【アパレル人の本心⑥】ファッションにおける同調性と協調性
今日は、お世話になっている人がちょっと相談があるからと、福岡の天神まで足を運びました。結構深刻な内容だったので、辛い気持ちになってしまいましたが。
さて、仕事柄、街中の人間観察というかファッション観察はクセになっています。最高気温が30℃を超えると誰しもが一気に夏休みスタイルとなり、華やかな街中もしまりがない雑踏な印象になるのは私だけでしょうか。
毎年夏になると、いつもおじさんである私は思ってしまいます。
なんでみんな白いTシャツと黒いスキニーを着てスニーカーはいて街を歩いているんだ。
色は別としてみんなTシャツ。20代はほとんどみんな。とにかくTシャツ。そしてスニーカー。
有名なエスニックジョーク。
沈みそうになっている客船で海に飛び込んでもらうためにはどんな言葉をかければよいか。
アメリカ人に対して
「飛び込めばヒーローになれますよ」
ロシア人に対して
「海にウォッカのビンが流れていますよ」
イタリア人に対して
「海で美女が泳いでいますよ」
フランス人に対して
「決して海には飛び込まないで下さい」
イギリス人に対して
「紳士はこういう時に海に飛び込むものです」
ドイツ人に対して
「規則ですので海に飛び込んでください」
中国人に対して
「おいしい食材(魚)が泳いでますよ」
日本人に対して
「みなさんはもう飛び込みましたよ」
まさに国民性を表しています。
自分自身の判断ではなく他人の判断に委ねる性格は誰しもが持ち合わせているのではないでしょうか。
日本人は他人の判断に同調する国民であること、昔も今もまったく変わりません。学校教育が協調性というものを履き違えて同調性を子どもに求めるから他人のことを気にせず、自分考えて自分で行動することがどんどん苦手になっていつの間にか他人の意見と自分の意見の境目が分からなくなってしまうような気がします。
余談ですが、協調性というのは、それぞれの個性や違った意見を尊重しながら助け合うこと。同調性はひとつの意見に合わせることです。似ているようでまったく違います。学校で教えているのは、協調性を大事にした共生でなく同調性を大事にした強制の側面が多々あるのではないでしょうか。
ファッションにおいてもその国民性が表れています。夏のファッションは特に顕著。ほとんど同じような格好の3人組や4人組をよく目にします。かぶりまくりです。冷静になるとそこに違和感を感じるべきだと思うのですが。
同じカジュアルでもひとつのトレンドに乗っかり過ぎている人は、同調性が強いとみていいでしょう。みんながいいと評価しているブランドに群がるのもその傾向のひとつだと思います。個人的には若年層のファッションの多様性がファッション文化を活性化することになると思いますが、現実はまったく違った方向になっています。今はローコスト戦略をとるブランドが多いので、クオリティーなどのアピールは少ない状況です。よってもしかしたら素材や仕立の知識レベルは年々低下しているかもしれません。
個人的にトラディショナルなもの、クラシックなものについてお話することが多いのは、そんな理由からでもあります。まったく影響力はありませんが、あまりにも偏重しすぎる状況を是正する必要があると痛感しているからこそ洋服のクオリティーなどの専門的な内容の話が多いのです。本当はモードなものも、アバンギャルドなデザインのものも好きなのですがそちらの情報はネットに溢れています。
「モテるファッション」なんて承認欲求のなにものでもないと言うのが私の意見です。福山雅治でもないので、ファッションを変えただけで解決することなんてありません。あえて言うならウケを狙うなんて下心は捨てて、身だしなみとしてTPOにあったものを選ぶことでしょうか。
女性にウケようとするものを選んでいくことと、自分自身のスタイルを探求することとはまったく違います。ファッションにおいては色々な考えやスタイルがあります。自分自身にあったものを探していく作業は面倒かもしれませんが、その分とても楽しいものです。
ネットで評価されているユニクロやラグジュアリーブランド以外にも多くの魅力的なブランドやスタイルがあります。その中には隠れた名品がいっぱいあります。違った視点でもファッションを楽しむことができると思います。
さあ宝探しの旅に出てみましょう。
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