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ひとり、童貞連句を作る⑥(第十一句、挙句)

第六回目、いよいよ童貞連句も
ラストとなりました。

童貞連句シリーズの記事はこちら。

今までの十句を見て参りましょう。

夏浅し午前八時に巻くひげか    初夏 場
 水打つ人の濡らすつま先     三夏 他
跳ね油勢い付いた音聞きて     雑  自
 名残茄子から垂れるめんつゆ   仲秋 場
友集い白川夜船二日月       仲秋 自他
 熟れぬオリーブ男塩漬け     晩秋 他
向かいの君酒もないのに赤み差す  雑  他
 毛布代わりと握るねんねこ    三冬 自
懐で僕だけに咲け冬椿       晩冬 自
 ぐいと土くれ押しのけた春    三春 場

十句も並ぶと壮観ですね。

あともう少しです。早速次の句に参りましょう。

知らぬ間に鮒の旅立ち温む川  仲春 場

「(ふな)の巣離れ」という初春の季語が
ありまして、これも童貞っぽいな〜〜
使いたいな〜〜と思っていたのですが、

字数が合わなかったので季語を変えて、
温(ぬる)む川で対応。

冬の間、沼や川の深いところで冬眠していた
鮒が、春の訪れと共に動き始める。

童貞が、世間の川に流れて行くように。

この情景を想像すると、

喜ばしいことであるはずなのに、
なぜか嬉しくない自分がいて、

己の弱さを突き付けられる。

しかし、実際のところ、
私には童貞の巣立ちを悲しむ暇さえない。

それを知る術がないから。

とはいえ、私はそれでよかったと思う。

もし童貞が目に見えるものだったら、
すぐに気が狂ってしまうだろうから。

いよいよ最後の句に入ります。

 卒業式は胸を並べて  仲春 自他

連句において最後の句は「挙句」と呼ばれます。
「挙句の果てに」という言葉は、これが
由来となっていた訳ですね。

挙句は一巻を穏やかに納めるため、
前句と同季にするのがルールです。

また、挙句で月や花を詠んだり、
挙句一句だけを恋・釈教・無常・述懐などの
重い題材にしたりするのは、避けましょう。

また、本来自分の句の横には名前を書くのですが
(ひとり連句なのでそもそも関係ないけど)、

挙句の作者が、発句または脇の作者と同じなら、
挙句の作者名を「執筆(しゅひつ)」
とするそうです。

そんでもって、挙句については、やはり
「締めですよ!」感を出したい。

と考えて、童貞の終わりとは何かと言えば、
「卒業」だろうなと。

私は童貞厨なので「童貞でなくなること」
祝えるほど、寛大な人間ではありません。

なので、童貞卒業という言葉は、
今までなるべく避けていたのですが、

結局童貞は卒業するものだと、
心の奥では理解しているのでしょう。私は。

そうでなければ挙句を「卒業」には
しないはずですから。

色々考えながら、ひとりの童貞厨として、

童貞と共に、胸を張って卒業できたら良いな。

卒業してからも、一緒に居られたら良いな。

そういう希望に満ちた感じで、
挙句を付けました。

さて!

これにて、
童貞連句 十二律 午前八時の巻 完結!


ここまでお付き合いいただき、
ありがとうございました。

何とか、note内で童貞連句をひとつ、
完結させることができました。

あなたのおかげです。

連句、めちゃくちゃ面白いので、
ぜひやってみて下さい。

というか、ぜひ私と、リモート童貞連句
やりましょう。やらせて下さい。

いやはや、とても寒くなって来ましたね!

私はこたつの電源を付けるか付けないかの
瀬戸際に立たされています。

明日の気温によっては、
こたつの誘惑に敗北するかもしれません。

やせ我慢を続ける私が言うのも何ですが、
あなたはどうかご無理をなさらず、
寒いと思ったらヒートテックを着て、
厚着して、こたつに入って、暖房をつけて、
身体を労ってあげて下さいね。

それではまた。

わらさだくりや


童貞連句、反省会はこちら。


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