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環境のインフラ整備(Environmental Infrastructures)

最近の大きな環境問題といえば地球の温暖化です。気温上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるという目標を達成するために、世界中で化石燃料の使用を減らすことが掲げられています。日本は2050年にカーボンニュートラルを達成するためのロードマップを世界への約束として公表しています。
2050年にカーボンニュートラルを達成するという公約を守るためには、石炭火力発電所の削減と自動車の電気自動車への転換を主要とする一大プロジェクトの運営が欠かせません。カーボンニュートラルを約束通りに達成するため、責任部署に全権を委譲するプロジェクトマネジメントが不可欠です。すべてのステークホルダーは対等に参加しているという認識に基づくプロジェクトの運営が必要なのです。
中国や欧米では電気自動車への転換が進んでいます。化石燃料車の販売中止の期日目標が発表される中で、日本は具体的な目標を発表していません。すそ野の広い自動車産業全体を電気自動車の生産に転換していくことは簡単ではありません。既存の自動車産業を支えている中小企業は、電気自動車の生産へと業態を変えなければならないからです。中小企業が業態を変更するのは簡単ではありません。
日本で電気自動車への転換が進まない理由の一つに、充電設備インフラが十分ではないことがあります。ショッピングセンターなどの大型駐車場に充電施設を設置する必要があるのです。駐車場に十分な充電設備があれば、車を駐車し充電器に接続して買い物などをしている間に充電ができます。ガソリンスタンドに充電器を備える必要もあります。ガソリンスタンドは電気スタンドと呼ぶようになるのでしょうか😊
身近な環境課題の一つに神宮外苑の再開発があります。3,000本の木を伐りますが、再開発後にはそれ以上の緑をよみがえらせますという再開発です。新しい構築物が、既存の銀杏並木などに悪影響を与えるかもしれないという懸念が出ているのです。
明治神宮内苑の森を守るためには維持管理が必要ですから、十分な基金を持たない所有者が外苑の再開発で必要なお金を調達することは理解できます。
開発業者は再開発に必要な環境アセスメント報告書を提出しますが、承認権限を持つ部署が報告書をどのように評価したのかは詳しくわかりません。伐採手続きは規則に則って行われているので、承認には問題がなかったといわれています。環境アセスメント報告書を十分に検証しないで承認したことはないと思われますが、大きな反対運動が起きています。多くの反対がある中でいまも再開発は進められています。
 東京は首都として世界の大都市に負けないように、環境に配慮したまちづくりが再開発で進んでいます。東京の中心部には高層ビルが立ち並び、仕事を離れて文化的な生活ができる先進国並みの街になりました。東京は近代的な街並みと伝統的な街が、ギリギリのところで共存している街になりました。
発展の名のもとに東京以外の都市でもインフラ整備は進んでいます。日本中の街が東京を見習って同じような顔をするようになってきていますが、どの程度環境にやさしい、街つくりが進められているのかは疑問の残るところです。環境にやさしいということは人にも優しいということです。人にやさしい街には文化があります。いまは誰もが当たり前の生活できるためのインフラ整備が必要な時です。
産業革命以来、人間が作り出した人工の化合物は水と空気に蓄積されてきました。19世紀半ばにヨーロッパで内燃機関が発明されて、石油精製産業がアメリカで発展しました。20世紀は化石燃料を利用した産業が大発展しました。
その結果、21世紀の地球環境は温暖化により激しい気候変動に見舞われています。世界中で豪雨による洪水が発生したり砂漠に雨が降ったりしています。毎年のように冬の激しい寒波や夏の熱波が襲うようになりました。熱帯雨林の森が失われて動物や植物の生態系が脅かされるようになりました。
環境問題といえば、1962年にレイチェル・カーソンさんが発表した『沈黙の春、Silent Spring』が有名です。人工的に作られた化学物質が自然環境に蓄積されて、私たちの体に悪影響を及ぼしていることを告発しました。私たちが生きている地球の環境、水と土と空気が私たちの作る化学物質で汚染されていることを示したのです。
長らく人が自然に挑戦してきたので、地球温暖化を招いたといえなくもありません。地球温暖化は人の活動による環境の変化ですが、人は地球の支配者ではありません。たとえば、京都の庭園の多くは約1,000年前に作られましたが、いまでは自然の中に溶け込んでおり誰も人工の産物だと思いません。自然と人の間に境目はないのです。“人は自然の一部だ”ということを再認識しなければならない時がきているのです。
私たちが水や空気や使いやすい資源を自由に使う時は過ぎました。日本には最新の技術(ハード)を使って、この世界的な環境問題に取り組むすべを示すことができる力があります。そのためには世界に通用する人を育てなければなりません。人を育てる(ソフト)のには時間がかかります。しかし、いま一歩を踏み出せば決して遅すぎることはありません。

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