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エリザベス女王の国葬を期にイギリス・インドと日本の関係を考えてみる

エリザベス女王の国葬と、安倍晋三元首相の国葬の比較を面白おかしく取り上げるメディアも増えるなか、かつて世界帝国を築いたイギリスの国家元首と、元首ではなく現職ですらない元総理の葬儀の格を比較すること自体がそもそもナンセンスであると感じている今日このごろ、こんな報道が出た。

かつて世界中から富を収奪したイギリスと、収奪されたインドの微妙な関係、そして日本が果たすべき役割についての考察をまとめてみる。

「最古のダイヤモンド」返還をbyインド

日本の皇室とも友好的な関係があることから、エリザベス女王の功績については好意的な報道が日本においては多いが、世界情勢をウォッチする者としてはこういう観点も重要かと考えている。

インドから見ると、また別の景色が見えるということである。

「インドから盗まれた」「英国が働いた歴史的略奪の証しだ」。8日の女王死去後、かつて英国の植民地だったインドで「コイヌール」がツイッターのトレンド入りした。19日の国葬を前に、英国に返還を求める署名運動もインターネット上で始まった。

上記記事より引用

さて、かつての宗主国と植民地という複雑な関係を持つイギリスとインドであるが、これら両国は21世紀の日本の繁栄のために重要視すべきと著者が考えている、最重要国である。

この複雑な関係性を見るに、日本の果たすべき役割は益々大きいように思う。

21世紀のイギリスと日本の関係

イギリスは19世紀の世界覇権国であり、GDPは世界6位といえど、極めて強い影響力を今なお保持している。

イギリスと日本は、地政学的にはユーラシア大陸の西と東に位置する島国であり、海洋国家(シーパワー国家)である。

かつては日英同盟があり、友好関係にあったが、第二次世界大戦において両国の溝は深まった。その溝を埋め、傷を癒やすのにエリザベス女王と日本の皇室が果たした役割は極めて大きい

イギリスのEUからの離脱は、シーパワー国家としてのアイデンティティを取り戻すものであり、日本への再接近は必然であると思う。今後、TPP加盟、次世代戦闘機の日英共同開発から日英準同盟へと関係は深化していくだろう。

かつての世界覇権国であり、世界有数の情報収集能力を持つ国であり、国連の5大国の一角であるイギリスとの関係強化は、21世紀の日本の繁栄に大きな役割を果たすと考える。

21世紀のインドと日本の関係

インドと日本は伝統的に、比較的良好な関係を結んできた。GDPは今やイギリスを抜き世界5位、人口も間もなく中国を抜き世界1位になろうとしている。

インドはカースト制度といった問題を抱えつつも、今後、アメリカ、中国と並ぶ超大国となるだろう。そんなインドとの友好関係は、日本の明るい未来にとって必要なことである。それを見越したのが、QUADであり、自由で開かれたインド太平洋構想である。

そんなインドは、かつての宗主国イギリスに複雑な思いを抱いている。今後、力を増すにつれ、上記記事のようなイギリスへの要求も強まっていくだろう。

インドには、欧米に言われたらムカつくけど、日本に言われたらまあ聞いてやらんこともないという側面がある。少なくとも、安倍元首相ーモディ首相間にはそんな関係があった。

インドとイギリスが過去を乗り越え、発展的な未来を築いていくうえで、日本が果たせる役割は大きいかもしれない。少なくとも、それくらいの影響力を保持するように、日本外交には頑張っていただきたいものである。

なぜイギリスとインドが重要なのか?

さて、「伝統的二枚舌外交のイギリスと、どっちつかずで漁夫の利を得ようとするインドなど信用ならん!」という意見もあるだろう。「他国など気にせず、日本は日本でやっていけばいいのだ!」という意見もあると思う。それはそれで否定しない。そういう意見も大切だと思う。

一方で、当note記事において世界のニュースを分析する上で基軸にしていることの1つに、マティス元アメリカ国防長官の言葉がある。

曰く、「同盟のある国は栄え、同盟のない国は滅びる

この精神にのっとり、できるだけ良い友達を多く作っていくことが、日本の繁栄に資すると考えている。

そこで、「友達作りの優先順位」をいうのを常に考えながら、世界のニュースを日々見ている。

そして、目下、筆者が考えているお友達作りの優先順位を表にしてみると、いかのようになる。

これは完全に私見であり、当然ながら異論もあるだろう。けれども、安倍外交が目指していた世界観に結構合致しているのではないかと勝手に思っている(^^;  当たらずも遠からずではなかろうか、知らんけどw 

内政では問題もあったが、少なくとも外交においては筆者が安倍元首相を高く評価しているのはこういう理由による。

イギリス、インドを重視するのは上で述べた通りであるが、それとほぼ同等にオーストラリアとの関係強化も重要だろうと思う。

そう、QUAD、AUKUS,  TPP,  IPEF,  自由で開かれたインド太平洋構想、全てはこれらの枠組みに合致するものだ。これらは全て国益に資するものであり、安倍外交が推し進めてきたものである。

このように、安倍さんは21世紀世界の力関係の骨組みを作り、日本発の戦略が世界で採用されるようになったというのは有史以来初めて快挙である。

今まで日本の総理大臣といえば、国際会議では隅っこの方に座って愛想笑いを浮かべているのが通例だったが、安倍氏はかなり中枢に食い込んだのは間違いない。その功績を国葬相当と考えるかどうかは人それぞれだと思うが、いずれにせよ国葬は開かれる。

死人に口なし、生者にのみ価値は見出されるのか。弔問客を見て、非情にも誰が真の友人であったか明らかになるだろう。そういう目で、エリザベス女王の国葬と安倍元首相の国葬をみていきたいと思う。

(画像は写真ACから引用しています)

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