川端康介
デザインの制作単価が上がった10のきっかけ
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デザインの制作単価が上がった10のきっかけ

川端康介

制作会社(フリーランスの方も)にとって単価の悩みは永遠につきまといます。僕も制作会社を経営しているので、長年この悩みと連れ添いこれからも添い遂げる事でしょう。そんなデザイナーにとっての単価の悩みについての解決法を僕なりの10の思考方法を紹介します。

※具体的なノウハウというより体験談なので皆さんの仕事に置き換えて参考にしてください。

はじめに

単価を上げたいと思う動機ってなんでしょう?
・工数がわりに合わない
・利益が少ない
・相場はもっと高い
・稼ぎたい
色々と思惑はあると思います。

「あなたの給料を今日から3倍にあげます。あなたの価値は給料に見あってますか?」

これは社内でもよく話すことなんですが、最終的に自分の市場価値と価格があってなかったら上げられません。市場価値は「努力賞」とは違います。それを求める事を僕はよく「搾取」と呼んでいます。

本当に単価を上げて依頼主の経営的な支援ができますか?いただいたお金以上の価値を明確に伝えることができますか?

まず知って欲しいことは誰でも単価上げたいと思っているし、でも相手はできる限り安く済ませたい。これが当たり前だということ。

当然の事ですが相手企業は「納品後にもたらされる利益創出」を求めています。それが「ニーズ」です。デザインが欲しいは「ウォンツ(手段)」です。そして私たち制作会社の多くはウォンツを叶えるサービスを日々行なっています。ニーズとは違う位置に存在し、デザインという隠れ蓑に守られ、相手の利益なんて考えていなかった。

その気づきが僕の単価アップのスタートでした。

僕は10年前に起業し、LP制作や広告支援、コンサルティングを行う会社を経営しています。現在の1案件の初回取引単価は100万円〜700万円です。

この金額は約3年で3倍近く上がっています。

単価を上げた思惑は多々ありますが、上げるに当たって色々模索した事を今回のnoteで記します。何かのお役に立てば幸いです。


1 人柄は伝えない

僕の人柄が会社のメイン商材ではありません。まずこの考えを徹底しました。根本的に自分に自信がないと仕事の断り方が下手くそになります。その結果「無理難題」を断れず、時間に余裕が生まれません。自社サービスの質向上に頭と時間が避けない状況が続いてしまいます。

「お客様に寄り添う」という考えは僕も根本的にありますが、相手の要望に応えるだけが仕事化してしまうケースが多々発生します。こんな案件多いですよね。

人柄メインで受注した案件に多いケース
・相手の思いつきに全て対応
・なるはや要望は今すぐ着手
・休日でもやり取り発生
・いつ納品?ゴールが見えない
・見積もりに含めるかどうか微妙な作業の連続

この状況は自ら都合の良い便利屋さんになる事で発生しがちです。僕は典型的な便利屋さんタイプですが、3年ほど前から寄り添うという僕の人柄起因による項目を商談時から排除しました。その結果、理想論を語らず現実的な提案での受注が増加しました。


2 市場を限定

弊社はECサイト制作やチラシ、パンフレット、ランディングページなど様々なデザイン案件を作成していましたが、この薄っぺらく幅広い「何でもできます感」をキッパリと捨て、「ランディングページ制作×コスメ市場」に限定しました。

得られたメリットは
競合が少ない
コスメLP=弊社という認知度向上
専門的データ取得量と質の向上
具体性の高い提案が可能
効率化
選ばれやすさの向上
限定してもその他の相談は生まれる

面接に来る方でLPもwebサイトもバナーもチラシも得意です、という方に限ってどれも薄い印象になりがちです(結局強みは何?)。何か一つ飛び抜けた得意ジャンルを作る方が相手も選びやすい、という採用側目線で見ると至極当然なことに気づきました
もちろんコスメ市場の成長率や市場規模、企業数も考えつつ選定しました。弊社のデザイン特性がコスメと相性が良かったのも選定の起因です。

実績取得にもデータ取得も効率が良く、副次的な効果として多くのWeb広告代理店での認知も拡大し、「コスメLPならナノカラーって会社あるよ」という口コミからの依頼が増えました。


3 強みは自ら作る

これは「やりたい事」と「できる事」のバランスの取り方にも関係します。やりたい事だけを優先していると強みが見つかりにくい事も多いです。中には努力した気にならないとお代はいただけないとすら思う方もいますよね。

自分の得意領域の発見ポイント
・よく褒められる事
・意外と簡単だと感じた仕事
・とても感謝してくれるお客様
・自分の興味との相性がいい
・ゴールがイメージしやすい案件

このように、ちゃんと相手の方のポジティブな意見を信じていくと意外な領域から「自分の強み」の可能性を感じる時が増えました。

元々コスメ市場に弊社が特段強い自覚はありませんでした。しかしニーズを感じた結果「この強みにする」と決定しました。それからは弊社サイトにコスメ/美容専門LP制作会社と記載し、広告を出稿し自らアピールしました。

これは「市場のニーズ」に「自分のできる事」を合わせただけです。実績がないのに得意って言ってもいいのかな?という引け目もありましたが、そんな事考える前に出してみる。出しながら最適を考える。これが強みを生むサイクルのスタートです。


4 相手を選ぶ

相手を選ぶには相談される母数を増やさなければいけません。そして相手に選ばれる状況を作らなくてはいけません。「選ぶ」には「選ばれる」とセットで考えなくてはいけない。その為には

・提示金額を支払える企業規模
・相手企業の課題が理解できている提案提示

これが選び/選ばれるための最低条件です。そもそもの気もしますが安い案件しか獲得できないのは「市場の選定」か「提供価値」がズレています。

理想かもしれませんが「高いけど、そこまでやってくれるのならこの金額は当然だよね、お願いします」という流れ。この流れは上記の2点が合ってなければ発生しません。その為にも圧倒的に集客力が必要になります。だから選べる状況が発生し、選んでいただける案件が増えます。

集客もせず待っている状態であれば、まずは圧倒的に相談される母数を増やしましょう。そこから答え合わせです。


5 デザインの話はしない

制作会社がデザインの話をするのは当たり前です。マーケ会社がマーケを、広告代理店が広告を話すことと同じです。そう、当たり前なんです。

制作会社は手段を目的化したサービスを行なっている

当然の事ですが相手企業は納品物ではなく、本来その後にもたらされる利益創出が本来の「ニーズ」です。「デザインが欲しい」はウォンツ(手段)です。これが最も大きい要因で、私たち制作会社は手段を目的化したサービスを日々行なっています。

その食い違いがお互いの見積もりに対しても乖離を生みます。

下記のお互いの見積もりに対しての見解の齟齬を排除
依頼者→利益への投資
受託者→作業工数

この見積もりや提案でのすれ違うを排除する為には、会話は自ずと経営や事業計画、マーケティング、広告に関わる会話が中心になりました。その結果、制作されるデザインというプロダクトへと落とし込みます。


6 希望は聞かない

もちろん希望は聞きます。デザインもしっかりと相手企業の希望にも応えます。それは最低限の果たすべき事です。しかしそれが全てではない。やらない方が良いことはお断りします。それが僕が蓄えた地検により提示できます。優先順位や根底が崩れてしまうような思いつきアイデア希望には「現状の御社フェーズではやるべきではない!」と伝えます。それを決め提案することも自分たちの仕事だという認識に変わりました。

問題が発生→課題を発見→解決策としてデザイン
という流れがあれば、「課題の発見」を仕事に移行したということです。


7 悩みは聞く

ビジネスは「搾取」でも「施し」でもなく対等な「交換」であるべきと考えています。先ほど書いたように僕たちは「課題の発見」へのサービスの主軸を変えていきましたので、その為にも悩みを聞くことがヒアリングの中心になりました。そこで重要なのは聞いた内容を適切に判断すること。

ヒアリングでちゃんと情報を整理する
事実なのか / 願望なのか
主観なのか / 俯瞰なのか
要望なのか / 指示なのか
定量なのか / 定性なのか
個人なのか / 法人なのか
直接なのか / 因果なのか

相手の悩みをヒアリングしていると、様々な情報が連続して提示されます。その中で上記のように振り分けなければいけません。
「オープン初月で1億売りたい、かっこいいデザインが好き、競合は結構売っているらしいよ」というヒアリングしても問題の発見には繋がりません。そもそも課題はオープン初月1億円という文脈のない目標設定に違いありません。

8 デザイナーであるという自意識を捨てる

僕は独学でデザインと呼ばれる仕事をしていたのですが、自分の品質がどうだとか、もっとすごいデザイナーは、という事ばかり考えていた時期がありました。実際僕たちがサイトやLPで物を買った時にデザインの話ってしてましたっけ?

もちろん最低限の知識も技術も必須です。しかし、過剰なデザイナー意識は相手のニーズ読み取り感知器を曇らせる要因でしかなかったことに気づきます。そもそも僕は相手企業に褒めてもらうデザインを作っている訳ではない。この自意識を捨てることで一瞬で、様々な呪縛から解き放たれました。

細部のこだわりに神が…とか
かけた時間だけ質が上がる…とか
あのデザイナーに比べて自分は…とかの劣等感とか

そんな物は全て捨てる事ができてから、制作はしつつも自分の職業はデザイナーではなく設計者だという自覚が芽生え、プロジェクト全体を把握する能力が上昇したと自覚しています。


9 絶対数字がついてくる

相手企業のニーズに近づけば近づくほど数字への責任に追われます。多くのデザイナーが逃げ回っている領域じゃありませんか。マーケティングって興味あるけどどうなの?という話もよく聞きます。
デザイナーや制作会社が市場で売り込んでいくのもマーケティングです。逃げている場合じゃない。自社の売上が上がっていないのに、相手企業の売上が上がる訳が無い。当たり前ですが、自社の経営を真剣に考えればマーケティング思考は必須です。

10 まず上げてみる

僕なりの結論として、制作単価を上げる方法に正解はございません。手っ取り早く正解にたどり着くには「まず単価を上げてみる」という何とも言えない結論ですが上げてみないと分からない事も多くございます。

冒頭でも話したように、上げるためにはちゃんと見合った価値を提供する事が前提です。闇雲に上げても上がりません。ただ、安すぎる会社は適正まで上げられる可能性はあります。だったらまず上げてみるべきです。
そして、上げてしまえばいつもより多角的な視点で相手企業を見ると思います。はい、作って終わり!なんて気になりません。

なんども言いますが、技術も知見もないのに「売れますよ」と称して制作するのは「搾取」だと考えています。
売るって本当に大変です。2件が5件に変わっても相手企業は潤いません。3件増やすために僕たちはLP作ってるんじゃありません。

じゃあ、頂いた投資金額分を回収するには何件売らなければいけない?それを考えて提案するから信用してもらえるんです。

これが本質だと考えています。


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川端康介
Webデザイナーと経営者という目線からセールス・マーケティティング・ブランディングの視点を発信 | 宣伝会議・HAL講師 |