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日本独自の文化である「元号」について思うこと

当記事作成は2022年8月(令和4年8月)、米大リーグの大谷翔平選手がベーブルース以来、二刀流として「10勝、2桁本塁打」を達成したことが話題となっていた。

ベーブルースの記録は1918年、それから実に104年ぶりの偉業だった。

1918年といえば、大正7年に当たるらしい。日本人の耳には、「1918年」と言われてもなかなかピンと来ず、遠い過去のことのようにしか思えないが、「大正7年」と言われると何となく時代背景が思い浮かぶ。

実に、大正ー昭和ー平成ー令和と、4時代をまたぐ偉業ということだ。

大谷選手の記録も素晴らしいが、他方でその時代背景を瞬時に想起させる能力に優れた日本独自の文化である「元号」も素晴らしいと、何となくついでに思った。今日はそれについて考えてみたい。

前時代の遺物とされつつある「昭和」、新時代の象徴でもある「令和」

昭和のおじさん/おばさん」とか、「昭和の働き方」とかいう言葉が最近世間を賑わしている。多くの場合、良い意味として使われないそれらの言葉を、我々昭和世代の人間は苦々しく思いつつも、同時に少し前までは社会の中心であったはずなのに、「世の中の主流」から追い落とされつつあるという冷酷な事実を含むものとして、重く受け止めざるを得ない。

「昭和」という言葉は、前時代の遺物としての意味を含むパワーワードである。

まさに、すべてのものは移り変わる、諸行無常の響きありである。

他方、同じくマスコミを賑わせる「令和時代の生き方」とか、「令和のトレンド」といった言葉には、「最新の」という意味が込められている。「令和」という言葉は、希望に満ちた新時代という意味を持ったパワーワードになっている。

単なる元号、令和時代を迎えるまでは何の意味も成さなかった二文字の組み合わせの言葉が意味を持ち、生き物のようにそれを変遷させていく様が非常に興味深い。

「令和」はまだ生まれたばかり、だがいずれ、「令和」も前時代の遺物として使われるときが来るだろう。


伝統は一度捨てると取り返しがつかなくなる

元号の由来は言うまでもなく中国にある。しかし、中国ではすでに廃止されており、今やその文化を継承しているのは世界で日本だけだ。

令和元年の菅官房長官(当時)の発表時の世界の、そして特に中国の注目ぶりはまだ比較的記憶に新しい。

このように、海外にルーツを持ちつつ、独自に進化させた状態で今に残る文化を、日本は数多く保有している。

正直なところ、市役所での書類の手続きのときなど、「面倒くさいから和暦やめて西暦で統一でいいんじゃね!?」と思うこともないわけではないが、こういう日本独自の貴重な文化は、今の時代に合わせつつも基本的には残していった方がいいと思う。

伝統は一度捨てると取り返しがつかない。中国人が、日本の元号制度にノスタルジーを感じるのは、そういうことなのだろうと思う。

特に、「一世一元制(天皇一代に一元号)」は、天皇の代替わりを示すだけでなく、すべての日本人がともにその時代を歩むわけであるから、その元号の時代背景を思い起こすことが容易であるという利便性もある。

特に令和時代の幕明けは、天皇崩御に伴うものではなく、生前譲位によるものであったから、「令和元年」が始まるときのワクワク感を、我々日本人はみな経験していることだろうと思う。これは、他の国の人々には味わうことができない、日本国民の特権でもある。

時代(Era)という文化は、日本独自のものとして、未来に残していった方が良い。このような日本独自のものを良い形で残していくことは、海外の人々の日本に対する憧憬を深めることに役立ち、ひいては潜在的な日本のパワーとなる。

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元号文化を守るために必要なことは・・・

そんな日本の素晴らしい元号文化、これは天皇制と切っても切り離せないものである。

私自身は畏れ多くも天皇制について意見を述べるような立場にはないと自覚しているが、世間には女性天皇、男系・女系天皇など様々な意見が溢れている。なかには、今の時代に合わないから天皇制をなくしてしまった方がいいのではないか・税金の無駄、といった意見もあるようだ。

ただ、日本の天皇家は万世一系(とされる)。日本は実は、世界最古の王朝である。王家に敬意を払う世界中の国々の中で、天皇家のパワーというのは凄まじい。これは巡りめぐって、我々一般国民の生活を守る力にもなっている。

・伝統は一度捨ててしまうと取り返しがつかないことになる。

・世界最古の王朝としての日本の天皇家の外交的パワーは世界最強かも知れない。

秋篠宮家の女性皇族の結婚話が世間を騒がせ、皇族減少も大きな問題となる昨今、一般人も天皇制について様々な意見をする機会が増えている。しかしながら、天皇制を論じる際には、少なくともこの二点には格別な配慮が必要なのではないかと思う今日この頃である。


(画像は写真ACから引用しています)

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