秋葉純次郎

海外で諸外国の方たちと国際契約のプロジェクトに多数関わりました。施工管理、工程管理、原…

秋葉純次郎

海外で諸外国の方たちと国際契約のプロジェクトに多数関わりました。施工管理、工程管理、原価管理、安全・環境・品質、契約管理、契約交渉、国際入札図書作成などのプロジェクトマネージメントと組織運営が専門の技術士(建設部門)です。

最近の記事

プロジェクトマネジメント2(Project Management 2)

日本企業がUSスチールを買収する計画(プロジェクト)が進んでいます。USスチールといえばアメリカの基幹産業を代表する会社の一つです。 このプロジェクトの課題は、外国企業がアメリカの会社を買収することに法的な問題はないということですが、日本企業が基幹産業の一つを買収することに伴うネガティブな国民感情をどのようにおさえて賛成側にまわってもらうかです。二つ目の課題は、買収したあとの会社のマネジメントをどのようにするかです。 日本の会社が外国の企業を買収した例はたくさんありますが、買

    • 施設環境(Working Facilities)

       コロナ禍で行動に制限があったときは過ぎて、今年は去年よりもっと通常の生活ができるようになっています。くわえて三十数年ぶりという円安によって、外国からの旅行者がコロナ禍前の水準かそれ以上に増えています。毎月300万人を越える外国人が日本を訪れているのです。インバウンドの人が有名な観光地を訪れるのは当然ですが、日本人でもあまり知らないような地方の伝統文化を経験するために訪れる外国人も少なくありません。 日本中の観光地で観光客のマナー違反がひん発して、オーバーツーリズムが問題にな

      • 地方の衰退1(Declining Local Society 1)

        日本に元気がなくなってきた原因の一つに人口の減少があります。2011年から13年連続で人口が減少しているのは、1970年代から出生数が減少し続けていることが影響しています。子供の数が増えないのは、社会が子供を育てるという環境の整備が十分にされてこなかったからです。 10年以上地方創生政策が続いていますが、東京と沖縄以外で人口の減少は止まっていません。全体の人口が減少している以上に、地方の人口は減少しています。 地方の人口が減少して衰退するのは、道路などのハードインフラが十分に

        • 明日の地方東京(Tokyo, Tomorrow)

           英国の不動産会社が発表した2023年の「危機を乗り越え成長する都市ランキング」で東京は2位になったそうです。ランキングは「経済力」「知識と技術」「環境・社会・企業統治(ESG)」「不動産」の4分野を分析した結果です。 東京の「経済力」はトップで「不動産」は4位。「知識と技術」と「ESG」は10位以下と発表されています。 「経済力」が1位と評価されたのは、東京の年間予算は一部の先進国よりも多いので、他の大都市と比べても経済力はあるといえます。 「不動産」部門の評価が高いのは、

        プロジェクトマネジメント2(Project Management 2)

          産業の衰退2(Declining Industry 2)

          日本のGDPが2024年度の最初の四半期はマイナスだったことが報道されました。GDPの半分を占める個人の消費は、商品の値上げが続いて伸び悩んでいますが、主なマイナス要因は、製造業が不正発覚によって生産を中止せざるを得なかったことによる影響です。 次々と明らかになってくる製造業の不正行為は、10年以上にわたって行われてきた試験データの改ざんやねつ造と型式認証取得のための書類偽造です。 謝罪会見で「提出書類は国の基準要求に則っていませんでしたが、社内の品質管理基準はより厳しく設定

          産業の衰退2(Declining Industry 2)

          プロジェクトマネジメント1(Project Management 1)

          2025大阪・関西万博の準備状況はあまり芳しくないようです。外国パビリオンの準備が順調に進んでいないともいわれています。2020東京オリンピック組織委員会の資金面での運営はあまり誇れるようなものではありませんでした。リニア中央新幹線の開業は2027年から2037年以降に延期されました。北海道新幹線の建設も計画通りに進んでいないようです。 どのプロジェクトもモノつくりはできるようですが、計画通りに進んでいるプロジェクトは多くありません。 プロジェクトが計画通りに進まない理由が二

          プロジェクトマネジメント1(Project Management 1)

          産業の衰退1(Declining Industry 1)

          日本のGDPは昨年(2023年)にドイツに抜かれて4位になりました。今年(2024年)中にはインドに抜かれて5位になるようです。 日本の産業が衰退してきた大きな要因の一つは、次々と明らかになる製造業の不正行為にあるようです。製造業が10年以上の長きにわたって行ってきた不正行為は、試験データの改ざんやねつ造した書類による認証の取得です。 産業の衰退とともに日本の「後れ」が一般に実感されるようになってきて、先進国脱落の危機が感じられるようになりました。 製造業の「モノつくり」に携

          産業の衰退1(Declining Industry 1)

          課題解決へのヒント1(Points of Solution 1)

          日本経済は過去30数年間にわたって成長しなかったうえに、1990年頃以来の円安で、物価は上がるけれども賃金は上がらない社会となりました。アベノミクスが残した負の財産を背負って、どのように進めばいいのか、社会運営の責任者たちは踊り場で立ちすくんでいます。 国権の最高機関である国会(憲法第41条)をないがしろにするような運営を長く続けた裏では、みんなで領収書のいらないお金作りに励んでいたのです。 連合国軍が日本を占領していた時のマッカーサー最高司令官が聞いたら“21世紀の日本人は

          課題解決へのヒント1(Points of Solution 1)

          組織運営(Project Management)

          日本企業がUSスチールを買収する計画が進んでいるようです。USスチールはアメリカの基幹産業を代表する会社なので、アメリカ人が所有しアメリカ人が操業する「完全なアメリカ企業」であるべきだという論調があるようです。今後の成り行きを見守るしかありませんが、USスチールというアメリカの象徴的な企業の買収は行われることになるのでしょうか。 政策的な問題は別として、技術的な課題は日本の企業がアメリカ(外国)の企業を経営することにあります。いろいろな日本の産業が外国企業を買収した例はたくさ

          組織運営(Project Management)

          いまの日本社会の情景(Japanese Society Now)

          2010年に日本のGDPが中国に抜かれて3位となったころ、産業界には「六重苦」があるからだといわれていました。2023年にはドイツに抜かれて世界4位となり、2025年にはインドに抜かれて5位になることが確実です。 GDPが伸び悩んでいる理由として、いまは「新・六重苦」があります。 1 円安、 2 地方の衰退、 3 少子高齢化 4 人手不足、 5 人材不足、 6 デジタル化の遅れ、 1の円安は明

          いまの日本社会の情景(Japanese Society Now)

          日本社会の背景(Background of Japanese Society)

           いまの日本をよりよく知るために、日本がどのような道を歩んできたのか振り返ることは無駄ではありません。 3世紀の「魏志倭人伝」に倭国王(親魏倭王)卑弥呼の邪馬台国が記されています。ただ、記述の解釈違いによる邪馬台国に関する論争は未だに解決していません。 4世紀の初めころの古墳時代(大和時代)に畿内は統一されたようです。応神天皇から仁徳天皇の時代にヤマト王権が確実になったと考えられているのです。しかし、当時はまだ地方で豪族が活躍していた時代です。 その後、各地の豪族は政権連合の

          日本社会の背景(Background of Japanese Society)

          環境のインフラ整備(Environmental Infrastructures)

          最近の大きな環境問題といえば地球の温暖化です。気温上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるという目標を達成するために、世界中で化石燃料の使用を減らすことが掲げられています。日本は2050年にカーボンニュートラルを達成するためのロードマップを世界への約束として公表しています。 2050年にカーボンニュートラルを達成するという公約を守るためには、石炭火力発電所の削減と自動車の電気自動車への転換を主要とする一大プロジェクトの運営が欠かせません。カーボンニュートラルを約束通りに達成するた

          環境のインフラ整備(Environmental Infrastructures)

          河川のインフラ整備(Improvement of Water Flow)

          2024年4月21日に熊本県五木村が、川辺川にダムの建設計画の受け入れを正式に表明したことが報道されました。 1965年の球磨川大水害時に既存のダムが役に立たなかったことを受けて、1966年に事業を開始した球磨川水系の川辺川ダム計画には多くの反対がありました。2020年の豪雨では球磨川流域で多くの河川氾濫が起きましたが、ダムによらない治水方法を探る動きに変わりはなかったのです。 ダムによらない治水の具体的な計画がない中、ダムによる治水計画の検証によってダムの効果が示されました

          河川のインフラ整備(Improvement of Water Flow)

          地球温暖化(Global Warming)

          地球温暖化の影響でしょうか、今年は暖冬だったといわれました。しかし、3月半ばになると急に寒い日が続き、桜の開花予想は1週間程ずれました。4月には夏日や30℃を超える真夏日がありましたが、5月になって北海道では雪が降りました。 昔から夏は暑いものですが、私たちが子供の頃は34℃と聞くと本当に暑かったものです。夏休みは午前中の早い時間に夏休みの宿題をして、その後蝉を取りに行ったり川で泳いだりして遊んだ思い出があります。 1960年代の7,8月の平均気温は30℃を超えるくらいでした

          地球温暖化(Global Warming)

          ソフトのインフラ(Soft Infrastructure)

          札幌市が2030年の冬季オリンピックの開催地に立候補するのを取りやめました。市民の賛同が得られなかったのは、2020東京オリンピックで当初予算の5倍かかった費用と実行委員会の不祥事が影響したといえます。  2025年の大阪・関西万博の準備は、順調に進んでいないと報道されています。施工の遅れに加えて予算が1.8倍に増えたことや、約2,800万人の入場者予想に対して、アンケート調査で7割の方が「興味なし」と答えていることが影響しています。 イベントはプロジェクトですから、開催に向

          ソフトのインフラ(Soft Infrastructure)

          ハードのインフラ(Hard Infrastructure)

           阪神淡路大震災から29年が過ぎ、東日本大震災から13年が経ちました。2024年元旦の能登半島地震では6万戸以上の家屋が崩壊しました。地震発生から4か月が過ぎて避難所の仕切りのない雑魚寝は解消されたようですが、被災者のみなさんの不自由な生活は続いています。火災で壊滅的な打撃を受けた輪島の朝市地区や倒壊家屋の片づけは進んでいません。土砂崩れによる道路や鉄道の復旧、液状化地域の改修には時間がかかるといわれています。 大都市では再開発による余裕のある面開発が進んでいますが、地方の再

          ハードのインフラ(Hard Infrastructure)