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「バンド」

「なあ、そこの変調ん時少しモタるよな?」
俺はみんなの演奏を止めて
ドラムのがんちゃんにぼやく

「スマンスマン、なんかハマっちまったわ笑」
がんちゃんは※ドラムスローンから
スクッと立ち上がり
舌をペロッと出して手を合掌
休憩休憩と言いながらスタジオを出ていった

俺は高一の春、6人編成のバンドを結成した
自分の学校5人(女の子1人)と別の学校の1人
の6人バンドだ

と、言ってもコピーバンドで
この頃にハマりがちなロックバンドを
真似てガンガン音を鳴らして
青春をほどよく謳歌していた

小さい頃から音楽が大好きで
中学の頃
一生懸命バイトして買ったギター
でも才能が無い事に気付き
楽器を1週間で諦めた

高校に入り
バンドをしたい気持ちは絶頂になるが
楽器は出来ない、ならば
歌うこと、つまりはヴォーカルに
なることを決意

楽器が出来るメンバーを
自ら探すことで
ヴォーカルとして
バンドをする事が
出来るようになった

ギター2人にベース、ドラム、シンセが各1人
を集めた。ギター1人とドラムとシンセの
3人は中学から多少楽器をしていたようで
もう1人のギターとベースはこれをきっかけに
楽器を始めた

バンドメンバーが決まれば
早速楽器屋さんに売ってた
好きなアーティストの
バンスコ(バンドスコア)を買った

ギター1人の家にコピー機があり
コピーを頼むとそれをみんなに配った
そして練習の日取りを勝手に決めて
事前に調べていたスタジオに予約
初のバンド練習が決まった

初回のバンド練習は
スタジオって空間が珍しく
初めて見るものばかりだから
3人を除いた初楽器メンバーは
機材に詳しいメンバーに
このアンプはどうのとか
このPAはどうのとか
そう言ったうんちく説明ばかりを聴いていて
30分以上はただのスタジオ見学になっていた

スタジオ見学が終わり
いざ演奏を始めてみても
なかなか合わなかったり
リズムとメロディがバラバラだったり
1曲すらバンドとして形に
出来なかったのを覚えている

そう、初めてみんな揃っての演奏で
バンドは簡単ではない事を知った

そして何度目の練習だっただろう
1曲をやり通せた時
みんながすごい笑顔だった

それでも、やっと1曲を
やり通せただけのレベル
LIVEまでの道程はまだまだ遠かった

俺はと言うと
ボイトレなんてしてないし
100%のどで歌う
楽器の音をガンガン鳴らしたい
年頃のバンドでは
音の調和なんて概念は無く
各々が好きな音の形と爆音量で
するものだから
1回の練習で声はすぐに枯れた

でもティーンの回復は早く
次の日には
枯れていた声が
まるで魔法をかけたように
回復していたように思う

それと
練習の時シンセサイザーの音って
バラード以外では
聴こえて無かった気がする

でも仕方ない
そういった調整の無さや
自分の音を大きくしたいってのは
バンド始めましたにありがちな
事なんだろって思う

それでも練習を重ね
あっという間に夏が過ぎ
秋が来た頃
なんとかバンドとして
形になってきて
LIVEが出来るだろうまでには
なっていた

そして忘れもしない
クリスマスイヴの日
初めての※ハコで
初めてのLIVEに臨んだのだ。

「バンド」 終わりのある物語2                                 ~過去~      

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2話目を読んで下さりありがとうございます。
相変わらず文章力がないもので、
伝わりにくいかも知れませんが
少しでも楽しんで見て頂けるよう
頑張りたいと思います。

※スローン
ドラム専用のイス
※ハコ
ライブハウスの事


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