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久世物語⑩【成長期】ブランド力向上への取り組み

2024年、当社は創業90周年を迎えます。
語呂合わせで『クゼ』と、まさに久世の年。
 
90年という長い歴史の中には創業者や諸先輩の苦労や血の滲むような努力があります。
どのような思いが受け継がれてきたのか、私たちがどんな会社なのか。
「久世物語」をお届けいたします。

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【第10回】ブランド力向上への取り組み

求心力を高めたい

 創立50周年を迎えた1980年代以降、急成長を遂げていた久世は、その陰に一つの問題を抱えていた。それは、社員の定着率の悪さである。
当時の社員数は200名弱。業績の伸長により営業所や配送センターが次々と開設され、バブル景気による売り手市場も相まって、この時期の久世は慢性的な人材不足に悩まされていた。

また、営業担当者には顧客対応と物流の両方の役割が課せられて早朝から深夜まで業務に没頭する日々が続いており、「相談があります」と辞表を持って社長室のドアを叩く社員も少なくはなかった。

 今は何とかやっていけたとしても、このままでは久世の将来を担う人材が育たない。自身も事業に邁進しながら、業務に追われ、疲弊する従業員の姿を副社長時代から見てきた健吉は、会社に対する求心力の向上を目指した社内体制と風土の改革に着手する。


 その一つが、営業体制の再構築である。営業活動と物流を分け、営業担当者がメニュー提案などの提案型営業に専念できる商物分離体制への転換も、背景には社員が安心して働ける環境づくりを行う目的があった。

 そしてもう一つ、「将来に夢や希望を持てる会社に作り直そう。仕事の意義を語れる会社にしよう」という決意から始まったのがCIの導入である。

創業者・福松の思いや経営姿勢を再確認し、次代に受け継いでゆく。めまぐるしく変化する外部環境の中でこれからも久世が成長を続けるために、よりどころとなる「使命」や「誓い」「行動規範」を経営理念としてまとめ、社内外に周知していくための検討が始まった。


CIを導入「頼れる食のパートナー」へ

 1994(平成6)年、健吉は社員全員を集めてこれからのビジョンを全員に語り、創業60周年を機に新たなCIの導入を発表した。

CI導入発表会の様子


スローガンは、
「システムで運ぶ、つくる、考える 『頼れる食のパートナー』」

選び抜かれた言葉の一つひとつについて、健吉は次のような意味を込めている。


「システムで運ぶ」
お客さまが必要とする「モノと情報」を、優れたシステムによって必要な時に、必要な場所に、正確に、安全に、効率よくお届けする。そのために現場の力と知恵から生まれる発想を、仕事やサービスの改善に生かす。

「つくる」
「つくる」には、ものづくりをあらわす「作る」と、価値づくりをあらわす「創る」の意味を込めている。顧客ニーズを的確につかんだ商品開発や商品づくりと、お客さまの課題に耳を傾けて解決策の提供を通じて、お客さまと久世の価値づくりに貢献する。

「考える」
お客さまの立場に立ち、満足していただけるために、常にどのように役立てるかを第一に考える。
 


CI導入に伴い、ロゴマークも一新された。
赤を基調に社名のアルファベットを白抜きにしたロゴマークは、メーカーと産地と外食産業を総合的に繋ぐ「システム」のイメージと、新しい付加価値を生みだす「提案力」を、「スピーチバルーン(吹き出し)」としてシンボライズしたもの。このロゴマークは名刺や社用封筒のほか、配送車両、作業用ジャンパー等に幅広く使用された。

今ではおなじみの久世のロゴマーク


こうして、久世は単なる食材中心の卸から、総合的なサービス企業、すなわち、人・もの・情報のあらゆる局面において付加価値の提供を目指す「頼れる食のパートナー」としての存在価値を社内外へ知らしめていくのである。


(成長期・完)



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