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ノルマがなければ、どうなるか?

飯田結太『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』を読んでいます。

ノルマがなければ、お客様に本当に合う道具が何かを考えるチャンスが生まれます。いったい誰が使うのか? どれくらいの頻度で使うのか? どんなキッチンで使うのか?
質問を重ねて、より一層の満足を感じてもらえる道具を導き出せるのです。
ノルマは靄のかかったサングラスのようなものかもしれません。初めは見えにくさを感じても、いずれは慣れていきます。そして、お客様をノルマを通して判断するようになってしまいます。
それが怖いのです。 (P.93~94)


企業は「利益追求」という足かせをはめられています。
モノやサービスを売り、お客さまからお金をもらい、利益をあげ続けなければ、企業は存続することができません。

そのために、多くの企業は数値に基づく事業計画や売上目標を作成し、それをもとに従業員のノルマやKPI、MBOといったものを設定します。利益をあげるために、個々人に「数字」という縛りを与えるのです。


「お客様を満足させることは、数字よりも重要である」ということは、誰もがわかっているはずです。

それでも、「数字」という縛りがあると、どうしても「もっと高い商品を買ってもらえないだろうか?」「もっとたくさん売れないだろうか?」といった、「数字をあげる」ための考えが頭をもたげてきます。

優しさや気遣いに秀でた人でも、数字による呪縛から逃れることは容易ではありません。



一方、老舗料理道具店「飯田屋」を経営する著者は、ノルマや売上目標といった「数字」を、一切従業員に課さないそうです。
営業方針は、まさかの「売るな」です。

著者いわく、「1000枚のフライパンを売るより、1枚のフライパンをお客様に心から納得して買ってもらうことが飯田屋の仕事である」とのこと。

「お客様を大切にする」、「お客様の満足が第一」といったことを掲げている会社は数多くありますが、「ノルマ無し」、「売上目標無し」まで踏み切っている会社は、それほど多くはないでしょう。


ノルマやKPIといった数値目標がないことで、従業員は「お客様を喜ばせること」に100%集中できるようになり、仕事により一層やりがいを感じられるようになったそうです。飯田屋の従業員さんたちは、数字に一切とらわれず、目の前のお客さまを喜ばせることに100%の力を注ぐのです。

お客さまとしても、「売られる」、「買わされる」といった警戒心を解き、リラックスして買い物を楽しめるようになり、結果として顧客単価も上がった、とのことです。


「数字で管理をしない」ことがお客さまの満足の追求に繋がり、結果として売上も上がっているそうですから、本当に驚きです。数値目標、KPI、ノルマといったものの効果について、改めて考えさせられました。


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