【ヒーロー小説】ブロイラーマン
ブロイラーマンのnote版まとめです。
ブロイラーマンの短編集です。すべて独立した読み切りとなっているので本編を読んでいなくても問題ありません。
キャラクター名鑑など。
創作論などについて。
主に漫画・小説などのレビューをまとめてます。
小膳です。 何か続きがありそうな終わり方をしていますが、ブロイラーマンはこれで終わりです。打ち切りみたいな終わり方になっちゃったのは単に私の力不足です。ごめ…
1/1 天外市。ある日の昼下がり。 日与は明来と一緒に自宅アパートを出た。新しく借りた家だ。今日もよく晴れていて、少し暑いくらいだった。 大きなダッフルバッグ…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 6/6 エヴァーフレイムは自分の胸を見た。新たに得た血氣で傷は塞がっている。だが何かがおかしかった。血氣が体に満ちない。吸収し切…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 5/6「ぐおお!?」 勝機! ブロイラーマンが相手をラッシュに飲み込もうとしたとき、エヴァーフレイムは剣を消した手を彼に向けた…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 4/6* * * 稲日ははっと顔を上げた。 ベッドに腰かけ、ベースを抱いていた。あたりには自分で書いた楽譜や歌詞のメモが散乱…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 3/6* * * 殴られ放題だったエヴァーフレイムが不意に手を持ち上げた。 撫でるようにそっとした手つきだ。その瞬間、ブロイ…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 2/6 街角でアンデッドワーカーが見張っていたが、血族三人の敵ではない。 軽く蹴散らし、高層ビルまでやってきた。町が廃墟化した…
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6> 1/6 黄泉峠、比良坂市街地跡。 「ブロ!」 バス停のベンチで待っていたブロイラーマンは、リップショットの声に立ち上がった。 …
<1/4 2/4 3/4 4/4> 4/4「ぐおおおお!」 押されながらもヒッチコックは必殺の水平斬りチョップを放つ。 竜骨はそれをかわして相手の腕を掴み、地面へと引き倒…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 3/4「大丈夫?」 竜骨の気遣わしげな眼に、リップショットは無理に微笑んだ。 「平気。だけど……」 ヒッチコックと自分たちでは年季が違…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 2/4 ヒッチコックは身構えた。だがリップショットが砲口を向けたのは空中だった。 引き金を引く! ドォォォン! すさまじい反動にリップ…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 1/4 銃を持つ男の手に幼い少女がしがみついた。 「殺しちゃダメ!」 満身創痍の男は少女を見下ろした。少女は男を見上げた。 男の銃口は…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 4/4* * * 疵女は眼を覚ました。 時間は深夜、廃墟の村の広場。少年少女の姿はなく、信者の死体だけがその場に残されている。 「ブロ…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 3/4 スケープゴートに致命傷を与えるごとに信者の体が弾ける。ひざまずいてスケープゴートに祈りを捧げていた信者の何人かは恐れをなし、腰を浮…
<1/4 2/4 3/4 4/4> 2/4 徐々にスケープゴートの攻撃がブロイラーマンを捕らえ始めた。純粋な戦闘能力ではほかの古参に劣るスケープゴートとは言え、ブロイラーマン…
短編「痛みを紡ぐ女」も合わせてどうぞ。 <1/4 2/4 3/4 4/4> 1/4 ブロイラーマンは樹海に没した道路を走っていた。 汚染霧雨が降りしきる、月も星もない天外…
2021年7月29日 17:01
小膳です。 何か続きがありそうな終わり方をしていますが、ブロイラーマンはこれで終わりです。打ち切りみたいな終わり方になっちゃったのは単に私の力不足です。ごめんなさい! ブロイラーマンはもともとニンジャスレイヤーの同人誌として書いていたものでした(ニンジャスレイヤーを知らない人はぐぐってみてください)。 昼は負け組のOL、夜は悪人(というか主人公が独断と偏見で悪人と勝手に決め付けた人)を
1/1 天外市。ある日の昼下がり。 日与は明来と一緒に自宅アパートを出た。新しく借りた家だ。今日もよく晴れていて、少し暑いくらいだった。 大きなダッフルバッグを担いだ日与は頭を掻いた。「驚いただろ? 俺が人間じゃなくなったって知ったときは」 明来は真顔で答えた。「いいや。お前が女連れて来たときほどじゃねえ」「何だよそりゃ?」 兄弟は笑い合い、握手して抱き合った。 明
2021年7月28日 16:41
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>6/6 エヴァーフレイムは自分の胸を見た。新たに得た血氣で傷は塞がっている。だが何かがおかしかった。血氣が体に満ちない。吸収し切れず漏れ出てしまっている。 ブロイラーマンはうつ伏せに倒れたまま、手の中にある赤黒いものをエヴァーフレイムに見せつけた。それはエヴァーフレイムの心臓だ。血の源だ。残留血氣でまだ動いている。 エヴァーフレイムは自
2021年7月27日 16:59
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>5/6「ぐおお!?」 勝機! ブロイラーマンが相手をラッシュに飲み込もうとしたとき、エヴァーフレイムは剣を消した手を彼に向けた。血氣が集中し、バレーボール大の血氣弾を放つ。(しまった!?) ドォン! 血氣弾が爆発し、ブロイラーマンは木の葉のように吹っ飛んだ。灰の中を転がり、球体の斜面で止まる。 その胴体に向かってエヴァーフレイ
2021年7月26日 16:57
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>4/6* * * 稲日ははっと顔を上げた。 ベッドに腰かけ、ベースを抱いていた。あたりには自分で書いた楽譜や歌詞のメモが散乱している。 ベースの表面にはラミネート加工された花びらが貼られている。日与からもらった花束の一部を残しておきたくて、楽器屋に無理を言って頼んだ。稲日はそれを指で撫でた。 今、日与はどこで何をしているのだろう
2021年7月25日 15:24
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>3/6* * * 殴られ放題だったエヴァーフレイムが不意に手を持ち上げた。 撫でるようにそっとした手つきだ。その瞬間、ブロイラーマンは背筋が凍りつくような戦慄を感じ、その場から飛び退いて離れた。 エヴァーフレイムの掌がカッと赤い光を放った。その指先が触れたブロイラーマンのネクタイ先端が、白い灰になってぼろぼろと崩れた。瞬間的に掌に血
2021年7月24日 18:25
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>2/6 街角でアンデッドワーカーが見張っていたが、血族三人の敵ではない。 軽く蹴散らし、高層ビルまでやってきた。町が廃墟化した後に作られたものらしく、真新しい建物だ。太陽が放つ熱波めいて強大な血氣を感じる。この上に鳳上がいるのだ。 三人はホールに入った。雑務用のアンデッドワーカーはいたが、警備はおらず素通りだった。普通ならここにたどり着
2021年7月23日 16:47
<1/6 2/6 3/6 4/6 5/6 6/6>1/6 黄泉峠、比良坂市街地跡。「ブロ!」 バス停のベンチで待っていたブロイラーマンは、リップショットの声に立ち上がった。「リップ」 樹海に没した道路の中からリップショットと竜骨が現れた。どちらもボロボロだ。リップショットは口元のマスクに指を引っかけて下ろし、素顔を見せた。「良かった! 無事だったんだね」「ああ。スケープ
2021年7月22日 16:54
<1/4 2/4 3/4 4/4>4/4「ぐおおおお!」 押されながらもヒッチコックは必殺の水平斬りチョップを放つ。 竜骨はそれをかわして相手の腕を掴み、地面へと引き倒した。すかさずそのみぞおちに右腕で瓦割りパンチを入れた。 ドゴォ!「「セエエエエエエエエアアアアアア!」」 ドゴドゴドゴドゴ! さらにパンチを連打! 白骨の右腕が刃に変形する。二人はその切っ先をヒッチコ
2021年7月21日 17:25
<1/4 2/4 3/4 4/4>3/4「大丈夫?」 竜骨の気遣わしげな眼に、リップショットは無理に微笑んだ。「平気。だけど……」 ヒッチコックと自分たちでは年季が違う。岩壁を爪で掻いて崩そうとしているような絶望感だった。 勝てない――その言葉が脳裏をよぎりかけて、リップショットは首を振った。ブロイラーマンの信頼を裏切るわけにはいかない! 仲間のためにも、市《まち》のためにも、
2021年7月20日 17:02
<1/4 2/4 3/4 4/4>2/4 ヒッチコックは身構えた。だがリップショットが砲口を向けたのは空中だった。 引き金を引く! ドォォォン! すさまじい反動にリップショットの体は数センチ後ろに滑った。 五百ミリリットルのペットボトルほどもある砲弾は発射と同時に散弾を数千発バラまいた。そのすべてがリップショット自ら聖骨の盾を施した対血氣仕様だ。 ビシビシビシビシ! 散弾が
2021年7月19日 16:54
<1/4 2/4 3/4 4/4>1/4 銃を持つ男の手に幼い少女がしがみついた。「殺しちゃダメ!」 満身創痍の男は少女を見下ろした。少女は男を見上げた。 男の銃口は目の前にいる、背広姿の老人に向けられている。老人は恐怖に目を見開いていた。 とある地下施設にある、巨大な金庫室の前。金庫室の扉は開かれており、中には大量の金塊が見える。 老人の部下のヤクザは死体となってあちこち
2021年7月18日 16:18
<1/4 2/4 3/4 4/4>4/4* * * 疵女は眼を覚ました。 時間は深夜、廃墟の村の広場。少年少女の姿はなく、信者の死体だけがその場に残されている。「ブロイラーマン?」 彼を呼んだが、その姿はなかった。「永久さん?」 通信機も繋がらない。彼女は首を傾げた。あれからどのくらい時間が経ったのか、なぜ自分がまだ生きているのか、何もわからない。 頭の潰れたスケー
2021年7月17日 16:12
<1/4 2/4 3/4 4/4>3/4 スケープゴートに致命傷を与えるごとに信者の体が弾ける。ひざまずいてスケープゴートに祈りを捧げていた信者の何人かは恐れをなし、腰を浮かせた。「ああ……!」 別の信者が手斧や草刈鎌を掲げて威圧する。「恐れるでない! スケープゴート様が我らの罪を請け負って下さるのだぞ!」 ドゴォ! また別の信者の顔面が潰れ、死んだ。 少年少女に限っては
2021年7月16日 17:28
<1/4 2/4 3/4 4/4>2/4 徐々にスケープゴートの攻撃がブロイラーマンを捕らえ始めた。純粋な戦闘能力ではほかの古参に劣るスケープゴートとは言え、ブロイラーマンは三連戦であり、こちらからは手が出せない。 ボクシングの試合なら戦意喪失で敗退するところだ。だがブロイラーマンはスケープゴートを攻撃しない。攻撃できない。 スケープゴートは眉根を寄せた。「闇撫の魔女は肉体の限界と
2021年7月15日 16:52
短編「痛みを紡ぐ女」も合わせてどうぞ。<1/4 2/4 3/4 4/4>1/4 ブロイラーマンは樹海に没した道路を走っていた。 汚染霧雨が降りしきる、月も星もない天外の夜。加えて鬱蒼としたジャングルの中だが血族の夜目は道を見失うことはない。 木々の合間に光が見え、ブロイラーマンは足を止めた。疵女に連絡を入れると、返事が返って来た。「こっちはアンデッドワーカーにちょっと手間取