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広告バナーをデザイン論で語らずに「ビジネス思考」を学んでみよう!

以前Twitterで投稿した内容を少し深掘りし、バナーがどれほどの経済効果を生んでいるのかを解説したいと思う。

ご注意 : 登場する数値は「実数値ではなく編集した目安」の数値です。弊社顧客の数値とは関係ありません。

はじめに

Twitterではクリック率とCV数(購入数)を書きましたが、そこから掘り下げて広告に対しての費用対効果まで考えてみます。
・数は獲れるが赤字になる
・効率は良いが数が足りない

この2点は「目標数値からの逆算」をしながらバランスをとるしかありません。1ヶ月間の目標のために週の目標とタスクを決め、最適解を探し、その積み重ねが事業の年間目標の達成に繋がると考えています。

どんなバナー作った?

1 化粧品を持っているだけの「手に持っただけバナー」
トリミングしただけなので作業時間は5分ほど

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2 綺麗なイメージカットや価格/コピーも入れた「バナーっぽいバナー」
構図と配置バランスや級数なども含め30分〜1時間ほどで完成

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まずどちらも基礎化粧品のトライアルセットを売るために制作したバナーだ。このバナーをクリックするとランディングページに遷移して訪問者が気に入れば購入する。

まず商品の特性を考えてみる

この化粧品は誰もが知る大手会社が作っています。が、いわゆる「高級ブランド」ではありません。指名ワード数やハッシュタグ数などを計測しても、この企業がこの化粧品を売っていることはさほど認知されていない状況です。

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(引用:ECzine 「5タイプ理論で考える、ネットショップのタイプ別攻略方法(2017年8月版)」 著:アナグラム株式会社 運用型広告エキスパート 森野滋郎)

この化粧品は右下「オリジナル型」に該当します。企業名が認知されているとは言え、ランコムやIPSAなどと比較して、ブランド名や企業名で指名検索してこの化粧品を購入される機会は低いです。

今回のおさらい

この商品はYDN/GDN/SNS/検索を中心に「美容関心」というセグメントで配信され、今回はYDNで1週間配信された際のデータを元に考察します。

クリック率は?

表示回数とクリック率は「1 手に持っただけバナー」の勝ち

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クリック率は約2.7倍の差
送客数は約11倍の差
バナークリエイティブとしてユーザーをLP(ランディングページ )に送り届ける事を最大の目的にするなら「1 手に持つだけバナー」が圧勝である。

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クリック先の購入率は?**

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購入率(CVR)は「2 バナーっぽいバナー」が約4倍以上の差をつけて圧勝。しかし訪問数の差から、獲得件数は「1 手に持っただけバナー」が約2倍以上の差をつけた。

「率だけを見たら2」、「件数だけなら1」のバナーが勝った。

数を追うのか、効率を追うのか?

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CPA→1人の購入者を獲得するまでに投資した金額
下世話な例えですが「好きな人と出会ってから付き合うまでに使ったデート費用」です

CPC→広告に表示されたバナーの1クリックあたりの金額です。
マッチングアプリで1つ「イイね」をもらう為にかかった費用です。同じ課金額なら数が多い方が安くなりますよね。

圧倒的に「2 バナーっぽいバナー」のCPAが安いですよね。そう、この金額が安ければ安いほど「利益率」が上がります。だから誰もがこの「CPA」を安くする方法を考え悩みます。

じゃあ「2 バナーっぽいバナー」で人を集めたらいいんじゃないの?

そう、利益率を考えたら「2のバナー」だけでお客さんを集めたほうが良いんですよね。では1ヶ月間の目標数値をみてみましょう!!

1ヶ月の目標数値

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1週間の実績から4週間後を予測

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冒頭にも話したように、実際の出稿先はYDNだけではなくSNSやGDNにも配信しているし、バナーの種類はデザイン違いや訴求違いだけで10パターンが運用されているので、この2種類のバナーのみでの目標達成を目指している訳ではない。

この2つのバナーが存在するから目標達成に限りなく近づいている

どちらかが勝ちパターンでどちらかが負けパターンという判断軸は「見る項目」によって異なります。件数or効率?広告主にとってはどちらも大切です。この「新規顧客の獲得数と効率性」という視点からすれば、2つのバナーがどちらも存在することが目標達成に必要なパターンであることが分かります。

ここからが本題

お気付きの人もいるかと思うが、「1,980円の商品」に対して目標CPAが16,000円?!めちゃくちゃ赤字じゃないか!!

そう、このビジネスモデルはどれだけ継続してもらえるかが利益を生み出すモデル。お試し商品の購入者に対して「定期的な購入」をしてもらわなくては利益を生むことができない。

販売主からするといきなり定期購入をしてほしい訳ですが、使ったことがない商品を定期購入する事はとてもハードルが高い(それこそCPAが高くなってしまう)。という訳で「お試し商品」の販売から始める企業が多いのです。しかし、お試し商品を買ったお客さんばっかりを集めて何もしなかったらずっと赤字続きですよね。

引き上げ/クロスセル/アップセル

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LTV(この業界では1年間での1顧客単価)を上げることが利益になります。いかにCPO/CPAを下げてLTVを高めるかが重要ですね。そのために、定期購入を続けてもらう、他商品も合わせて買ってもらう、より高額商品を買ってもらうという施策が必要です。

定期購入の解約率

定期購入ではつきものの「解約率」を全体だけではなく、様々な要素で紐解き、解約率を下げる対策を行わなければいけません。その為にも下記のような項目で解約率を見て対策しましょう。

・回数別の継続率
・月毎の継続率
・決済方法毎の継続率
・広告媒体毎の継続率
・デモグラ毎の継続率

集客経路によって訪問者の「心理」が違う

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先ほどまでバナーやビジネスモデルの話ばかりだったが、次はランディングページについて検証してみます。

・ファーストビュー直下の残存率
・購入エリアまでの残存率
・購入ボタンのクリック率
・熟読エリア(赤い箇所が読まれている)

価格表記バナーの方がよく読まれている
価格を書いた「バナーっぽいバナー」をクリックした人はすぐに離脱をせず、購入エリアをしっかり読み、ページの下部にスクロールしている人が圧倒的に多い。一方「手に持っただけバナー」は価格を見た時点で帰ってしまっている人が圧倒的に多い。

つまりバナーに価格を記載する事で「化粧品を売っているページ」にジャンプする事を想定してクリックしている「購入確度」が高い層の送客が可能になるのだ。

さてここで改めて考えてみます。

「化粧品」には何が求められているのか?

・今抱えている課題解決
・使用する事で得られるステータス
・さらに良くなる為の投資
・使い心地(テクスチャ/使用後の体感/翌日の体感/数週間後の体感)
など様々あります。

使い心地が良くなくても「改善のため」に使う人もいるでしょうし、香りが気に入っている、など継続の理由も人によって様々ですが、購入時の「期待値」と使用後の「体感」とのズレが大きいほど継続率は下がります。

つまり、「広告→ランディングページ 」という動線だけの数字だけではなく「購入→継続」という動線まで含めて設計し「バナー」を作らなければ、「全く継続してくれないお客様」を集め続けてしまう恐れもあります。

まとめ

たった2つのバナーの話からビジネスモデルの話題まで広げてしまいました。これはあくまで1つの例であります。

クリック率を上げるバナーだけ考えると
・インパクト
・共感
の2つが重要です。スマホやPCを見ている中でバナーに注目するのはたった数秒でしょう。そんな時にクリックするのは「何だろう?」というインパクトか、「分かる!」とか「え!自分のこと?」という共感です。

クリック先での目的、そして事業のゴールをしっかり繋ぎ込まなくてはいけません。サービスを届けることで利益を生みたい広告主と、商品と出会うことで生活や気持ちが豊かになるお客さんがいます。この2者を繋ぐ1つのツールがバナーです。これを忘れてはいけない。広告バナーはデザインで語るもんじゃない。と僕は考えています。


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