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『おばけ探知機』

  ネット通販で『おばけ探知機』というものが売っていた。
『緑に光ると霊はいない』
『青く光ると霊はいる』
『赤く光った場合は“悪霊”がいる』
 そして『悪霊退散』の機能までついているとのことだ。

「あはは!何それ!清め塩よりお手軽じゃん!」
 友人が電話先で笑い声をあげる。
「ははは!本当それ!でも面白そうで買ってみたんだよね」
「は?買ったの?まじ?」
「動画配信で霊感のあるっていう配信者が検証していたからさ、ちょっと気になってね」
「ああ、その人知っている」
「あの配信者、確かに霊が見えているんだよね。だから動画の検証は当たってるんだよ。だから面白そうじゃん?」
「確かにそうかも。じゃあ本当にそれで霊を探知できるんだ。画期的だね」
「……いや、これはインチキだと思う」
「え、なんで?」

「だって、私に反応しないもん」
「ああ。そりゃ、インチキだわ」

 そう言いながら、私は足をふわりと宙へ浮かばせた。



 …………。

「っていうのはどうでしょう」
「うーん、ありがちなオチじゃない?」
「やっぱり、そうですかね……。一応これが本物なんですけど」
「え、何それ。本当にあるの?」
「はい」
「うわっ!何故に買おうと思った?」
「いえ、僕の実家の母が米を送ってくれたんですけど、その中に入っていました」
「なぜ米と一緒に……怖い……」
「ほんとに『悪霊退散』ってボタンがあるんですよ……」
「俺に向けるな。俺は悪霊扱いか」


 カチッ。

「ウギャアアアアアアアア!!」
「えええええええええええ?!」
 シュ〜……。
「きっ消えた?!嘘……だろ……?幽霊だったってことか……?!そんな……」
 僕は震えながら、探知機を確認するため、それを手に取りーー。

  カチッ。

 「ウギャアアアアアアアア!!」

 ぼ、僕の体が、消えてゆく……。
 そ、そんな……。
 僕も、死んでいたなんて……。
 …………。



「よぉし!効果ありそうだぞ」
「まさか、幽霊同士が使ってくれるとは。宅配物と思わせて、忍ばせておいた甲斐がありましたね!」
「今の様子をCMにすればバカ売れ間違いないな!」
「ところでこれどうやって作ったんですか?ボタン一個で除霊できるってーー」


 カチッ。

「ウギャアアアアアアアア!!」
「えええええええええええ?!」

おしまい。

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