#550 課題と距離を置く、ズルい質問のチカラ
#仕事での気づき 、というお題を見て、むかーし学んだ「質問力」の一つをメモ。
1、いろいろある「質問力」
質問の重要性はあちこちで言われています。
多いのはファシリテーション的と言いますか、コーチング的と言いますが、そういった、相手に思考を促し、より良い道筋を、自身で決めた、と感じて行動に移してもらう、という面かと思います。
次に多いのは、質問を繰り返すことで真因を突き止め、症状ではなく根本原因を解決する、という、「なぜを5回」的なものです。
2、ちょっと昔話
過去、営業部門にいた際、研修の企画や講師を担当し、社内外ののべ数千人に対して研修を提供したことがあります。
その多くのコンテンツでは「質問力」の重要性を伝える部分があったのですが、主に顧客に対して気づきを与えるためのスキルとして質問を位置付けていました。
いわゆる、質問を通じて相手に潜在化しているニーズを顕在化させ、気づいてもらい購買意欲を持ってもらう、というよくあるパターンです。
ちょっと毛並みの違うコンテンツとして、「課題から距離を置く(課題に巻き込まれない)ための質問力」というものがありました。
これは、当時私が所属していた営業部門が、BtoBtoCのビジネスを行っており、BtoBの場面で、代理店がエンドユーザーに販売するための指導をする当社の営業担当者向けに設計したものです。
具体的な案件を出してもらってなんぼ、その案件を実際に当社商品で販売してもらってなんぼ、というところがありますので、特に最初は「案件相談」という形で、こういうふうに話を進めると売れますよ、というようなことをするのですが、その担当者向けのトレーニングです。
3、ちょっとズルい質問のチカラ
このトレーニングを設計するにあたっては、うまくいく営業といかない営業とにそれぞれ同行させてもらいました。両者の違いの最大のポイントは、「案件相談でこちらが正解を話さない」ということでした。
うまくいかない営業は、とにかくこうすれば成約する、という話に終始していました。
うまくいく営業は、こうすれば、というのは、ほぼなく、「質問」ばかりするのです。
何を質問しているか、というと、その案件のエンドユーザーがどんな顧客なのか、というのをとにかく質問するのです。
質問を繰り返していくと、「わかりません」という答えが多くなってきます。
となると、「この案件が成約しないとしたら、それは顧客のことを分かっていない、自分のせいだ」と代理店の担当者は感じるのです。
私にとってこれは大発見でした。
鋭いトークも神技のような現状分析も不要なのです。しかも、そのやり方はただただ質問していくだけ、です。
私の研修では、その最後に「ですから、何を言うか、ではなく、何を質問するか、を考えていきましょう」という決め台詞を言うように、と指導していました。
これにより、課題から距離を置けるのに、成約してもしなくても、当社の営業にまた依頼が来る、つまり、競合よりも先に案件の初期の段階から当社に声がかかるようになった、のです。
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
質問のチカラには本当に色々なものがあり、今回は、課題に距離は置けるのに成果は出せる、というちょっとズルい質問力、というメモでした。
当事者として巻き込まれてしまうと、成功はともかく、失敗に関してもその責めを負うことになりますが、それが回避できる上に、相手に「この人に相談するといい」と思ってもらえる、という、ちょっとズルい質問のチカラだと思います。
これは、マネージャーとしても活用できるかな、と考えますし、他にもあるかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。例によって個人的な経験に基づくメモでしたが、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。