてしまっていた。


また説明文になってしまったが、気づいて欲しい。
私は3軒目、もうフラフラで何も飲み食いできない状態だったのに、こんなに鮮明に覚えている。
私が何を飲んだのかも、彼が何を食べ何を飲んでいたのかも。

何回も可愛いって言われたことも、
彼の膝で横になったのも、
肩を貸してくれたことも、
手を繋いで歩いたことも、
「これ位は許して?」と言ってマスク越しにキスされたことも覚えている。

彼は私にもうあまり意識が無いと思っているようだった。
ホテルに誘われたら断る自信がなかったから、終バスの時間を先に伝えておいて良かったと思ってしまった。
ちゃんと帰れる?と心配してくれて、無理そうだな、と判断したのか、私の妹にインスタのDMを送り、迎えの車を手配してくれた。

記憶が無くなったフリをした方がいいのだろうか。
今まで、口では何を言っても、何も無かったからただの友達だったのに、キスしたらだめでしょ…と思った。
「許して?」って、
私にこれ以上何を許せと言うんだ。

このクズ男が!
と叫びたいが、そうもいかない。

どういうつもりなんだろう本当に。

キス?私はしてくれと言った覚えはない。
天ぷら屋さんでキス天は頼んだけれど…

はぁ、ため息しか出ない。こんなこと誰にも相談できない。
恥ずかしい…
noteに書いたらまとまると思ったけど、そうはいかなかった。

彼との時間はすごく楽しいのだ。
それは事実、
だから迷う。この関係が、いつまで続くんだろう、と。

彼女がいる男とデートして、可愛いと言われてハグやキスをして、イチャイチャして帰る。
彼にとって私はただの都合がいいキープ女なんだろうか。
引き取る気がないからキープでは無いか。

恋愛感情の"好き"でないなら、抱きしめてはいけない。という法律でも作って欲しいくらいだ。

勝ち負けは既に決まっているのに、私はいつまで負け戦を続けるんだろう。




Ckw.

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