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奇妙な味の短編

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奇妙な味の短編を集めてしまった。
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#SF

時がなければ

「時間が怖くなりました」
「なにもかもが時間の通りに流されて殺されていきます」
「私たちはみな一緒の犠牲者だと知りました」
「時間の対義語は空間であるとも知りました」
「知ってしまったので」

そう言った彼女は空間に逃げ込んだ。

時の流れはなくなり彼女は静止したまま死となんら変わりのない物体と化した。