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やめろー、ジョッカー、ぶっ飛ばすぞー(ウサギノヴィッチ)

 カップ焼きそばって、焼いてないよね。
 歌舞伎揚げって、けっこう傾いているように思える。
 アメリカンスピリットはタバコ税の高いアメリカではどのような扱いを受けているのだろうか?
 甘酒は濁酒。
 なんてことを考えながら歯医者の治療を耐えている。麻酔のせいで痛くはない。麻酔の注射を受けるときに。もし、なにかの間違いで一生麻痺が残るようになったらどうなるのだろうかと思いながら、ただされるがままの治療台の上で目にはタオルを乗せられて考えている。
 口というのはブラックホールの入り口だと思う。喉から先が、ブラックホールの核心部だ。奥がどうなっているかわからない。まぁ、胃カメラで見ればどうなるかわかるのだが。でも、口の中で食べたものが、結局どのような工程を経てトイレの便器に出されるようなものになるのか。
──はい、もっと口を大きく開けてくださいね。44マグナム撃ちます。
 ドン。
 鈍い音がするが、感覚のないぼくの口にはなにが起きているのかわからない。これも治療の一端だ。44マグナムも治療器具の名称なんだろうなと思う。
──はい、ウルトラマンセブンが入りますで、ちょっとくすぐったいかもしれませんが、我慢してください。
 ぼくは首を縦に振る。ぼくの横になんかとてつもない存在感というか、オーラを感じるものがある。それがウルトラマンセブンなのかもしれないが、目の上に置かれたタオルを取ることができない。それは腕が輪っかで固定されているから。
 ウルトラマンセブンもなにも言わずになにか口の中に米粒みたいなものが入ってきた。彼は今ぼくの中で、漫画で書かれたような虫歯と闘っているんだ。彼こそが歯医者であって、今、ぼくのそばに立っている男はただの傍観者だ。弱虫だ。彼は、人から自分の出来限りのことしかやらないで、それでいて人からたくさんの金をふんだくるんだ。彼は鬼だ。節分の日に恵方巻と一緒に食べられてしまえばいいのに。
──最後に腕に注射打つのでお待ちください。
 腕に注射? ここは歯医者だろ? そんなことされたことは一度もない。なのに、ぼくはなにをされているのだろうか? ぼくはただ親知らずが痛いから歯医者に来ただけなのに、こんなことを受けなければいけないのはなぜだろうか。
 注射を打たれると、ぼくは段々眠くなっていった。最後に、歯医者が、電話で──これで閣下、これで新しい怪人が作れると思います、と言っているのを聞いたような気がする。

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