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6月10日 路面電車復活!?そのビジネスモデルは?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→人口密度が下がることで行政サービスなどの提供コストが上がる、医療などへのアクセスが悪くなるなどが課題とされてきたが、一方でコロナ禍は密を避けた街づくりを求めるところもある。今後、街づくりはどのようになっていくだろうか?


1995年(平成7年)のこの日に、全国の路面電車を持つ自治体が広島市で開催した「第2回路面電車サミット」で制定した「路面電車の日」です。
日付は「ろ(6)でん(10)」(路電)と読む語呂合わせから。

路面電車。
大正から昭和初期にかけて大都市を中心に大活躍した路面電車。高度成長期に自動車の普及が進むと渋滞の原因として1970年代に廃止されることが多くなりました。

東京の例で恐縮ですが、最盛期の路線図がこちら(出典:Tram Walker)。


何がなんだかわからないぐらいびっしりと路線が広がっていたことが分かります。

国土交通省の「日本の路面電車の現状」によると、
昭和初期には
☑️ 路線長:1,479km
☑️ 都市数:65都市
☑️ 事業者数:82事業者
もの隆盛を誇った路面電車は、

平成25年には
☑️ 路線長:205km
☑️ 都市数:17都市
☑️ 事業者数:20事業者
にまで減少しています(下図)。

とはいえ、思ったより残っているんですね。どこ?という方のために平成25年時点ではありますが同資料からこちらをご紹介します。


このまま衰退していくかに思えた路面電車ですが、時代とともに見直しの動きがあり、平成18年には富山に日本初のLRTが新規に開業しました。現在では、東京や宇都宮などでも導入が検討されています。

LRTとは、Light Rail Transitの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システムのことです。近年、道路交通を補完し、人と環境にやさしい公共交通として再評価されています。

既存の公共交通には様々な種類があります。国土交通省「LRT導入の背景と必要性」にマッピングがありましたのでご紹介します。


つまり、地下鉄、新交通システムは、輸送力、速度ともに大きく、一方で、路線バス、路面電車になるとかなり小さくなり、ギャップが存在する、そこにLRTが当てはまる、ということです。

路面電車とLRTの違いですが、路面電車は1両で運行するのに対し、LRTは複数の車両を連結して運行ができ輸送力が路面電車より大きいことが違いとなります。

<路面電車>

<LRT>


こうしたLRTの特徴を生かし、コンパクトなまちづくりを目指した富山ライトレールについての事例が興味深かったのでご紹介します。

まず、課題として、市街地の低密度化が挙げられています。
(出典:経済産業省「ライトレール導入によるコンパクトなまちづくり」


要するに、戸建志向が強い結果、地価の安い郊外へと市街地が広がった結果、低密度な市街地が広がった、ということです。

そのため以下のような課題を抱えることになりました。

☑️ 車を自由に使えない市民にとって極めて生活しづらい街
☑️ 割高な都市管理の行政コスト
☑️ 中心市街地の空洞化により都市全体の活力低下と魅力の喪失
→今後の人口の減少によりより悪化していく可能性が高い


その解決策として、従来言われている、中心部一箇所へ集中させるコンパクトシティではなく、「お団子と串」の都市構造を打ち出しました。


「串」がLRT
というわけです。

結果、交通弱者であった車の運転できない高齢者の移動が活発化、加えてLRTの駅を中心とした「団子」内に人が集まって住むようになったことがデータで分かっています(下図)。

この富山の成功を受けて、各地で計画が持ち上がっていますが、2022年開業予定なのが、芳賀・宇都宮LRTです(下図)。

ちょっと開業が遅れているようですが…


また、CO2削減でも自動車やバスからLRTへとシフトが起これば効果がある点も注目されています。



最後までお読みいただきありがとうございます。

一昨年7月からこのような投稿をしてきました。
以下のマガジンにまとめてありますのでよろしければ覗いてみてください。




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