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久世物語⑭【発展期】新たなる挑戦

当社は今年創業90周年を迎えました。
90は語呂合わせで『クゼ』と、まさに久世の年。

長い歴史の中には創業者や諸先輩の苦労や血の滲むような努力があります。
私たちがどのような会社で、どのような思いが受け継がれてきたのか。
「久世物語」をお届けいたします。

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【第14回】新たなる挑戦

久世フレッシュ・ワン創業

 業務用卸としてワンストップサービスを展開する久世が生鮮三品(野菜・肉・魚)の取り扱いに着手するのは、いわば当然の流れであった。
実際、1990年代後半から、取引先の要望に応じて野菜の供給を行ってきた歴史もある。
ただ、この頃の生鮮三品の取り扱いは、自社で開発・製造を手がけるキスコフーズの製品やPB・CFD商品とは決定的に異なっていた。


 取引先から野菜をオーダーされると、サプライヤーを見つけ、自分たちで発注をかけて久世の倉庫に運んでもらう。それをそのまま店舗に届けるため、取引先から「今日の野菜はこんな風だった」とクレームを受けても、こちらで検品をしていないので何を言われているのか全く分からない。

本当にこれでいいのか。
お客さまに役立つ商品を提供できているのか。

こうした疑問から、2009(平成21)年7月に生鮮野菜や青果類を専門的に扱う株式会社久世フレッシュ・ワンを設立し、さらに12月には精肉加工を行うミートセンターが稼働する。

設立当時の久世フレッシュ・ワン


 この年の9月末に築地市場の買取権を取得。
東雲センター(後に新木場に移転)を稼働させた久世フレッシュ・ワンでは「築地市場に当日入荷した生鮮野菜類を当日お届けする」をコンセプトに、ほぼ24時間・365日体制で業務運営を行う。

顧客のニーズに合わせて最適なものをスピーディにお届けするという、きめ細かい対応を通じて久世の提案型営業をサポートし、豊富な商品知識に基づく生鮮野菜の調達力・提案力を誇る久世フレッシュ・ワンの営業活動は取引先からも大いに評価され、業務用食材のトータルサプライヤーを目指す久世の一翼を担う存在へと成長しつづけている。


中期経営計画の始動

 ノンフードや生鮮三品も加わった商品分野の拡大、PB・CFDによる提案型営業の推進など、2000年代後半の久世はさらなる発展の礎を築きつつあった。
そして、2005(平成17)年、新たな指針として「売上高500億円」「経常利益率2%」などの具体的な目標を掲げた第1次3ヵ年中期経営計画「ATTACK520」が立ち上がる。

これを受け、社内では基幹システムの刷新と業務革新プロジェクトを開始。キスコフーズでは業務効率化と発想力の向上を目指した生産革新活動が活発化する。
また、経営トップからの言葉を直に伝え、グループの結束力を高める目的で、2006(平成18)年より社内報「久世ナビNEXT」が創刊された。

創刊当時の社内報「久世ナビNEXT」


そして、2007(平成19)年。三代目となる久世真也が入社する。

 新年度を迎え、健吉は「お客様満足業界No .1」という、さらに高くそびえる山への挑戦を宣言。7月には大胆な組織改編が行われ、第2次3ヵ年計画がスタートする。

リーマン・ショックに端を発した世界的不況に加え、品質に関する重大な事件が立て続けに起きるという厳しい状況の中でも、久世社内では果敢な「攻めの営業」が展開された。

「当たり前のことを当たり前に徹底してやるだけ。そしてチャンスに備えなければならない」

社員との食事会の席、あるいは「久世ナビNEXT」を通じて、健吉はすべての社員を激励した。
目指すべき方向が明確になった今、迷うことはなかった。
社員はこれまで以上に団結し、久世を次にステージへと押し上げるべくそれぞれの業務に邁進するようになった。


(次回へつづく)

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