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MERIというニットの室内履き

2012年からMERIというブランドのデザインを担当している。

見ての通りの草履型で布ぞうりと言った方がわかりやすいと思う。布ぞうりの多くは、生地を裂いたりバイヤスに裁断したものを編んであるが、私たちの場合は、素材となる紐から編んでいるので布ではなくニット草履のほうが感覚的には近いかもしれない。

ニットの紐を手編みして鼻緒をすげる。これを分業して作る。これだけのことだが工程殆どが手作業なので想像以上に手がかかっている。

中空糸という文字通り中が空洞の軽くて速乾性のある糸を使い、細いひも状に編むところから始まる。

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戦前から動いている機械。
これで細い紐を編む。これは昔ながらの手横の機械を扱える職人さんの仕事。糸もそれぞれ個性があるが、気温や湿度も編みには大きく影響する。職人さんの肌感で調整されて紐が出来上がる。

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編みあがった紐は 手編みの職人さんに渡る。
長さと幅の指定はあるが、型紙はない。
職人さんは手の感覚だけでサイズを調整し、固くて柔らかい、言葉にすると相反する不思議な土台が編みあがる。

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両足で約3時間は見ておかないといけない大変な仕事である。

並行して、鼻緒を作っておかなければいけない。これもブランドを始めた当初からお願いしている方が私たちの細かい注文に応えてくださっている。一定の完成度にするには、使用する生地の性質によって微調整が必要で、すべて同じように作ればいいという訳ではない。鼻緒は足の甲にあたる大切な部分であり、中心の「鼻緒のつぼ」は、親指と人差し指の間に不快感をあたえないように最善の注意を払って作っている。

そして最後に鼻緒を台に挿げる。また別に専門でお願いしており、感覚が大事な仕事である。
草履の土台は色によって若干風合いが違う。染料が影響するからである。また鼻緒も生地によって固さが違う。さまざまな組み合わせは指定通りの位置に付けると微妙なズレをうむことがあり、ここも微調整に頼っている。

このすべてのパーツにかかわる微調整を、私たちは塩梅とよび大切にしている。

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柔らかく固いニットの室内履きを履いてみて欲しい。ビーチサンダルなどのトングサンダルとは違う、足指が開くことの気持ちよさを感じてもらえると思っている。

MERIKOTI
東京都墨田区亀沢1-12-10  平井ビル1階




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