Kuyaki あきろう

フィリピンのパフォーマー(シンガー)にどハマりしたことから見えてきた由無し事を書きます…

Kuyaki あきろう

フィリピンのパフォーマー(シンガー)にどハマりしたことから見えてきた由無し事を書きます。 分野多岐。

マガジン

  • フィリピン音楽と僕

    フィリピンの音楽・パフォーマーとの出会いから、これまでの様々なハプニング、印象に残った出会い、楽曲などを書いていきます。 更新随時

  • フィリピンの音楽 備忘録

    気に入った曲、気になるアーティストを新しいものを中心に、Spotify, Youtubeからシェア。走り書きのようなコメントをつけて備忘録としてアップしていきます。 データベース代わり。

最近の記事

シティポップ短篇集とフィリピン

2024年4月10日、1980年代に日本で出版された短編小説を集めたアンソロジー「シティポップ短篇集」が発売されて、全国紙や大手出版系のサイトでもインタビューや書評が載ったりと話題になってる。 もちろん、今世界中で再評価されている80年代の日本のポップ音楽「シティポップ」というキーワードが表題に使われているからというのもあるんだろうけど、シティポップが生まれた80年代の日本の空気、シティポップのバックグラウンドを描いた小説が一冊にまとまったアンソロジーということでもとても興味

    • 民族的独自性万歳!〜なんとなく、オリエンタリズム〜その3

      80年代にノルウェーのバンドA-Haが大ヒットさせたテイク・オン・ミー。 当時「英語曲」であるテイク・オン・ミーにノルウエーらしさがない、民族的独自性を感じられない・・・といった批判は聞いたことがない。 けれどフィリピン人が英語の曲、欧米ポップス風の曲を歌った途端、フィリピンらしくない・・・フィリピン人としての民族的独自性が・・・の大合唱となる。 ソウル/R&B〜ディスコ直系のBTS (K-Pop)にしても韓国(人)としての民族的独自性が・・・とは聞いたことがない。 それ

      • フィリピン人に似てるってダメなこと?〜なんとなく、オリエンタリズム〜その2

        10年くらい前だったか、フィリピンで活動している日本人歌手と食事する機会があった。 彼はフィリピン人クリエーターや在比の日本人音楽関係者らと長い付き合いをしているらしく、いかにフィリピンのミュージシャンが素晴らしいか、人々がフレンドリーでいい感じ…などという話で盛り上がった。 ひとしきり食事と話を楽しんで別れ際、私はちょっと得意顔で 「僕、フィリピン人みたいってよく言われるんですよ。マニラの下町でもフィリピン人に間違われること多いですし…」 というと、返ってきたのは 「え?藤

        • フィリピンの平均寿命が短い!〜なんとなく、オリエンタリズム〜その1

          フィリピンの人たちの平均寿命が短いことについて、さすがにフィリピンでは歳をとってから長生きできる人が少ないというような勘違いは見かけなくなったように思う。 人口に占める若年層の割合が多いフィリピンでは乳幼児死亡率の高さが日本よりもはるかに「平均値」に大きく影響を与えるからというのは割と普通に知られるようになったけど、ディティールに関してはやっぱりまだまだ雑な思い込みが元気いっぱい残ってる。 ある日本人運営のフィリピン専門のボランティア団体のHPでは、フィリピンの乳幼児死亡率

        シティポップ短篇集とフィリピン

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        • フィリピン音楽と僕
          13本
        • フィリピンの音楽 備忘録
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        記事

          Skusta CleeのLagiは21世紀のAnakだ!

          日本では、古くは山下奉文が処刑された刑務所や渡邊はま子のヒット曲で知られる「モンテンルパ」。 モンテンルパはマニラ首都圏(メトロマニラ)の中で最も南で、ラグナ湖に近接する街だ。先日記事にしたLola Amourもここ出身。 フィリピンは全国的に(ポップ)音楽が盛んなところなので、モンテンルパが特にフィリピンの他の地域に比べ突出して若者の音楽熱が高いということでもないと思うが、最近ヒットしているアーティストのbioなどを見ると出身がモンテンルパだったりそこを拠点にしているアーテ

          Skusta CleeのLagiは21世紀のAnakだ!

          フィリピンで触れた小さな太平洋戦争

          20年くらい前、初めてフィリピンの南の島ミンダナオ島に行った時のこと。ミンダナオ島といっても僕が行ったのはダバオとかと違って日本人をほとんど目にすることのないような小さな地方都市、いや、一応Cityなのだが都市というより街、街というより町、に近いところだった。 お世話になったフィリピンの知り合いの家にお邪魔したのだけれど、近所の人がやってきて井戸端会議に花が咲いていた。 そのなかの当時50歳くらいかな?と思しき女性が、 若い頃マニラで働いていて日本人商社員と知り合い付き合うよ

          フィリピンで触れた小さな太平洋戦争

          Lola AmourのシングルRaining In Manilaとシティポップ

          ポップバンドLola Amourが今年(2023年)6月にリリースしたシングルRaining In Manilaが最近のお気に入りで毎日数回は聴く個人的power playとなっているんだけど、今回興味深いインタビュー動画がYoutubeにアップされたので、ちょっと記事にしてみた。 ボーカルのPio Dumayasが曲の成り立ちと歌詞の内容について語っているので是非一度みて欲しい。音楽的な部分だけでなく、フィリピンの若者の考えやパースペクティブがよくわかる。  動画の中で

          Lola AmourのシングルRaining In Manilaとシティポップ

          新品の靴〜映画Barcelona 僕が伝えたかったこと。

          コロナ前、今から4年ほど前にフィリピン映画Barcelonaの上映会を大阪で開いた。 ストーリーは建築家を目指す青年エリーが出稼ぎに行ったきり帰ってこない母の暮らすスペインに自身も留学、通っていた大学のあるバルセロナで、エリーは昔フィリピンで犯罪に巻き込まれ死亡した元カノそっくりの女の子ミアに出会う。 ミアとの出会いが元カノや母親へのわだかまりを解き、最後はハッピーエンドとなる。 典型的なフィリピンのエンタメ作品、アイドル映画だ。 上映会でこの映画を選んだ理由は、 フィリピ

          新品の靴〜映画Barcelona 僕が伝えたかったこと。

          フィリピンあるある、番外編(笑

          フィリピンあるあるって結構出てきてよく言われるけど、ちょっと番外編的なものを・・・ 飲み物の栓(王冠)を開ける時。 フィリピンに限らず東南アジアの国とかに行くと、瓶入りビールやジュースの栓を栓抜きを使わずにスプーンやライターを引っ掛けて開けているのを見かける。 栓抜きがあるのに使わないのではなく、無いときにはすっとスプーンやライターが登場し、何事もなかったのように開栓される。 我々のように、栓は栓抜きで開ける生活(常識)に慣れていると、栓抜きがない時、栓抜きを探す、見つ

          フィリピンあるある、番外編(笑

          フィリピン音楽と僕 13 - A Night To Remember : ひょっとしたらいい国かも、フィリピン...と思った瞬間

          多分2回目にフィリピンに行った時と思う。 タクシー代を浮かせるために空港からダウンタウンまでジープと電車をのりついで行くことにした。 ターミナル2の近くから乗れるジープはバクラランの端っこの方に止まる。そこから駅まで炎天下を約20分徒歩だ。 肉屋や八百屋が軒を連ねる市場の前を通りながらとにかく歩いた。 ほんっとにクソ暑い!というのが正直な印象。 しかもトタン?の天蓋があるだけの屋外の市場からは肉や野菜の陽に灼けた匂いが漂ってくる。。。 食べ物以外にも夥しい数の物売りがひしめ

          フィリピン音楽と僕 13 - A Night To Remember : ひょっとしたらいい国かも、フィリピン...と思った瞬間

          フィリピン音楽と僕 12 - シーンを牽引するThe Voice Kids Philippines出身のキッズたち

          American Idol、X-Factorなど世界中でフランチャイズ開催されているタレント発掘番組(企画)、オランダ発祥のThe Voiceもフィリピン版が行われている。2014年からはキッズ版のThe Voice Kids Philippinesもスタートした。 フィリピンのVoice Kidsは2017年のシーズン4まで開催されたが(その後はThe Voice Teensに移行)そこに出場した子供たちが今のフィリピンのミュージックシーンを牽引している。特にシーズン1と2

          フィリピン音楽と僕 12 - シーンを牽引するThe Voice Kids Philippines出身のキッズたち

          映画「世界は僕らに気づかない / Angry Son」の見どころ。

          この春大阪アジアン映画祭で初上映され、日本はもとよりアメリカ、韓国、ドイツ、オランダの映画祭でも取り上げられている飯塚花笑監督の映画「世界は僕らに気づかない」を今月初旬に関西クィア映画祭で見た。 久しぶりに何度も何度も繰り返しみたいと思った作品だった。 複数の大きなテーマを含む力作・秀作だけど、メインテーマとなっている「フィリピン」を中心に見所を解説してみたい。(来年一般公開が予定されているらしいので、ネタバレには最新の注意を払いつつ・・・ 人間関係 なんといっても日本で

          映画「世界は僕らに気づかない / Angry Son」の見どころ。

          フィリピンタイムってなんだろう

          フィリピンタイム。 マニラで日本人数名フィリピン人数名が待ち合わせをして、遅れたのは日本人の僕だけだった。フィリピン人は全員オンタイムで合流していた。僕は約10分ほどの遅刻。謝りながら合流すると、 いやー大丈夫ですよここはフィリピン、フィリピンタイムですから(笑)、10分の遅れくらいフィリピン的にはオンタイムのようなものですよ。。。 と他の日本人のメンバーから労っていただいた。 もしこれが日本で起こっていたら、僕はきっと他の日本人メンバーからお小言の一つも食らっていただろ

          フィリピンタイムってなんだろう

          日本人商社員とのほろ苦い思い出

          はじめてミンダナオ島南部の街パガディアンシティ(Pagadian City)に行ったのは2003年か4年くらいだったと思う。。 パガディアンはサンボアンガ南部州(Zamboanga Del Sur)の州都で、サンボアンガ市を含む。サンボアンガ市の方が何かと有名だけれど、州都はパガディアンだ。 急な坂道が港(海)へと通じる地形で農業と漁業が盛ん、観光はフィリピン国内向けにはそこそこアピールしているみたいだが、パラワンやボラカイ、バギオなど海外でも知名度を獲得している地域とは比べ

          日本人商社員とのほろ苦い思い出

          フィリピン音楽と僕 11 - コラソン・アキノ没後13年

          2009年8月1日、フィリピン民主化の母として国民から慕われたコラソン・アキノ氏が亡くなった。今年は彼女の13年目のdeath anniversaryだ。数え年で考える日本だとちょっと違うのかもしれないけど、13は国や地域によって縁起の良い数字とされたり悪いとされたりする数字だ。フィリピンではどちらかといえば縁起の悪い数字として考えられている「13」年目にかつての政敵フェルディナンド・マルコスの息子が大統領の座に就いたのはなにかあると思う人もいるかもしれない。 葬儀の模様を

          フィリピン音楽と僕 11 - コラソン・アキノ没後13年

          フィリピン音楽と僕 10 - リスクテイキング

          フィリピンの音楽に出会って20年ほど、今でも最初の頃のドキドキ感を失わずにいられるのにはいろんな理由があるけど、やっぱり常に新しい試み、新しい形のパフォーマンスがハイレベルを維持しながら続々出てくることにある。そんな聴くものに新鮮な感動を与えてくれる作品が生み出され続ける背景には彼らのリスクテイキングに対する姿勢があると思う。 Ryan Cayabyabが語っていた黄金時代1970年代〜80年代 フィリピンポップスに功績を残した作曲家を中心に1970年代から80年代までの

          フィリピン音楽と僕 10 - リスクテイキング