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【実体験】理系が文系就職をして丸5年が経ってあの頃予想もしていなかった場所にいるけどけっこう元気にやっている話

今日はごくごく一部の大学生の方に向けて書いてみます。

「理系学生」×「文系就職を考えている」×「周りからいろいろ言われそうなくらい、いま学んでいる専攻と関係ない分野に興味が湧いてきてしまっている」

この3つの条件を満たしているそこのあなたに向けて、自分の実体験をもとにした所感を書いてみます。

あなたと書きましたが、この3条件が重なる方いるのかな?いたとしても珍しいですよね、きっと。

でもいつかの自分のような方が1人でもいるなら、きっとその方は誰にも見せずに悶々としているかもしれません。

力になれるかは分かりませんが、理系から文系就職をして5年間が経った私が書けることを書いてみようと思います。

私の就職活動

今回このテーマで書いてみようと思った理由は1つで「自分が学生時代にこういうのを読みたかった」という文章を自分で書いてみようと思ったからです。結局は「背中を押してくれる」文章に触れたかったし、「大丈夫」を言ってくれる人がいれば話は早かったなぁと今になって思います。

が、テーマがニッチするぎるのかマイノリティすぎるのか、なかなか同志に出会えなかったんですね…

カンタンに私の就職活動を振り返ると・・・
私は国立大の工学系学部に進学の後、環境系の大学院(修士)を卒業しました(そこから丸5年経ちました)。

インターンでは(誰からも文句の言われないのような)エネルギー系のバリバリ理系企業でお世話になったのですが、最終的には「本屋で働きたい!」という目標を就職活動の中心に据えて動きました。結果的に、運よく第1志望の企業に入社できて、東京で5年間、うち3年間は念願の本屋でも働かせていただきました。

今日、伝えたいことは結局1つ

当時を振り返ると、少なくとも私の周りでは、理系学生で「本屋で働きたい」と言い出す人は1人もいませんでした(笑)。研究室の教授や助教授からも白い目で見られたりしましたし、「勝手にしろ」と言われたことも。どう説明しても伝わらない虚しさを感じたことは百回くらいあったでしょうか。

これは超個人的な体験ですが、もしかしたら同じような方がちょっとは(ほんとにちょっとでも)いるのではないか、とふと思ったんです。

「○○の業界に興味を持ってしまったけど、専攻と全然関係ないもんなぁ」「親や教授や友人になんて言われるのだろう」「そもそも○○の知識ゼロなのにやっていけるのかな…?」

自分も同じように悶々としていた夜が何度もあります。

そのときに聞きたかった言葉は就活TIPSではなくて「俺でもなんとか楽しくやっているから、あなたもきっと大丈夫だよ」という根拠のない背中をおす言葉。だから今日はただそれを言いたいだけの回です(TIPSは他のサイトにいっぱい書いてあるのでそちらを参照してください)。

では、当時よく言われていたことに、5年間を振り返ってみて答えてみようと思います。

よく言われていたこと ~文系就職する理由を面接でちゃんと説明できないと不利になるのでは?~

あくまで私の場合ですが、まず最初に「直感」が来るんです。「こっちのほうに進んだ方がいい匂いがするぞ」くらいの動物的直感です。業界選びもそうでした。理系就職は自分に合っていないと感じたのもそうでした。

だから、その「直感」めいたものを面接でうまく説明できるだろうか?はけっこう大きな不安でした。こちらの論理の綻びをついてくるように質問をしてくる面接官ばかりなのではと身構えて、ここの理由づけはノートに何度も整理して面接をむかえていたことを思い出します。

でも結局はそんな意地悪な面接官とは出会いませんでした。

社会人を5年やって、いまなら少しわかりますが、社会人は「学生が本気で考え抜いたうえでいまの専攻を履修している」とは全く思っていません。成り行きも方針転換も、そりゃあ起こり得るよね、多くの人はそう思っているのではないでしょうか。

だから無理やり「理系の私がなぜ○○に興味を持ったのか」を語ろうとするのではなくて「私がなぜ○○に興味を持ったのか」をまっすぐ語ればいいと思います。

既定路線から外れるというエネルギーのかかる道へ進もうとしているので、そこにはきっと、言葉になっていない強い原体験があると思います。それはある意味では、大きな武器ですよ。

よく言われていたこと ~理系就職よりも給料が下がってしまうのでは?~

これも心配事のひとつとしてよく上がってきますね。

私もよく言われました。理系就職する同級生たちにも言われましたが「余計なお世話だ!いつかお前よりも稼いでやるから」と心の中で毒づいてました(いやな奴)。

事実として、理系の大学院卒だと初任給が文系卒よりも高いという企業は存在していますよね。私も文系就職するよりも理系就職した方が初任給も高かったと思います。でもこれは簡単に理系文系で区切れる話でもなくて、文系就職しても理系よりもいい給料で入社する方もいるでしょう。

私に関して言うとこういうマインドでした。

「自分が夢中になれない領域に行くよりも、(たとえ最初の給料が低くても)夢中になれる領域に行けば、所得は努力次第でどうにでもなる」

どうにでもなる、というのは偉そうですが…価値を生み出せる人間になれば所得もそれに付いてくる、というのは割と本気で信じています(別に必要以上に大金持ちになりたい欲求はありませんが)。だから自分が夢中になれる環境に自分を置くことが遠回りに見えて近道なはすだ。これを無根拠に信じて飛び込んだのが5年前です。言えるのは、全く後悔していません。

よく言われていたこと ~大学で学んだスキルが役に立たないのでは?~

これは自分自身にもよく問いかけていたように思います。

税金を使って学ばせてもらったことと違う道に行くことの罪悪感もありましたし、そもそも自分の持っている武器が通用するのか?という不安もありました。

前者に対して私が思うことは、理系で学んだからといって興味の持てない理系就職をするくらいなら、文系就職でも夢中になれる領域に進んだ方が最終的には社会に恩返しできるのでは?ということです。

後者に関しては、あくまで私の場合ですが、大学で身につけた2つのスキルが役に立ったんじゃないなかなーと思います。

1つは「勉強する力」。社会人になって勉強を続けている人は意外と少ないです。営業にしても、マーケティングにしても、人事にしても、新たなチャレンジには勉強がセットでくっついてきます。このときに、どういう順番で学んでいけば自分の頭にすっとはいってくるかを掴む力は大学時代に養われたように思います。「勉強する力」はある種の御守りのようなものです。これがあればどんな新領域にも臆せず向かっていけます。

2つめはベタですが「論理的に整理する力」です。論文を3本書きましたがけっこう鍛えられていたんだなと後になって分かりました。もちろん仕事の現場では「論理」だけでは片手落ちだと感じる場面が多いですが、「論理」があれば前に進める場面も多いです。「論理」は「意思」と手をつなげば、けっこう役に立ちます。

何が言いたいかというと、いまその環境で身につけられるスキルは、いつかの自分を救うかもしれなれないので、迷わずぶつかってみましょうということですかね。

「理系出身ということを忘れていた」

最後に1つだけ本音を。この5年間を振り返ると、社会という海に出てからは「自分が理系出身」ということを思い出す暇もありませんでした。私の通ってきた道においていえば、あの人は文系、この人は理系、などは極端に言えば関係のない場所でした。

だから悩める学生に対して、暴力的な言い方をすれば「その悩みは小さな悩みだ。大丈夫!」の一言で済ませてしまいそうになりますが、でも当時の自分にはけっこう大きな悩みだったんですね。

だから、5年前の自分に伝えるようにちょっと長めの文章を書いてみました。

でも伝えたいのは「大丈夫」ということと、「勝手にしろ」と言われて同級生とは全く異なるキャリアを進んでいる私ですがけっこう元気にやっていますという2つです。就活TIPS的なことではなくてすみません。。

5月からは本屋を退職して、夫婦で移住して栃木で農家の仕事をしています。本屋と農家は全く異なる領域ですが、私の中では1本の線でつながっています。振り返るとこの道のりは必然のようにも感じます。

同じように悩んでいる人がもしいるのなら。

手探りで書いてきましたが、最後に私が就活の時に何度もこころの中で唱えたボブ・ディランの言葉を。

「心のままにいけ。最後はきっと、うまくいく」

応援しています。

21/06/07

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