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#457 「なぜを5回」がうまくいかない理由。

「なぜを5回」。広く普及するもののうまく使えない、という話を聞くのでその理由かも、と思ったことをメモ。


1、「なぜを5回」のそもそも。

「なぜを5回」は「トヨタ生産方式」が始まりとされています。事例として挙げられているのが工場で機械が動かなくなった時に「なぜを5回」を行うことで真の原因に辿り着いた、という以下のものです。

① なぜ機械が止まったのか?
 →オーバーロードが掛かってヒューズがきれたからだ
② なぜオーバーロードが掛かったか?
 →軸受け部の潤滑が十分でないからだ
③ なぜ十分に潤滑しないのか?
 →潤滑ポンプが十分組み上げていないからだ
④ なぜ十分組み上げないのか?
 →ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ
⑤ なぜ摩耗したのか?
 → ろ過器が付いていないので切粉が入ったからだ

このnoteを読まれる方であれば、「なぜを5回」を解説したものの中でこのような話は目にされていたと思います。

ここで何を思われますか?

☑️ なるほど、1回の「なぜ」では真の原因に辿りつかず、また同じ問題が起こるかもしれないんだな。やはり「なぜを5回」は大事だな。

というのが、「なぜを5回」を紹介する場合に感じてほしいことだと思います。

私は天邪鬼なので、

☑️ 5回でちょうど真因にたどり着くのかな?
☑️ なぜ、ろか器が付いてないのかな?

などと思ってしまうのですが、それは置いておいたとして、自分で実際に使ってみて、強く感じたことがあります。

☑️ 工場のような因果関係・依存関係がクリアな業務(業務プロセスがはっきりとしている業務)でないと、ただの主観の押し付け合いになる

ということです。


2、オフィス業務で「なぜを5回」を使ってみると?

オフィス業務(というか内勤業務?)で「なぜを5回」を使おうとしてよくある失敗例が、2回目とか3回目ぐらいの「なぜ」の答えが、「業務に対してリソースが足りない」とか、「担当者の注意力不足・経験不足」、「育成の時間がない」といった答えが出てきてそこでスタックしてしまう、ということです。

もちろん、リードが悪い、という話もあるでしょうが、「真因を探る」というコンセプト自体、「少なくとも自分は悪くない」という深層心理が働くためもあって目的とは裏腹に「真因」には近づけない手法、とも言えます。

これが、工場であれば、因果関係は明らかですから、大きな問題にはならないのでしょう。


3、まずやるべきは、「業務プロセス」の共通認識化

工場では「生産プロセス」にどこか問題がないか?を「なぜを5回」を通じて皆で考えていくわけです。前提として「生産プロセス」については共通認識ができています。

ところが、いわゆる内勤業務の「業務プロセス」は詳しい部分は属人化していることが多く、共通認識はありません。
加えて、業務に詳しい担当者が、当事者として「業務プロセス」に含まれていて、当然責任回避的になります。

結果、「真因」にたどり着くことなく、チェックを2重化するなどの対処療法にとどまることになります。

これが、「なぜを5回」がうまくいかない理由、です。

解決策としては、まず、「業務プロセス」を明らかにし、共通認識を持てる状態に持っていくことが必要です。


4、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

うまく使われている方も多くいる中で、うまく使えなかったので理由(言い訳)を考えてみました、という内容でした。

なんでもそうなのですが、大事なのは結果、だと思っていますし、特に、こうした、一歩間違うと、チームメンバーの時間を奪って、残ったのは対処療法と悪くなった空気、というのは耐えられません。

この、業務プロセスの共通認識化、ですが、問題が起こったときにやるのはお勧めしません。やはり粗探しされるのでは?と思っていると差し障りのないことしか出てこなくなります。

ですら、普段から、お互いの業務を知るため、としてやっておくことが重要ですし、上司としても、自分のチームが抱える業務のリスク評価をきちんとできる前提として、どのような業務プロセスが回っているのかを把握すべきです。

「知ってるよ」という上司多いのですが、そういう上司に限って「なぜあの仕事にあれだけ時間かけてるか分からない」と言い、部下からは「あの上司は何も分かっていない」となりがちです…

まずはお互いの業務を知る、というところから始めると、お互いに相談できるようになったり、助け合うようになったり、勝手に改善案が出てきたり、と期待しない効果も出てきますのでおススメです。


最後までお読みいただきありがとうございます。

個人的なメモですが、どこか参考になるところがあれば幸いです。

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